さまざまな領域でモーションデザインを手がけるIori Iwakiさんは、個人プロジェクトとしても作品を作り続けている。2023年に制作した「モーションポスター」の制作工程を中心に、創作の発想と表現を広げる自主制作の魅力について語ってもらった。

講師 Iori Iwaki いおり いわき

モーショングラフィックデザイナー。1992年、徳島生まれ。2016年、武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。映像・広告・BtoB企業でのデザイン経験を経て、2021年に独立。映像作家100人 2024、Motion Graphers 2025選出。モーションデザインが好き。









Part 1:
Iori Iwakiさんのこれまでの仕事の紹介

Common Nexus コンセプトムービー

絵コンテを描いてからFigmaでグラフィックを作成し、After Effectsでモーションをつけた。一部でBlenderも使用している。





Money Forward Tech Day 2024 会場映像とWEBサイトのアニメーション

会場で流すオープニング映像。このようなイベント会場で使うスクリーンはかなり横長であることが多い。フルHDの画面を横に2枚繋げた3840×1080ピクセルで制作した。



WEBサイトのアニメーション。サイトをスクロールすると、それに応じてモーショングラフィックスが切り替わる。Iwakiさんは映像作品以外にもインタラクティブな形でのモーショングラフィック制作に取り組んでいる。




モーショングラフィックスは映像だけじゃない

今回のテーマである自主制作作品の話をする前に、まず僕がモーショングラフィックデザイナーとしてどんな仕事をしているのか、いくつか紹介したいと思います。

一番最近の仕事は、「Common Nexus(愛称ComoNe・コモネ)」という東海国立大学機構が運営する共創拠点のコンセプトムービーです。コモネのロゴは施設全体のグラフィックデザインを担当する方が手がけたものですが、それ以外はグラフィックから自分で作り、モーションデザインまで一貫して担当しました。

また、マネーフォワードが2024年に開催した自社カンファレンス「Money Forward Tech Day 2024」の仕事では、会場で流すオープニング、アタック、待機中映像の他に、WEBサイトの背景アニメーションも制作しました。

サイトのほうはPart3で紹介するRiveというツールを使い、ページのスクロールやページ遷移に合わせて背景のアニメーションがリアルタイムに変化するというインタラクティブな仕様になっています。こうやってユーザーの挙動に合わせてモーショングラフィックスを動かすのは、タイムライン通りに流れる映像では不可能な表現です。

このように映像だけではないアウトプットの場がいろいろあるのが、モーショングラフィックスという仕事の強みではないかと思っています。