企業や自治体のPR動画をはじめ、縦型リールを依頼するクライアントが現在急激に増えつつある。本記事では、Instagramで26万人のフォロワーを抱える映像クリエイターKatsuyuki Miyanishiさんに、どういった経緯で縦型ショート動画の人気クリエイターになったのか、独学で学んだマーケティングスキルを武器に動画をバズらせるノウハウ、見る人を惹きつける動画制作手法などについて詳しくお話を伺った。

講師 Katsuyuki Miyanishi

京都出身・奈良在住のビデオグラファー。「古都の美しさを世界へ」をテーマに活動。SNS総フォロワー30万人。オンラインサロンCre8Club主催。2025年7月、『株式会社八映』創業。主に自治体観光PR、企業タイアップ、カメラメーカーPR動画、ホテルPRの仕事に携わる。






絶景を見て感動したこの気持ちをもっと多くの人に伝えたいと思った

映像クリエイターのKatsuyuki Miyanishiです。普段は主にInstagramで活動しており、7月現在のフォロワーは26.8万人となっています。また、動画リールやInstagramの運用についてを皆で勉強するオンラインサロン「Cre8 Club」も主催しています。加えて、7月から「株式会社八映」という映像制作会社を創業しました。仕事内容としては、自治体の観光PRや企業のWEB用動画制作が多く、Instagramではカメラメーカーや機材メーカー、ホテルや旅館などのPR動画制作も行なっています。

元々は実業団のテニスプレーヤーで、引退後もコーチをするなど、映像とはまったく関係ないところで生きていました。ブログを大きくするためにマーケティングやWordPressを学び、その知識を活かして個人店のWEB制作もやるようになり、お店のサイトには写真が必要ということで初めて一眼を購入したのが写真との出会いでした。

絶景を撮るきっかけになったのは、テニス部時代の後輩からの誘いでした。僕が悩んでいてメンタルをやられてしまっていた時期に、奈良公園の春日山原始林という絶景に連れて行ってくれたんです。そこで本当に涙が出るくらい感動してしまって、「自分もこういう景色を撮りたい」「絶景で感動したこの気持ちをもっと多くの人に伝えたい」と思ったんです。



投稿してもまったく見てもらえず「写真より動画だ」と縦型リールに挑戦した

初めは写真投稿から始めたのですが、投稿してもまったく見てもらえない状態が続き、伸び悩んでいました。1年半ほど活動していくうちに、写真だとなかなか見てもらえないことに気がつきました。僕が写真投稿を始めたのは2021年頃だったので、ちょうどリールが流行し出しているタイミングでした。

そこで、「写真より動画だ」と考え、縦型リールに挑戦し始めました。最初はスマホで撮り始めて、徐々に一眼に移行していったという流れです。また、妻の親戚に奈良の室生寺の近くでご飯屋さんをやっている方がいて、その方から「最近は奈良を観光する人が1/4くらいに減っちゃって」という話を聞いて以来、奈良に貢献したいという想いがありました。それで、学んだマーケティングスキルをInstagramに応用するようになっていきました。

今回の記事では、僕がこれまでに独学で身につけてきたマーケティングスキルを武器に、動画をバズらせるノウハウや見る人を惹きつける動画制作の手法について、作例を交えながら詳しく解説していきます。






縦型ショート動画へのシフト

転機となった宝山寺のリール

当時のフォロワーは1000人くらいから一気に1万人を超え、最終的には2万人以上に

転機になったのは宝山寺リールのバズで、当時のフォロワーが1000人くらいだったのが、この投稿だけで一気に1万人を超え、最終的には2万人以上になったと記憶しています。過去に写真で撮ったことのある場所でしたが、映えスポットにも関わらず動画ではほとんど撮られていない場所でした。また、当時はテレビアニメ『鬼滅の刃』が大流行していた頃だったので、アニメの挿入歌である『竈門炭治郎のうた』をBGMとして使用したり、鬼滅の世界観に寄せたカラーグレーディングを意識したり、たまたま雨の日だったのも良かったりと、いろいろな要素が重なってバズったという感じでしたね。

スマホから一眼で撮影するリールへとシフトしたことで変化もいろいろありました。まず視聴数が大幅に伸び、フォロワー数が5万人を超えたあたりで、機材のPR案件や動画制作依頼が多く来るようになりました。また、その頃から身の回りの友人やDM経由で「インスタについて教えてほしい」と言われることが多くなり、ノウハウを言語化できるようにInstagramのスクールへと入会して勉強を始めました。現在ではそちらのスクールで外部講師もやらせていただいています。



宝山寺 リール再生数282万回

宝山寺のリールは、Miyanishiさんが一眼で撮った最初の動画で、撮影には富士フイルム X-T5を使用。





Miyanishiさんのフォロワーの変化

2021年12月

Instagramアカウント開始



2022年5月

リール投稿を本格開始時 約1,300フォロワー



2023年2月

宝山寺リール投稿後 約11,300フォロワー



2025年7月

現在は、約26.8万フォロワー



仕事目的ならミラーレス一眼が圧倒的有利

PR動画などはクライアント側が一眼の映像を求めているケースが多い

仕事目的の場合、スマホのほうが単価が少し安く、大きな案件はよっぽど上手い人にしか来ないんじゃないかなと思っていて、その点は一眼に比べるとやはり壁があるのかなと感じます。

自治体のPR動画なども、クライアント側が一眼で撮影する映像を求めているケースが多く、スマホの場合は映像クリエイター寄りのリールではなく、テロップの入ったインフルエンサーの旅紹介のような動画依頼が多いです。つまり、世界観で魅せるような映像は一眼一択になっている現状があります。

また、ちゃんとした機材を揃えて映像を撮っている人のほうが、「この人なら安心して任せられる」と思ってもらいやすい部分もあります。なので、総合的に考えて仕事目的ならば、スマホよりも一眼で撮影するほうが圧倒的に有利だと思います。