ようやく1月末に本格的に出荷されはじめたBlackmagic Cinema Camera(以下BMCC)。
ちょうどいいタイミングでファームがVer.1.2になり、昨年のテスト段階で問題にされていた
レンズのF値が表示されないという問題も解決。
これまでは事実上Ver.0.9で
現在のファームがやっとVer.1.0といってもいいのではないでしょうか?
(Ver.1.2の情報はこちらから)
これまでビデオサロン本誌では9月くらいに、MOOK「デジタルシネマカメラ完全攻略」のために11月くらいにBMCCのデモ機をお借りして短期間ですがテストしてきました。
その内容はぜひMOOKのほうを
お読みください。
今回またお借りして、掲載はわずかな素材ではありますが、EOS 5D Mark IIと同時にカメラを回してみました。操作性は横において、BMCCの映像がどういう傾向なのかということを確認してみたかったからです。ちなみに今回テストしたのはProResのみ。BMCCは2.5K RAWで撮れることが話題ですが、このRAWデ―タがめちゃくちゃ重い。編集部と自宅の環境で動画として扱えるのはProResまでということで、今回はProResにしました。実はMOOK用にテストしたときに、ProResでも充分13ストップ近くの階調があることが確認できたからでもあります(filmモード時)。たしかにRAWはすごいのでしょうが、30万円以下で本体だけでProRes HQで撮れるカメラというのは存在しませんから、ProResカメラと考えても充分に存在価値はあると思います。
そのProRes時ですが、ダイナミックレンジでfilmモードとvideoモードのどちらかを選択できます。やはりBMCCを使うからにはfilmモードでしょう。
で、filmモードだとこんな調子。
ちなみにEOS 5D Mark IIのCineStyleという軟調のピクチャースタイルをいれたのがこれ。
BMCCのfilmはCineStyleよりもさらに軟調なだけでなく、
こういった実景を撮るとEOSは輪郭が相当に硬いということを再認識させられます。Mark IIIではかなり解消されていますが、モアレ、ジャギーも散見されます。
filmモードにしてもCineStyleにしても後処理を前提としているので、編集ソフトのFinal Cut Pro Xでちょちょいといじってみました。色をのせて、コントラストを強めただけです。
次に、モデルがいないので(笑)、寂しいけど人形を撮影。
同じくEOS 5D Mark IIのCineStyle。
EOSはこういった被写体であればビル街の風景で目立った輪郭再現の欠点はほとんど現れず、いい面がクローズアップされる。
さらにこちらもFCP Xでコントラストと色を調整してみた。
ものすごく単純な結論になってしまいますが、
BMCCはEOSムービーの「硬い」調子がイヤだなと思っている人や、
調整して追い込めない部分に不満を感じていた人にとっては絶対に買いのカメラ。
逆にEOS ムービーの画質に基本的に満足している人にとっては、
はっきり言って関係のないカメラです。無視していいカメラだと思います。
どっちがいい悪いではなく、完全に別のジャンルのカメラ。
シネマカメラの定義があるわけではないのですが、
BMCCはまさにシネマカメラという新しいジャンルをアマチュアが手に届く価格帯で提案したエポックメイキングなカメラと言えるのではないでしょうか。
一応動画もYouTubeにアップしました。
今回短期間使ってみて、F値表示が出るようになったとはいえ、いまいちIRISボタンの挙動がわかりませんでした。一応IRISボタンを押すと、AEが働いて「適」の状態のF値にしてくれるということなのですが。個人的には完全にマニュアルで絞りを決められる状態のほうが分かりやすいのではないかと思いました。
つまりEFモデルで、マウントアダプターを介して絞りのあるニコン、コンタックスレンズを使う
か、MFTモデルでコシナのレンズか、マウントダプターで前述のレンズを使うか、ですかね。
もう一度MFTモデルが出てきたら検証してみたいと思います。