スマホなのに
「いつも通り」の感覚で
編集できる多機能アプリ

レポート●タイム涼介

KineMasterの編集画面

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①一段階戻る。②やり直し。 ③テーマ(フレーム)選択。④SNS等に共有。⑤ビデオやオーディオのフェードイン/アウト設定。⑥タイムラインのみを表示。⑦タイムラインの先頭とお尻にジャンプするボタン。⑧レイヤー(テロップや静止画、ステッカー、手書き)を追加。⑨メディアブラウザ(スマホ内の動画を読み込み)。⑩カメラが起動(。⑪音声(アフレコが可能)。⑫オーディオ(BGM等のオーディオデータを追加)。⑬プロジェクト管理画面に戻る。⑭再生/停止ボタン。
[ 製品概要 ]
 KineMasterはAndroid用の動画編集アプリ。無料でもすべての機能が使えるが、画面にロゴの透かしが入る。月額500円、年間4000円で透かしを外せる。

[ 使い勝手 ]
 KineMasterで映像編集をしてみた第一印象は「いつも通りできる」だ。「いつも」というのは自宅のPCでの編集のことで、さほど違和感なくいつもに近い編集を目指せた。ただし、私がPCで使っているAdobe Premiere Proとは、ユーザーインターフェイスに大きな違いがある。これはスマホなどのタブレット端末を指で操作することに特化したゆえにたどり着いた形だろう。目新しいインターフェイスなので初回は戸惑う部分もあったが、日本語に翻訳してあるので、行き詰ることはなかった。操作を間違えたとしても取り消しボタンを押せば、一つ前の操作に戻れるので安心だ。
 編集時と同じスマホ(HTC J butterfly HTV31)で撮影したフルHDの映像素材を編集したのだがレンダリング待ちなどで長く手が止まることはなかった。この辺も違和感なく「いつも通りできる」と感じる理由だろう。しかし、よくよく考えてみると、スマホだけでパソコンでの編集に近い感覚を実現できるのはすごいことだ。
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▲クリップを選択して、赤枠部分をスライドさせるとトリミングできる他、クリップの分割や音声を消すなどの操作も可能。
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▲メイン画面の⑩のボタンをタップすると、カメラが立ち上がり、撮影した動画を編集のタイムラインに読むこともできる。今回のテスト環境では露出操作はできなかった。
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▲「色合い」では色味のプリセットが39パターン収録。「カラー調整」では輝度やコントラスト、色味の調整機能も備える。
 今回は一台のスマホだけで撮影から編集、そしてYouTubeへのアップロードまでを完結してみた。この方法では画質は使用するスマホのカメラの性能に依存するので限界はあるが、場所を選ばないので出先でも作品を量産したいユーチューバーなどには重宝されそうだ。また簡易的だがクロマキー合成までできてしまうのは驚きだ。
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▲Qualcomm Snapdragon 800/801/805/808/810、Tegra K1、Kirin 920 HiSilicon 3630、 Samsung Exynos 7 Octa 7420のチップセットを搭載した端末ならばクロマキー合成機能を使える。

[ 編集の際の注意点 ]
 スマートフォンで編集する際の注意点はバッテリーだ。エフェクトなどの負荷にもよるだろうが、電源とつなぐかモバイルバッテリー等の予備バッテリーがあると安心だ。もう一つは画面の大きさ。スマートフォンではプレビュー画面が小さいのでピントが合っているかどうかなど細部のチェックが必要な場合には、大き目のタブレットで編集するなどの対処が必要だろう。

[ エフェクト ]
 KineMasterでは豊富なエフェクトやトランジョンが用意されているが、それらを調節するパラメータは極力省かれている。こう書くと物足りない印象に取られそうだが、モバイル端末で編集する際になるべく選択肢を限定してゴールを近づけるためのバランスよいチューニングだと感じた。
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▲ディゾルブなどのオーソドックスなものからファンシーなものまで多彩なトランジションを収録。
 指先で素材の尺を伸縮させたり、先頭を他の素材と整列させる操作は集中力を必要とするので私の場合だと連続3時間ぐらいの作業でひと区切り必要だった。カットの切れ目などに吸着して配置できるスナップ機能があれば効率が大幅に上がるはずなので今後のアップデートに期待したい。
 

初心者向けのガイド機能も搭載

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▲プロジェクト管理画面。赤枠のボタンを押すと、下のプロジェクトアシスタントが開く。空プロジェクトはガイド機能なしで起動。
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▲プロジェクトアシスタント。メディア、テーマ、テキスト、BGMを指定して動画を作成する初心者向けのガイド機能。

スマホで撮影した動画をKineMasterで編集。YouTubeにもアップしてみた


撮影・編集:タイム涼介
モデル  :松井琴乃