VFXアーティスト集団・Khaki所属のキャラクターアーティストYuta SasakiさんにXPPenの液晶タブレット・フラグシップモデルArtist Pro 24(Gen2)4Kを試してもらった。ZBrushやSubstance 3D Paint、Mari、Mayaなどさまざまなツールを駆使してキャラクター造形を作り上げるSasakiさんの目にXPPen Artist Pro 24はどう写ったのか? 実際の作品制作のなかで試してもらい、その使用感や魅力について教えてもらった。
取材・文●NUMAKURA Arihito/構成●編集部 萩原/協力●XPPen


XPPen Artist Pro 24(Gen2)4K
XPPenプロ向け液晶タブレットのフラグシップモデル。23.8インチ4K解像度(3,840×2,160)の大画面で、細部まで鮮明な映像を実現。sRGB/Adobe RGB 99%、DCI-P3 98%の色域をカバー。筆圧レベル16,384に対応する2種類のスタイラスペンのほか、10個のボタンにそれぞれ4パターン(最大36)のショートカットキーを登録して使える左手デバイスACK05も同梱
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リアル調からデフォルメキャラまで様々なモデルを手がける
——まずは自己紹介からお願いします。
佐々木 キャラクターアーティストとして活動しています。Khakiに入社して4年目ですが、リードモデラーとしてMVやCM、映画など様々な作品のキャラクター制作を担当しています。
——代表作を教えてください。
佐々木 Khakiがテクニカルデモとして制作したセミリアルな女性バーチャルヒューマンでは、モデリングからルックデヴまでを担当しました。実は学生の頃からフォトリアルなバーチャルヒューマンに取り組んでいたのですが、Khakiがそうした表現にも積極的なことを知り、応募したところ入社することができました。
——佐々木さんにとっても、Khakiさんにとっても運命的な出会いだったわけですね。バーチャルシンガー花譜をリアル調で描いた花譜×MONDO GROSSO『わたしの声』MVの制作にも参加されていたのでしょうか?
佐々木 このプロジェクトでは、花譜さんのステージ衣装を担当しました。ヒト型キャラクター以外では、King Gnu『硝子窓』MVに登場する、クマのぬいぐるキャラクターのモデル制作を担当しました。フォトリアルなどハイエンドな3DCGを担当することが多いですが、トゥーン調など様々なルックやデザインのモデル制作に携わっています。
——普段使われているDCCツールを教えてください。
佐々木 Mayaのほかに、スカルプトにZBrushを。テクスチャリングや質感設定には、Substance 3D PainterとMariを使っています。あとはプロジェクトによってはコンポジット作業をNukeで行うこともありますね。
——液晶ペンタブレットの使用頻度はどれくらいですか?
佐々木 作業全体の8割ぐらいに使っていると思います。モデリングの中でもスカルプト作業には必須です。テクスチャリングでも自然な見た目に仕上げるには、液タブを使ってペンの筆圧やストロークなどを変えながら直感的に作業できるので効率良く意図した仕上がりにできるので。
——Mayaによる作業でも液タブを使うのが便利ですか?
佐々木 そうですね。例えば、Hairのカーブを生やすときにマウスよりも液タブでペンを使った方がカーブの形状を滑らかにできます。僕にとって、液タブは必携デバイスです。
筆圧レベルは、16K超。XPPen Artist Pro 24(Gen2)4Kなら、より直感的に創作できる。
——佐々木さんには今回、「Artist Pro 24(Gen 2)4K」を試しもらいました。第一印象はいかがでしたか?
佐々木 以前からXPPenの液タブに注目していたので使うのが楽しみでした。筆圧レベルは16,384段階と、競合製品の2倍あるので、わずかに力を加えるだけで最大の筆圧に達してくれる感覚があります。普段よりもササッと描くことができました。僕好みの感触です。濃淡のグラデーションなどもより細かく表現できると思います。

——普段から24インチぐらいの大きさの液タブをお使いですか?
佐々木 はい。以前は、16型を使っていたのですが、僕には作業スペースが狭く感じました。24ぐらいがちょうど良いですね。それと、僕は液タブに角度を付けて描きたいのでスタンドが不可欠です。Artist Pro 24(Gen2)4Kには、ACS02スタンドが内蔵されている点も気に入りました。


——スタイラスペンの使い心地はいかがでしたか?
佐々木 実は液タブを使う以前は板タブを使っていて、それがXPPenの「Deco 02」だったんです。その描き心地がすごく良かったので、今回も期待していました。
Artist Pro 24(Gen2)4Kには、2種類のペンが付属されていて最初はX3 Proスマートチップスタイラスという、円錐型のほうを使っていたのですが、今はX3 Proスリムスタイラスのほうがお気に入りです。シャープペンのように細くて軽いから、長時間使っても疲れません。

——左手デバイスのように使える「ACK05ワイヤレスショートカット」はいかがでしたか?
佐々木 少しだけ試しました。こうしたデバイスは、アプリケーションの切り替えなどにモタつきを感じる印象がありましたが、ACK05はレスポンスが良いですね。ダイヤルの押し心地も僕好みで、指が疲れませんでした。
ただ、3DCGソフトは多くのショートカットを使うので、10ボタンだと足りないなあと……。
——ボタンは10個ですが、そのうちひとつは切り替えボタンなので最大で36(9×4)のショートカットを割り当てられるそうですよ。
佐々木 それは気づきませんでした! 次の機会があれば試してみます。ただ、3DCGの場合はキーボードによる数値やテキスト入力も多いのでイラストレーターさんに比べると使用頻度は少ないかもしれません。
4K解像度&優れた色精度により、ハイエンドの3DCG制作にもオススメ
——Artist Pro 24(Gen2)4Kの画面表示はいかがでしたか?
佐々木 4K(3,840×2,160)だから快適です。ZBrushの場合、フルHDだとUIが見切れてしまうので……。色も綺麗ですね。キャリブレーションモニターと同じ見え方だったのでストレスがありませんでした。
僕は基本的にリモートワークなので、パネルがノングレアなところもありがたかったです。自宅だと、どうしても時間帯による陽の入り方が気になりがちですが、Artist Pro 24(Gen2)4Kは昼でも夜でも自然な見え方でした。



XPPen Artist Pro 24(Gen2)4Kを使えば、精細かつ直感的なブラシコントロールが3DCGに反映できる
——佐々木さんにはひき続きXPPen Artist Pro 24(Gen2)4Kをお試しいただく予定です。何か試されたい機能はありますか?
佐々木 「XPPen ColorMaster」というカラーマネジメント機能(色校正ソフトウェア)が気になっています。キャリブレーションデバイスを併用すれば、Calman認証を取得した画面表示の精度を定期的にキャリブレーションできるみたいですが、ほかにもカラースペースの切り替えもスムーズに行えるようなので。頻度はそれほど多くありませんが、sRGBで作業した結果をDisplay P3など、納品フォーマットで確認したいときなどに便利そうです。








●XPPen Artist Pro 24(Gen 2)4Kの製品情報

XPPen Artist Pro 24(Gen2)4K
XPPenプロ向け液晶タブレットのフラグシップモデル。23.8インチ4K解像度(3,840×2,160)の大画面で、細部まで鮮明な映像を実現。sRGB/Adobe RGB 99%、DCI-P3 98%の色域をカバー。筆圧レベル16,384に対応する2種類のスタイラスペンのほか、10個のボタンにそれぞれ4パターン(最大36)のショートカットキーを登録して使える左手デバイスACK05も同梱
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