本誌筆者としても活躍している岡野肇さん(まじかるふぇいす)ですが、実はこんな趣味がありました。70年代から80年代を中心にアイドル歌謡曲をエアチェックして、データベース化すると、こんなおもしろい発見があるのです、というレポートが2005年から2006年にかけて連載されていたのです。編集部としては、このデータベースはとんでもない文化遺産!だと思います。このレポートを過去に埋没させないためにも、あらためてネット上で再掲載することにしました。毎週水曜日にアップしていきますので、お楽しみに。
◆アナログ(つまり手書き)のデータベースはほんとに大変だった
エアチェッカーでデータベースマン、それが私です。ビデオサロン2004年3月号で紹介していただいたのでご存知の方もおられると思いますが、70、80年代を中心とした歌番組のエアチェックをデータベース化し、いろいろ楽しんでおります。「エアチェック」という行為は私たちの年代では常識的な趣味でした。毎週発売されるFM雑誌を片手に、これも当時流行っていた蛍光ペンで好きな番組や曲に印を付けて、どんどんカセットに溜め込んでいました。
よく「エアチェックするが使い道がない」という話を聞きますが、私の場合エアチェックする楽しみに加えて、それをデータベース化し、テープは放送局のレコード倉庫を目指して貯め込み、それらを使って親しい人にDJ番組を作っていました。
下の写真はそのときのデータベースのレポート用紙の束です。デジタル=コンピュータの時代になって私がいちばんありがたかったのは、実はこのデータベースなのです。
この25年以上前のアナログデータベースは、作成が非常に大変です。1曲エアチェックするたび、3冊に書き込まなければならないのです。まず「テープ順」そして「曲名あいうえお順」と「歌手名あいうえお順」です。しかし、こうしておくと後から大変重宝するのです。
▲曲名あいうえお順のファイル
▲歌手名あいうえお順のファイル
▲テープ順のファイル
ここからが私から皆さんへの提案です。
当時は、DJ番組を作るためにいち早く楽曲を探し出すために使っていたのですが、今はカード型データベースソフトでデジタル化し、いろいろな視点から検索、ソートできるようになりました。つまり、データベースの1つ1つのデータを使って好きな観点から見たアウトプットが取り出せるのです。
現在も進行中の「歌番組データベース」を例にとると、ただ録画順に見るだけではなく、色々な検索、ソートにより、
・ある歌手のディスコグラフィー(歌手名検索と発売順ソート)
・作曲家別ディスコグラフィー(作曲家名検索と発売順ソート)
・カバー、リメイク曲特集(曲名検索)
など、アイデア次第でもっとあるでしょう。
そして、現在2134曲ある中から選び出したくさんのDVDを作って楽しんでいます。
この歌番組エアチェックを始めたのが1983年。当時していた仕事の関係で中古テープがたくさん手に入ったので、使用デッキはなんと家庭用3/4(ユーマチック)でした。ほこりをかぶっていますが今も現役です。そして、ベータマックスをへてVHSと、様々なフォーマットに及んでいますが、HDDにデジタイズしてしまえばどれも皆同じように使えます。愛用のデータベースソフト「ファイルメーカー」は動画も表示できるため、検索、ソートした結果をそのソフト上で見ることもできます。アーカイブ番組を個人的に作っている感じでしょうか。いろいろ言い過ぎで混乱してしまいましたが、私の使っている機材やソフト、
方法については次回から詳しく書きたいと思います。今からでも始められるこのライフワーク的趣味は決して終わりがありません。
岡野 肇
PROFILE
1960年生まれのかに座のB型。
18歳と10カ月で高卒後広島から上京。
伝説の番組「ザ・ベストテン」のドライアイス担当を皮切りに、
美術・録音・照明・VE・撮影・制作・演出と各分野をめまぐるしく駆けめぐり
29歳と11カ月で株式会社まじかるふぇいす(現有限会社)を設立。
現在は特に「音楽とビデオの融合」を目指し、日夜企画書と格闘中の
映像・音楽プロデューサー。趣味はナレーションとデータベース作り。