写真を撮るようなスタイルで印象的な光や表情を見つけて拾っていくとストーリーができていく
取材・文/編集部 一柳

https://harukianami.com/
【居住空間学】
ガラス作家 ピーター・アイビーが住まう、多様な光を取り入れる家
BRUTUS恒例となっている特集「居住空間学」。住まい手に焦点を当て、暮らしや部屋づくりのアイデアが詰まった人気企画を映像化する。au提供のヒルミルマガジンの1本。穴見さんが撮影と編集を担当。
「食卓とピアノとⅣ」
料理家・細川亜衣 音楽家・haruka nakamura 場・taishoji
春夏秋冬、四季を駆け巡った、細川亜衣さんとharuka nakamuraさんのコラボレーション・セッション。最終回となる第四回目の熊本taishojiでの記録。料理と音楽は穴見さんにとって重要なモチーフ。
熊本にいてもBRUTUSの仕事ができる
9月号のSNS動画特集でBRUTUSオリジナルムービーを取り上げたが、その時の1本を制作していたのが穴見春樹さん。撮影現場の写真を見てあまりにシンプルな装備に少し不安を覚えたが、できあがった完成ムービーを拝見して驚いたとともに反省した。
映像制作は装備ではなく、光を読んでいつどこをどう切り取るのか、そしてそれを積み重ねてストーリーを語ること、という基本を改めて教えられた気がした。YouTubeのコメントに「映るものへの敵意がないというか、ただそこにある穏やかで美しいものを映したような」とあった。穴見さんのまなざしの魅力が視聴者にも確実に伝わっている。
穴見さんは熊本でポートレートスタジオ「graine」を構え、フォトグラファー、ビデオグラファーとして活動。BRUTUSのムービーでは熊本在住ということで雲仙での撮影でプロデューサーの猪俣さんから声がかかったが、その後、九州以外の撮影でも起用されている。SNSのおかげで地方にいても才能が発見される時代になった。

スケートボード、ブライダルを経て
穴見さんに写真と映像のスタートを振り返っていただくと、中学のときに兄の影響でスケートボードをやり始めたときに遡るという。そのジャンルの雑誌が好きで雑誌に載るような写真を撮ったり、ポスターを作ったり、Tシャツを作るような活動を始めた。そのうちビデオカメラを借りてスケートボードをやりながら記録係をするようになる。それが映像を始めたきっかけだった。
「ただ編集の仕方がわからなくて、周りの年上の人に聞きながら、ビデオカメラとビデオデッキをケーブルでつないで、何度もダビングしながら手探りで編集していったんです。最後にオーディオコンポの音をアフレコしてなんとか1本作ったんですよ」
1990年代後半から2000年代にかけてスケートボードムービーが海外を起点として大ブームになるが、まだパソコンで編集できる環境は充分に整っていなかった頃。当時中高生が映像を作るのは大変なことだった。
「友だちの家で徹夜してできあがった映像を上映したのですが、できあがった高揚感もあると思うんですけど、友だちがめちゃくちゃ喜んでくれたんです。自分たちがスケボーしているのがテレビ画面に流れて、しかも編集されている! 俺たちプロみたいじゃん! みたいな(笑)。あれだけ喜んでもらったことが自分の原体験になっていますね」
写真や映像を作って喜んでもらえるというのが嬉しくて、専門学校を卒業した後、ブライダルに特化した制作会社に入って、写真と映像を始めることになる。その後、27歳の時に独立。東京に出て、映像の仕事を目指すという選択肢はなかったのだろうか?
「映画が好きで、映像の仕事をもしやるとしたら、絶対に東京にいたほうが間違いなくチャンスも多いでしょう。そういう選択肢もあったのですが、生まれ育ったのが熊本のさらに田舎のほうということもあって、九州が好きだということもあるし、無理して行かなかったのは、タイミングもあったからかもしれません。デジタル一眼でムービーが撮れるようになって、写真も映像も個人がどちらもやるということが現実的に可能になりました」
穴見さんの映像には写真もやっている人ならではの光の読みとフットワークの良さがあると思う。
「取材で行った時に、あそこの部屋にすごくいい光が落ちてるとか、作っている後ろ姿がかっこいいなとか、いい表情をされてるなというところを拾っていくと、ストーリーができていきます」
「自分が心が動いた光景を、もちろん自分のフィルターは入るのですが、自分が感じたそのままの透明なフィルターで見る人にも感動してもらえたら一番理想です。光を足し引きするのではなく、情緒的になるようなレンズをつけるとか、グレーディングで自分が感動した記憶に近づけていく作業。そのあたりが面白いですね」


ファミリーやウエディング写真ではデジタル撮影プランもあるが、ネガフィルム撮影をしてデータで渡すサービスも用意している。

