今年で35 回目を迎えた“市民による市民のための映像祭”「東京ビデオフェスティバル2013」には、国内外から241 作品(国内:237 作品/海外:4 作品)が寄せられた。今回は、20 代までの若い世代と60 代以上のシニア層を中心に応募があり、ドキュメンタリーやアニメ/CG、ドラマなど多彩なジャンルの作品が集まった。この中から入賞30 作品(優秀作品賞:10 作品/佳作:20 作品)を選出。1月19日の「発表・表彰式」にて、審査委員会による公開審査にて最終選考が行われた
「優秀作品賞」から選ばれるグランプリ「ビデオ大賞」は、埼玉県の内田一夫さん(76 歳)の作品『限界集落に命の糧と元気を運ぶ二人三脚
の移動販売車』に決定。
『限界集落に命の糧と元気を運ぶ二人三脚の移動販売車』
(作品概要)
南牧村は日本一高齢化の進んだ集落。山の中腹に住むお年寄りたちの束の間の楽しみは、移動販売車の来訪だ。大切な少量補給のライフラインでもある。28年続けてきた安藤さん夫婦とは家族同様の付き合いとなり、賑やかな笑いの井戸端会議となる。行政が入り込めない限界集落の現実を取材。
また、特別賞の2 作品として、故 筑紫哲也氏のご遺族の選出により、ジャーナリスティックな視点に特に優れた作品に贈られる「筑紫哲也賞」は『Gray Zone』(塚原 真梨佳さん・20 歳・京都府)に、TVF サポーター(賛助会員(約120 名))の審査投票によって選出される「市民賞」は『おくりもの』
(佐藤 好子さん・76歳・東京都)に決定した。
<「筑紫哲也賞」受賞作品>
『Gray Zone』(塚原 真梨佳さん・20 歳・京都府)
<作品概要>
沖縄の70%を米軍のフェンスが囲っている。沖縄生まれの女子大生が、
オスプレイの配備問題をきっかけに、家族や友だちと沖縄のあり方と
複雑な心境を取材しようとする。基地に頼りすぎた沖縄の難しさを当
事者の思いとして実感する。結婚して沖縄に住みだした母の発言が興
味深い。
<「市民賞」受賞作品>
『おくりもの』(佐藤 好子さん・76 歳・東京都)
<作品概要>
亡夫は映像マニア。受賞がきっかけとなって、妻子を使って夫は映
像をつくり続けた。妻はいつも夫からの指令を受ける便利屋になら
ざるを得なかった。おかげで映像嫌いになった妻だが、残された映
像遺産を前にして、引き継ぐことを決心し、今では妻が大好き人間
になった。
ちなみにビデオ大賞を獲得された内田一夫さんは小誌筆者としてもお馴染み。
主にアマチュア向けのビデオ制作の連載もされてきた。
その連載をまとめた本はこちら。
http://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=2141
各賞を含む優秀作品賞、佳作はTVFのホームページで見ることができる。
「東京ビデオフェスティバル」公式サイト(NPO ホームページ)
http://tvf2010.org/