ソニーは、6月7日と8日の2日間、本社ビル2Fにおいて、4月のNAB2017に出展した機器をはじめとする最新の放送業務用制作機器、システムソリューションを展示した。そのなかでビデオサロン的に気になったものを紹介していこう。放送機器、送出システムなどは省略しているのでご了解いただきたい。

FS7にFUJINON MKを装着

FS7にはソニーの電動ズームがキットレンズになっているが、これはFUJINO MK 18-55mmをセットにしたもの。ショルダーで長時間バッテリーが使えるENGスタイル。アームグリップをこの位置にもってくれば、まさにENGカメラ。デザイン的にもまるで純正のようにマッチしている。

 

電子式可変NDフィルターの巨大模型!

これは手をみてもらうとわかるが、巨大な模型。Eマウントが何倍のサイズになっているのだろう。ダイヤルを回すと濃度が変わるのがよくわかる。展示用に作った再現装置。

 

ソニーからも出た! プラグオンタイプのトランスミッター

マイクのXLR端子に直接装着できるプラグオンタイプのトランスミッター。RODEのNewsshooter kitが有名だが、実は海外ではこの手のトランスミッターが大流行りなのだそうだ。ソニーでもすでに海外では販売されているようで、日本でも7月から発売開始。RODEが2.4GのWi-FI帯なのに対して、ソニーは従来のアナログB帯。電源は単3電池2本で10時間。DC5.0VのUSB給電も可能。マイクへの48V電源供給も可能。小型軽量かつ堅牢なメタルボディを採用。受信側としては、同社のUWPシリーズやWRT/WRRー800シリーズが利用できる。

 

小型のワイヤレストランスミッターも検討中

デジタルタイプの小型ワイヤレストランスミッターも検討中だという。これは劇団四季バージョンだという。これよりもさらに小型のものを求められており、現在開発中。

映像制作向けの2.5インチProfessional SSD「Gシリーズ」

昨年は業務用のSDカードが話題になったが、今年は2.5インチSSDが登場。ソニーの独自技術によりSSDの総書き込み容量を大幅に向上させた。SSDの書き換え回数が限界に到達するまでの間、最大2400テラバイトの書き込みを実現している。これは週に5回の頻度で全領域を書き換えた場合、約10年間の使用に相当するという。容量は480GBと960GBの2種類で、それぞれオープン価格で約4万円前後と7万円前後。SHOGUN INFERONO用のSSDとしても動作保証されている

 

スイッチャーMCX-500のファームアップ

昨年末に登場したコンパクトライブスイッチャーMCX-500はファームアップで、タッチパネルトランジションレバーに対応するとアナウンスしていたが、2017年中のファームアップになりそう。それ以外にロゴ機能、SDカード記録のXAVC-S対応(これまではAVCHDのみ)を予定している。またリモートコントロールのRM-30BPとの組み合わせでのタリー表示は当初は、ほぼ同時に発表されたNX5Rのみだったが、FS5、Z150(2017年7月対応予定)とラインナップを拡大中。今後も対応機種は増えていくという。またストリーミング機能は、従来はUSTREAMのみだったのが、YouTubeライブ、Facebookにも対応する。

 

Z150とFS5のインスタントHDR

今年のNABでは業務クラスので新しいカメラの発表はなく、話題といえば、FS5とZ150のインスタントHDR対応くらい。ただ、このHDRはむしろハイアマチュアにアピールするような気がする。ネイチャー系映像には絶大な効果を発揮しそうだ。FS5のバージョン4.0、Z150のバージョン2.0(ともに7月リリース予定で無償)で、Hybrid Log Gamma(HLG)を選択できるようになる。HDRモニタリング用のガンマディスプレイアシスト機能も加わり、基本的には撮影から編集までなにもいじる必要がなく、HLG対応のテレビに表示したり、インターネット配信サービスに受け渡せばよいというもの。対応テレビや配信サービスではHLGメタデータを検知して、HDR表示してくれる。

その他のバージョンアップ情報としては、Z150のバージョン2.0により、MCX-500との組み合わせでタリー表示が可能になったり、ゼブラ機能がアップグレードして2種類の設定に対応。またレベル調整も1%刻みで可能になる。

FS5のバージョン4.0では、HLGガンマ以外に、S-Log撮影時の最低ISOが3200から2000になるのも大きな進化。また7月末に発売予定のFS5用1080p120fps無制限アップグレードライセンスCBKZ-FS5HFR(65,000円)をFS5に適用することで、120fps撮影の時間が無制限になる。X70の4Kオプションのように有償なのは残念だが、このように業務用カムコーダーにおいても機能をファームアップで追加していくという道筋がはっきりと見えてきたのは歓迎すべきことだろう。