先日、DJIより発売となったスマートフォン用ジンバル「Osmo Mobile 8」。今年、2月に発売された前モデルの「DJI Osmo Mobile 7/7P」から1年経たずにしてリリースとなった新モデルだ。今回は、iPhoneographerとして活躍するtakumifoneさんに、前モデルとの比較、さらには新モデルならではの特長をショートムービーを制作いただきながらレビューいただいた。

レポート●takumifone(山﨑拓実)
iPhoneographer / Director & Editor / Writer(日本語・英語対応)
企業のプロモーション映像を中心に、iPhoneで撮影したとは思えない映像表現を追求。映像監督・撮影・編集に加え、スマートフォン映像制作に関するセミナーや寄稿も行う。
Web: takumifone.com
Instagram / X:@takumifone
Osmo Mobile 7Pからのおさらい
まずは先代のOsmo Mobile 7Pがどんなジンバルだったかを振り返りたいと思います。Osmo Mobile 6から追加された目玉の機能は「スマートフォン充電機能」、「多機能トラッキングモジュール」、「内蔵延長ロッド&内蔵三脚」と言えるでしょう。これらの機能全て、もちろんOsmo Mobile 8に引き継がれています。

Osmo Mobile 8
「スマートフォン充電機能」は、いわばOsmo Mobile自体をバッテリーとして使用できる機能。今までのジンバルではなかなか無かった機能です。DJIの商品はユーザーが思う、「あったらいいな」を形にするのが非常に上手いと思います。

Osmo Mobileシリーズ以外のDJIの製品での「あったらいいな」を例に出すと、例えばDJI Ronin 4Dの映像トランスミッターなどは、モジュール式でRonin 4Dに簡単に取り付けられるようになっているので、比較的コンパクトに機能を拡張することができます。他のシネマカメラと違い、リグを少なく済ませることができるのは魅力的です。

また、7Pから搭載された「多機能トラッキングモジュール」。こちらは「補助光」、そしてDJI Mic 2、Mic 3、そしてMic Miniの「レシーバー」としても機能する優れもの。これさえあれば、スマートフォンでのVlog撮影、もしくはそれ以上のことが出来てしまいます。

普段、iPhone、Blackmagic Camera、そしてApple LogとNDフィルターなどを使用して広告などの撮影をすることが多い筆者ですが、HDMIなどによるモニター出力などが必要ない現場では何の問題もなく使用することが出来そうです。
Osmo Mobile 8の進化
ではOsmo Mobile 7Pから進化したポイントを見ていきたいと思います。
今回は友人達の協力を仰ぎ、ちょっとしたSF短編映画を制作しました。敢えてOsmo Mobile 8の新機能から逆算してストーリーを考え、撮影した作品となっています。
今回の撮影のギアリストは、Osmo Mobile 8の他、iPhone 17 Pro、Moment 67mmフィルターアダプター、67mm 固定NDフィルター。そしてLexar 2TB Professional Go Portable SSD 2TBです。

撮影アプリはBlackmagic Cameraで、Apple ProRes RAW、オープンゲート撮影にて実施しました。
Apple DockKitに対応
今回のOsmo Mobile 8から、アップルが開発した被写体追跡技術であるApple DockKitに対応しました。これにより、多機能トラッキングモジュール不要でNFC経由でBlackmagic Cameraなどのサードパーティアプリでの被写体トラッキングが可能になりました。(今回の作例では多機能トラッキングモジュールを使用して撮影しています。)

撮影では、監督兼iPhoneographerの筆者と主役の俳優のChlobikoの2人しか現場にいませんでした。劇中の主役(Chlobiko)が黒服の人間にぶつかられ、自身の存在を安定させるピルを放り出してしまうシーン、主役にぶつかる黒服の人間は実は筆者です。つまり、撮影時にカメラマンがいない状況でした。そのシーンの撮影の際に、Osmo Mobile 8が自動でChlobikoを追従してくれたのは非常に便利でした。
ローアングル撮影に対応
また、Osmo Mobile 8からはローアングル撮影に対応し、犬や子供の動きのトラッキングがしやすくなりました。今回の短編映画でも、主人公が放り出してしまったピルを探すときのローアングルショットの際に、多機能トラッキングモジュールを使用しながらローアングルで撮影しています。

360°パン軸回転
Osmo Mobile 8からは、パン軸が360°回転するようになりました。今までOsmo Mobileシリーズを使っていて、この機能を待ち望んでいた人は多いのでは?今回の短編映画では、Osmo Mobile 8のスティックを任意の方向に2回動かすことで、自動でパン軸を回転させられる機能を応用して、主役の存在が消えたり出現したりするシーンを撮影してみました。
全編に渡ってOsmo Mobile 8を使用して撮影しましたが、約4時間のノンストップの撮影でもしっかりとバッテリーは持ってくれました。
いかがでしたでしょうか? Ronin RS4 ProやRS4 Miniを持っている筆者でも、スマートフォンによる撮影の際にはもう少しコンパクトなジンバルが欲しいという時があります。そういった時にこのOsmo Mobile 8は頼もしい味方となってくれるでしょう。
