文●川井拓也
Vol.09 ローランドVR-4HDで完全無人マルチカメラ収録!
A4サイズの筐体にHDスイッチャーと8入力オーディオミキサーを収めたAVミキサー
ローランド VR-4HD オープン価格 (実売30万円前後) |
タッチパネルの直感操作でスイッチングができるローランドVRシリーズ・最新モデル。筐体右半分は映像のスイッチャー、左半分はオーディオミキサーを内蔵。 |
◉オートスイッチングにオートミキシングまでついたオールインワンHDスイッチャー
マルチカメラ収録&配信の完全無人化に取り組んでいます。スイッチングの仕事で食っているにも関わらずなぜ自分の仕事を殺すような取り組みをしているのか? それは無人マルチカメラでしかできないことがあるからです。なにしろ現場にスタッフがいないわけですからすべてが出演者になれます。とてもリラックスした状態を作れるわけです。何かをカメラの前で演じなければいけないプレッシャーから解放されます。
これまでローランドV-1HDについているオートスイッチングを使ってきましたが、最後の関門がオーディオのミキシングでした。VR-4HDにはオートミキシング機能がついているのでこれで完全無人マルチカメラ収録が1台のHDスイッチャーでできるはずです。
◉オートミキシングの機能は意外にシンプル!
さて、そもそも「オートミキシング」とは何か? ということですが、VR-4HDに搭載されているオートミキシングの設定画面はシンプルです。VR-4HDの音声はXLRが4系統とHDMIが4系統、その他にステレオが2系統あります。このどれをオートミキシングの対象にするかをオン/オフで決めます。今回はXLRのマイクを4系統使うのでそれ以外をオフにします。この設定を間違えるとHDMIで接続しているカメラマイクの音などもオートミキシングされてしまうため失敗します。
さらにオートミキシングに使う基準の音量を0から100のレベルで設定できます。声を拾うマイクは100にしておき、拍手や笑い声を拾うアンビエンスマイクは50にするなどが可能です。オートミキシングの動作中は左のレベルメーターが自動で調整され、上下に動作します。
◉オートミキシングの一発起動ボタンが最初から設定されている!
VR-4HDには5つのユーザーボタンがパネル上部にあり、デフォルトで1にはオートミキシングのオン/オフが割り振られています。このボタンを押すと設定で選んだチャンネルの入力レベルに応じてオートミキシングされます。オートミキシングと言ってもゲインや音質などは各チャンネルごとにあらかじめ調整しておく必要があります。XLRの4系統はイコライザー、ゲート、コンプレッサー、ハイパスフィルターがついているので細かく追い込んでいきます。ディレイも各チャンネルごとにあるのでマイクごとに調整できますが同じマイクを使う場合はAUXでディレイをまとめて設定することもできます。
◉要らないカメラは端子を抜けばオートスイッチングから除外
最初のゲインや音質設定さえ細かくチューニングしておけばオートミキシング自体の設定は短時間でサッとできることがわかりました。オートスイッチングは秒数を途中で変えられるので、5秒ごと4カメ20秒のループが忙しないと感じたらすぐに10秒ごと40秒のループに変えられます。また4カメでオートスイッチングをはじめたけれど、このカメラいらないなという場合はHDMIを抜けばそれ以外の3つのカメラのオートスイッチングに瞬時に変わります。入力信号のない端子はオートスイッチングの対象にならないのが便利です。使い方次第で無限の可能性が広がるVR-4HDの完全無人マルチカメラ収録&配信!まだまだ試行錯誤中ですがひじょうに面白いのでぜひみなさんもトライしてみてください!
◉Facebook Liveで配信してみた
▲筆者が運営するイベントスペース・ツカパー101でVR-4HDのオートスイッチング&オートミキシングを使って、ライブ配信&収録をしてみた。
実際の動画はこちら→ https://www.facebook.com/LiveNinja/)