11月14日(水)~16日(金)の間、幕張メッセで開催された国際放送機器展『InterBEE2012』。Ustreamやニコニコ生放送などのライブ配信で使えそうな展示を探してみた。
HDMIをメインにした4chマルチフォーマット・ビデオスイッチャー
ローランドから4chのHD対応マルチフォーマットスイッチャーが登場。各入出力にはHDMI、コンポジット、RGB端子を備え、HDMIカメラはもちろんPC画面など様々な映像信号をコンバーターなしで入力できるのが特徴。BDレコーダーなどHDCP対応機器も映像素材として使える。価格は388,500円。発売は12月下旬を予定している。オーディオ入力を搭載する他、オーディオディレイも備える。さらにHDMIの音声入力のミキサー機能も搭載する。
信号劣化のないミニコンバーター・VC-1シリーズ
VC-1-DLは映像と音声にディレイ機能を持ち、最大4.5フレームまで遅延できる。HDMIとSDIを双方向変換できる他、フレームシンクロナイザーとしても使える。HDMIをHD-SDにロスレスI変換できるVC-1-SH、HDMIをSDI変換するVC-1-HS。来年3月発売予定で価格はVC-1-DLが10万円前後、VC-1-SHとVC-1-HSは5万円前後になる見込みだという。
iPadでコントロールできるオーディオ・ミキサー
ローランド無料の専用アプリをインストールしたiPadをコントローラーとして使える。24chのアナログ入力/12chのアナログ出力、2chのAES/EBU出力など、豊富な入出力端子をもち、そのすべてのインプットチャンネルに、ゲート/エクスパンダー、コンプレッサー、4バンド・パラメトリックEQを搭載。USBメモリーを挿せば、非圧縮のWAV録音が可能になっている。価格は299,250円。
8M/Eで複数のM/Eバスの合成が可能
ディーストームブース。業務用配信の現場では定番になったTriCasterシリーズの最上位機種。ライブ映像制作から配信までに対応するオールインワン仕様。カメラ入力は8ch、PC画面をネットワーク経由で読み込めるiVGAや動画ファイル等を記録できるDDRも搭載。CGによる仮想スタジオも搭載しており、仮想スタジオ内でのパンやズームも可能。8つのM/Eを持ち、各M/E列に個別のバーチャルセットの設定や4つまでのDSKを追加できる。専用コントローラーと本体のセットで価格は500万円程。
TriCasterの廉価モデルも
TriCasterシリーズのエントリーモデルTriCaster40は、国内ではパンダスタジオで販売されている。今回の展示では、電子黒板機能を備えたソニーのデータプロジェクターVPL-SX535をグリーンバックに投影し、TriCasterのクロマキー合成機能で手書きの文字をカメラ映像と合成するというデモ。出演者は電子黒板のインターフェイスを見ながら操作できるが、合成後の映像では手書きの文字だけが見えている。TriCaster40の入力端子はアナログコンポーネントになるが、1080/60iのHDにも対応し、4台までのカメラ入力に対応。iVGAやDDR、バーチャルセットも備える。価格は120万円。月々5万円(2年間)の分割払いも行なっているという。
番組進行に合わせて素材を登録できるシナリオモードを搭載
朋栄のライブ配信専用マシンSmartDirect。事前に番組進行に沿った素材を登録しておき、本番中はプレイリストに従ってTAKEボタンを押すだけで番組が作れるというもの。ニュース、スポーツ、プレゼンなど、コンテンツ制作を想定した複数のテンプレートを用意。咄嗟のスイッチング操作にも対応するため、同社スイッチャーHVS-300シリーズと連携できる他、ローランドV-800HDとの連携機能も企画中とのこと。
複数のモバイル回線を束ねて使える機器も複数登場
最大5つの3G/4G回線を束ねてハイビジョン映像を配信できる通信モデムBOND(37,300円)。米テラデック社が発売。取扱はキャムキャスト7。カメラと接続して使う送信機とセットで使用する。送信機はVマウントに対応したBRIK(447,000円)とCUBE(133,000円~)というモデルがある。CUBEはSDI入力モデル、HDMI入力モデルなど製品ラインナップが細かく分かれている。BONDと送信機から配信された映像はSutnik(スプートニク)というサーバーに送られ、バラバラに届いたデータを順序良く再構築してUstreamやニコ生などのプラットフォームに送信する。各回線の状況や配信の設定はウェブブラウザ経由でコントロールできる。
TVU Pack Mini(195万円)。最大6本の4G、LTE/3Gの他、WiMAXやWi-Fiなどの回線を利用し、有線回線を取れない屋外からでもHD画質で配信ができる。クラウド上のサーバーTVU Pack Cloudに対応し、レシーバーを設けることなく、直接WEBサービスに配信することが可能になった。スターコミュニケーションズが取扱。
Streambox社のAVENIR MINI(アヴェニール・ミニ)。SDIとHDMIの入力端子を持ち、4G/LTE/3Gの通信端末を4つ内蔵し、USBタイプの通信カードを2つまで接続することができる。本体は160万円で、配信に使用するためには別途デコーダー(180万円)が必要になる。Ustreamやニコニコ生放送へ配信する場合は配信ソフトを用意する必要がある。オンテック取扱。
PCレスで配信できるライブ配信機器
9月に発売されたH.264+AAC、最大解像度 720p、最大10Mbpsでのライブ配信が可能なセレボLiveShell Proもローランドブースに展示されていた。
ランサーリンクブースにもPCレスライブ配信機器・HD-STM90が参考展示されていた。ブラウザで配信のための初期設定を済ませれば、ボタンひとつで配信が開始できるというもの。HDMI入力の他、コンポジット入力も備える。本体にはマイクロSDカードのスロットが設けられており、配信しながらの録画にも対応するという。発売は来年初頭で、価格は10万円以下を予定しているという。
HDMI/SDI/コンポジット>USB3.0のキャプチャーユニット
ランサーリンクに参考展示されていた。HDMI、SDI、コンポジットの入力をUSB3.0でパソコンにキャプチャーできる製品。こちらも来年初頭の発売で価格は10万円以下を予定。
屋外でも使えるHDMI無線化装置
アイ・ディ・エクスブースに展示されてたHDMI無線伝送装置CW-1J(205,800円)。CW-1JはワイヤレスHD伝送システムとバッテリーアダプターのセット。CW-1は5GHz帯を使ったHD映像無線伝送装置。DFS機能を搭載しており、屋内だけでなく屋外での使用にも対応したことが特徴。最大伝送距離は約30mで遅延も1ミリsec以下を実現。来年1月の発売を予定している。
SDIの無線化装置も登場
米テラデック社のSDI無線伝送装置Bolt(ボルト)。非圧縮HD(1080/60@、4:2:2)を遅延ゼロで伝送可能。複数台のレシーバーに同時送信もできる。リチウムイオンバッテリーを内蔵しており、フル充電で1.5時間稼働する他、VマウントやGoldマウント型の外部バッテリーにも対応する。来年初頭の発売をめざし、価格は40万円前後を予定しているという。
iPhone用オーディオインタフェイスは、いろんなカメラで使える形に
フォステクスのiPhone用オーディオ・インターフェイスAR-4iの後継機となるAR101も参考展示。前モデルはiPhone専用でTwitCastingユーザーを中心に人気を集めたが、AR101からはiPadやPC、デジタル一眼など様々な用途で使えるようになる。アルミ削り出しのハンドグリップが付属するほか、三脚ネジやアジャスターなども設けられ、様々な形でiPhoneを装着できるようになるという。