1台あれば様々な現場で応用できるボックススタイルの新コンセプト・ミラーレス一眼カメラLUMIX BGH1。 広告クリエイティブ制作を中心に、ビジュアルコミュニケーション事業を展開するアマナグループのフォトグラファーで動画作品の撮影も多数手がける 松栄憲太さんとドローン空撮、ライブ配信の現場で活躍する古賀心太郎さんのおふたりに使ってもらい、 そのインプレッションをインタビューした。

取材・文●青山祐介/構成●編集部
取材協力●松栄憲太(アマナフォトグラフィ)、古賀心太郎(アマナ)
協力●パナソニック株式会社

 

▲LUMIX DC-BGH1 オープン価格(実売27万円前後)

 

現場で使ったクリエイターが語るLUMIX BGH1の可能性

この動画は2020年12月19日に実施したライブ配信のアーカイブです。

 

どう使おうか? 想像力を掻き立てられるカメラ

アマナフォトグラフィの松栄憲太さんは元々グラフィック出身のカメラマンだが、最近では動画案件が増え、仕事の中心を占めているという。

──カメラに求めることは?

主にタレントやスポーツ選手といった人物を、スタジオよりも外で撮る仕事が多いのですが、そのため機材の心配をすることなく使える信頼性と、自分のわがままなリクエストに応えてくれる機材を求めています。

──BGH1の第一印象は?

“モックアップなのか?”と思うくらい小さくて軽いことですね。最近の仕事で使うことの多いシネマカメラに比べて、圧倒的にコンパクトで、軽いことにも驚きました。

──実際にBGH1を使って作品を撮ってみていかがでしたか?

今回の撮影ではライティングにもこだわったのですが、コントラストが強いライティングのなかでカメラを動かしながらのワークでも、AFの精度が保たれていたり、衣装のハイライト部にも色が残っていたのが好印象でした。また、ボディが小さいので演者に対する威圧感が小さく、演者にカメラを意識させることなく撮影できるのもいいですね。

──BGH1の気に入った点は?

ボディの4面に三脚ネジ穴があるので、リグを使わなくてもモニターやグリップが付けられるところでしょうか。スライダーに載せたり、照明を吊るすバトンにくくりつけて真俯瞰で撮ったりもしてみたのですが、自分でどう使うか想像力を掻き立てられるカメラだと思いました。それに加えてHDMIはもちろんSDIもあって、端子が充実しているのもうれしいですね。

──確かにこの価格帯のカメラにSDIが付いているのは珍しいですね。

3G-SDIですが、ライブ配信用途やモニターへの引き回しなどには現場で重宝しそうです。やはりケーブルを長く引き伸ばせたり、BNCで簡単に端子が抜けないという点でSDIは安心して使えます。

──今後、BGH1でこんな使い方をしたいというのはありますか?

アクションカメラの延長という位置づけで、バギーやロボットアームに載せるといった、やや乱暴なシーンでも使ってみたいですね。そんな使い方の中で、アクションカメラとは違う画に期待しています。LAN経由で12台を同時制御できる機能もあるようなので、インタビュー収録でもいろいろな位置にカメラを設置して、多視点の収録にもチャレンジしてみたいです。このカメラは、とてもコンパクトなので、カメラの台数を増やしても持ち運びに困りません。そのため、三脚用、ジンバル用といったようにカメラを割り当てることで、セッティングチェンジの時間を省けるのではないでしょうか。

 

松栄さんがBGH1で撮影した作品『尾上紫×抒情詩 日本舞踊 ヘルマン・ヘッセ』

ヘルマン・ヘッセの詩に振りつけした舞踊を日本舞踊家の尾上 紫さんが演じる。ヘッセの詩の朗読や振り付けをした尾上墨雪さんのインタビューを収録したダイジェスト映像。

小型で被写体にも圧迫感を与えない、真俯瞰など攻めたアングルも狙える

▲作品では日本舞踏の他、朗読やインタビューも収録。カメラが小さいことで被写体に威圧感を与えないのもこのカメラのいいところだという。

▲Vマウントバッテリーからモニターやワイヤレス映像伝送装置やフォローフォーカスなどの周辺機器にも給電しながら撮影。

▲レールを敷いて移動撮影。

▲照明を吊るすバトンにクランプで設置し、真俯瞰を撮影。小型・軽量なので、どこに仕込もうかという想像力をくすぐられる。

 

ジンバルやリグに取り付けてロケ撮影でも使える

SmallRigからBGH1専用ケージも発売されている

▲手持ち撮影での周辺機器との組み合わせ例。SmallRigからBGH1専用リグ・3024(9,612円)も登場。ハンドルマウント2165(6,372円)、ウッドグリップ1941(10,584円)と組み合わせた。モニターは5インチのSmallHD FOCUS OLED HDMI(34,000円・RAID取扱)を使用。

 

重心が中央にあるカメラなので、ジンバルでバランスが取りやすい

▲DJI RS2と組み合わせた例。レンズやバッテリーとのバランスにもよるが、ボックススタイルのカメラで重心は中央にあるため、ジンバルでのバランス調整が取りやすい。RS2にはスマートフォンへの映像伝送装置もあるため、モニターを用意しなくても映像を確認することもできる。

 

ライブ配信のスタジオで

耐熱設計でライブ配信や長時間の収録でも安心して使える

▲アマナでは今年7月にリアルタイムCG合成のライブ配信サービス「deepLIVE™」を開始。そのスタジオでプレゼンの模様をテスト撮影。ATEM Mini Proで簡易的に合成したものだが、グリーンの抜けも良く好印象。 本体内部にファンを搭載し、側面には熱を逃がすスリットも備えられているため、長時間の録画にも耐えうる設計になっている。

▲本体には天面と左右に3つずつ1/4インチの三脚穴が切ってあり、モニターを2つ用意すれば、カメラマンにスイッチャーのプログラム出力の映像を返すこともできる。

▲カメラ前方とリアにタリーランプを備え、録画中に赤く点灯する。また、カメラに接続したモニターに録画中赤い枠を表示することもできるので、録画ボタンの押し忘れを防げる。

▲この価格帯のカメラとしては珍しく、3G HD-SDIを搭載。ケーブルを引き伸ばしたい配信の現場には便利。タイムコードやゲンロックも備えているため、マルチカメラ収録で同期もとれる。

 

ドローンにも取り付けられる

重心が中央にあるカメラなので、ジンバルでバランスが取りやすい


▲DJI Matrice 600に取り付けた状態。この機体にはARRIやRED等のシネマカメラを搭載できるが、もちろんBGH1も搭載可能。機体とHDMIで接続すればプロポ側で映像をモニタリングできる。スマホアプリ「LUMIX Sync(無料)」を使えば、ジンバルから外さずに露出等のカメラ設定を調整できる。ただし、2.4GHz帯の電波を使うため、ドローンの操縦電波との干渉のおそれもある。飛行中のアプリの使用はおすすめしない。

▲業務用カメラはSDI端子のため、SDI to HDMIのコンバーターを用意し、接続する必要があるが、HDMIも備えているため直接ドローンと繋げられる。

 

ペイロードの限られる ドローン搭載に最適

同じアマナグループでドローン撮影サービスairvisionのブランドディレクターであり、今夏からサービスを開始したバーチャル・ライブ・ビジュアルソリューション「deepLIVE」のテクニカルディレクターも務める古賀心太郎さん。古賀さんにはBGH1をドローンに搭載した際の使い勝手やライブ配信サービスのなかでのメリットを教えていただいた。

──ドローンで使うカメラとしてのBGH1はどう感じましたか?

空を飛ぶドローンはペイロード(搭載重量)に制限があるため、カメラの軽さは絶対的な魅力だといえます。また、カメラをドローンのジンバルに載せる際にバランスを取るのですが、端子類がすべて後面にあるため、左右の位置を調整する際に制約が少ないのもいいですね。また、3種類あるバッテリーの大きさを選ぶことで、レンズの重さとのバランスを取るといった使い方もできます。

──古賀さんは配信サービスも手がけていらっしゃいますが、そこでの使い勝手はいかがでしょうか?

deepLIVEはグリーンバックでCG背景などをリアルタイムに合成しながら配信できるのですが、BGH1はグリーンバックに対して人物をはじめとした被写体のエッジがきれいに抜けて合成しやすいという印象です。実際にコンシューマー向けのキーイング機材であっても、キレイな画になったのは好印象でした。

また、deepLIVEではライブだけでなく収録したものを配信することもあるのですが、複数台をタイムコードで同期できるため、編集する際にとても助かります。PCを使って一括で操作できるのもいいですね。

──アマナグループという会社の機材として見た場合のBGH1はいかがでしょうか?

グループ内には機材を扱う部署があり、動画に写真、ドローン撮影など、さまざまな撮影手法や規模に対応する形で機材を提供しています。BGH1であれば、幅広い撮影に対応できるため、機材効率がよく、社内でもニーズが高いと思います。

 

 

●LUMIX BGH1を使ったクリエイターへのインタビュー動画

 

VIDEOSALON 2021年1月号より転載