10月27日に発売となるマイクロフォーサーズ規格の静止画用フラッグシップ機LUMIX G9PROII。静止画用と位置づけられながらも動画ユーザーにも目を引くスペックが目白押しのこのカメラをLUMIX愛好家のSUMIZOONさんはどう評価するのか?

テスト・文●SUMIZOON

 

はじめに

LUMIX G9PROIIはLUMIXのマイクロフォーサーズマウントである静止画用フラッグシップカメラLUMIX G9PROの後継機種である。

▲G9PROII

 

初代LUMIX G9PROの発売日は2018年1月25日。もう5年半以上前の話である。G9PROは発売後に度重なるファームウェアアップデートにより、当時動画撮影機として人気を博していたGH5と同等の動画スペックにまで機能向上された機種である。

▲初代LUMIX G9PRO

 

それどころかG9PROは実はGH5よりも新しいカラーサイエンス、優秀な手振れ補正を搭載していたため、記録時間制限(4K30p:30分/4K60p:10分)やXLRユニットが接続できない、LongGOP記録に限定される等の制限はあったものの、高画質に動画が撮れるコストパフォーマンス最強の動画カメラであると筆者は唱えてきた。

ある意味、先発のGH5に対し、一部スペックにおいては下剋上を果たした製品なのだ。

そのG9PROの後継機種が今回紹介するG9PROIIである。果たして当時のGH5とG9PROとの関係の様に、G9PROIIがハイブリッドミラーレスカメラのフラッグシップであるGH6に対し下剋上を果たしている部分があるのか否か?

これは筆者が当初から注目していた部分であり、今回の記事もその部分についてフォーカスしたいと思う。

▲左:LUMIX GH6 右:LUMIX G9PROII

 

 

LUMIX G9PROII概要

ここではG9PROIIの基本スペック及び動画スペックに関して記載したいと思う。

▲GH6から更新された撮像素子

 

LUMIX G9PROIIスペック
カメラ有効画素数 / 総画素数 2521万画素 / 2652万画素
撮像素子4/3型Live MOS センサー 4/3型Live MOS センサー
本体重量 約658g(本体、バッテリー、SDメモリーカード1枚含む)、約575g(本体のみ)
ラチチュード 13+ストップ(センサー出力60fps以下)、12+ストップ(センサー出力61fps以上) (V-Log)
動画フォーマット 動画性能:LUMIX GH6同様に数多くのフォーマットを搭載

5.8K(5760×4320)30p/24p 4:2:0 10bit LongGOP
5.7K(5728×3024)60p/48p/30p/24p 4:2:0 10bit LongGOP
4.4K(4352×3264)60p/48p 4:2:0 10bit LongGOP
C4K(4096×2160)120p 4:2:0 10bit LongGOP
C4K(4096×2160)60p/48p/30p/24p 4:2:2 10bit ALL-I
C4K(4096×2160)60p/48p/30p/24p 4:2:2 10bit LongGOP
C4K(4096×2160)60p/48p/30p/24p 4:2:0 10bit LongGOP
4K(3840×2160)120p 4:2:0 10bit LongGOP
4K(3840×2160)60p/48p/30p/24p 4:2:2 10bit ALL-I
4K(3840×2160)60p/48p/30p/24p 4:2:2 10bit LongGOP
4K(3840×2160)60p/48p/30p/24p 4:2:0 10bit LongGOP
※5.8K/5.7Kフル画角のみ
※4K/C4K撮影はフル画角/Pixel by Pixelが選択可能

HDMIポート HDMI Type A
USB充電/USB給電 可能
USBによるSSD接続記録 可能
HDMI 出力解像度 C4K/60p、C4K/30p、4K/60p、4K/30p、1080/120p、1080p

 

 

G9PROIIとGH6同等の動画スペック

GH6同等のコーデックモンスター

前述の様にG9PROIIはGH6と同等のコーデックモンスターだ。5.7K60pや全画素読み&フルエリア撮影可能な4K120pまで実に多彩なコーデックに対応している。アナモフィックレンズを使用した場合に適したオープンゲート5.8K(4:3画角)撮影はアナモフィック撮影に最適なだけでなく、縦方向に切り出したとしても4K解像度を確保できることから、近年多く見られる様になった縦動画を高画質に横撮影することも可能だ。

 

SSD記録によるProRes記録

SSDはビット単価が安く高速記録できるメディアであり、LUMIXではGH6で初めて使用できるようになった。GH6同様にUSB-Cを介してのSSD接続がG9PROIIでも可能である。

尚、GH6ではCFexpressを使用したProRes422記録が可能だが、G9PROIIではSDカードのダブルスロットであるが故にSDカードにProRes422記録が行えない(FHD画質は除く)。

G9PROIIでは高解像度ProRes422など高ビットレート撮影時にはUSB-Cを使用したSSD記録が必要となる。

尚、SSD記録の場合はSDカードへの書き込みが出来ないためバックアップ記録はできない点に注意いただきたい。

 

各種アシスト機能

シャッター開角度表示、スポット輝度メーター、シンクロスキャン、フォーカストランジションなど、動画撮影アシスト系の機能はGH系以外の機種では従来省かれる傾向にあった。G9PROIIではそれらの機能が搭載されているため機能的にはGH6と同じ感覚で使うことができる。

▲シャッター開角度表示や波形モニター表示も可能

 

 

動画作例

デモ機をお借りして撮影した映像をご紹介したい。4K120pやProRes422撮影や手持ち撮影など多くのフォーマット、スタイルで撮影した映像をひとつにまとめたものだ。

筆者はこの撮影においてG9PROIIのポテンシャルの高さ実感した。是非4K解像度でご覧いただきたい。

 

 

G9PROIIがGH6よりも向上しているポイント

像面位相差センサー搭載

G9PROIIではマイクロフォーサーズのLUMIXとして初めて像面位相差画素を搭載した。GH6まではコントラストAFアルゴリズムを搭載していたが、像面位相差画素によるフォーカス精度向上が最大の違いと言えるだろう。

そもそもコントラストAFは撮像された画像からコントラストを抽出し、そのコントラストのピークを探索するAF方式である。スチルの場合はAF動作とレリーズする瞬間が異なるため、AF動作は高速なフレームレートで探索、撮像の瞬間はフル解像度で画像取得するといった動作ができる。そのため高速なピント合わせが可能である。ところが動画撮影の場合は、撮像中の実フレームからコントラストを抽出し、その最大値を探索しなくてはならない。

コントラストAFは画素欠損による画質劣化を引き起こすことなく高品質な映像が撮れる事から、LUMIX開発陣営が長年拘って磨いた技術であるが、フレームレートを低くするとAF性能が落ちる、動く被写体を低いシャッタースピードで撮影するとピントが合いにくい、点光源の玉ボケなどの輪郭をピントの山として認識されてしまうなどの挙動があった。

現段階でのファームウェアでは点光源でのピントの迷いがなかったかと言うとそうではないものの、多くのケースでカメラ任せのオートフォーカスが使い物になると言って差し支えないと思う。特に人体認識を使用した動画撮影で「ピントが背景に抜ける」といった挙動は極めて少なくなった。

既に、像面位相差AFはフルサイズLUMIX S5II/S5IIXでは採用されているが、S5II/S5IIXよりもAFの挙動はさらに高まっていると感じた。

 

制限のなくなったダイナミックレンジブースト

ダイナミックレンジブーストは異なるゲインの2枚の映像を画素毎に合成してダイナミックレンジを拡張する高度な技術だ。時間軸の異なる複数枚の画像を合成する(ドライブレコーダーなどによく用いられている)技術とは異なりこの複数合成技術はゲイン毎のタイムラグは生じないため、ブレが二重になる様な映像にはならずダイナミックレンジブーストによる映像に不自然さは全くない。

これは一部高価なシネマカメラで使われている技術だが、民生用のミラーレスカメラとして搭載されているのはLUMIX GH6とG9PROIIの2機種のみである。例えば5.7K60pのダイナミックレンジブースト時には5.7K60p@低ISOと5.7K60p@高ISOを読みだす必要があるので、実質的には5.7K120pに相当する読み出しが行われているイメージである。

https://panasonic.jp/dc/products/g_series/g9m2/high_image_quality.html

 

実はLUMIX G9PROIIではカメラ本体のメニュー画面をみていても「ダイナミックレンジブースト」という文言は見当たらない。一方でGH6では「ダイナミックレンジブースト」をユーザーがON/OFFを切り替えることが可能だったのだが、それは「ダイナミックレンジブースト」が「高ISO回路をベースに駆動させた時にのみ機能がONできるように機能が制限されていた為」と言うのが筆者の認識だ。GH6ではダイナミックレンジブーストをONできるのはV-Log撮影時にはISO2000となり、それでは日中屋外の使い勝手が非常に悪かった。

NDで大きく減光してまで高ISOでダイナミックレンジブーストをONさせるのか、ダイナミックレンジブーストをOFFで使用することで低ISOで撮るのかの選択肢をユーザーに委ねる様にしたのがGH6のダイナミックレンジブーストであるが、その使い分け、使いこなしはある程度撮影における知識が必要だった。

▲ダイナミックレンジブーストが有効な状態でもISO500が使える様になった

 

さて、G9PROIIではユーザー側が「ダイナミックレンジブースト」をON/OFFさせることはできない。これは基本的に4K120pなどハイフレームレート撮影を除き、常時ONだからだ。GH6の様に「ダイナミックレンジブーストの高感度縛り」が無いため、ユーザー側でOFFに設定できたとしても、そのメリットがないからなのだと思う。おそらくこれがLUMIX開発陣が本来求めていた「ダイナミックレンジブースト」の姿そのものだろう。

少々、筆者の推測を含む小難しい話をしてしまったが、
・低感度でもダイナミックレンジブーストが有効になる。
・ダイナミックレンジブーストのON/OFFはユーザーが意識する必要はない(自動で最適に行われる)。
と考えればよいと思う。とにかくこの仕様変更は大きいものだ。

尚、動画撮影時において4K/FHD120pではダイナミックレンジブーストは有効にならないが、5.7K60p/30p/24pなど60p以内のフレームレートは全てダイナミックレンジブーストがONとなる。

 

強化されたB.I.S.(センサーシフト手ブレ補正)と電子手ブレ補正(動画)”強”の追加によるジンバル不要の撮影が可能

近年発売されている多くのLUMIXは強力な手ブレ補正が搭載されている。

スペック表によればB.I.S.センサーシフト式手ブレ補正の精度がGH6に対して0.5段分向上している。GH6に対して目に見えるほどのアドバンテージではないが、大きな違いはむしろ新たに追加された「電子手ブレ補正(動画)”強”」の方にある。

これは電子的な手ブレ補正であるため、画角の変化を伴う。しかしながらジンバルやアクションカムを使用したかの様な、滑らかな映像を手持ち撮影で行うことができる機能である。これは新規に搭載された高精度ジャイロセンサーの恩恵によるものと理解している。

筆者の計測では電子手ブレ補正(動画):強のモードでは1.25倍のクロップファクタ―となる。つまり8mmレンズを使うと35mm判換算20mm画角となる。

また、このモードでは周辺像の歪みの低減をリアルタイムに補正するアルゴリズムが働く。今まではB.I.S.を使用すると広角レンズでは周辺像がふらつく様な像の歪みが発生していたのだが、「電子手ブレ補正(動画)”強”」に設定するとその現象はほぼ確認できないところまで低減されているのだ。

このモードに設定し、しっかりホールドしながら手持ち撮影すると多くの場面でジンバル撮影的なショットを撮影することができる。これはG9PROIIの画期的な部分である。

ただし、いかなる挙動でもジンバルが不要なほどの手ブレ補正となるかというとそうではない。カメラを水平方向に走って移動させるノーズインサークルの様なカメラワークではB.I.S.の揺り戻し挙動があるため、現状はジンバルを使用した撮影に分がある。また、標準~望遠域になるにつれてその効きは弱まる。

今後こういった苦手なカメラワークはファームウェアアップデートで改善できる部分があるのかもしれない。是非ともLUMIXの手ブレ補正をジンバルが全く要らないレベルまで押し上げてほしいと思う。

 

GH6から目に見えて向上した低感度画質

G9PROIIを使っていて疑問に感じたことがある。V-Log撮影においてはGH6のダイナミックレンジブーストOFF時は最低感度はISO250、それに対してG9PROIIはハイフレームレート撮影以外の場合、ダイナミックレンジブーストが働き最低感度はISO500となる。

つまり両者はISOが1段異なる状態なのだが、その最低感度時の画質差がどの程度あるのかが気になった。そこで少し意地悪ではあるが、標準露出から-4EV露出を暗く撮影し、グレーディング時に+4EVのレベル補正を行い両者の画質がどの程度生じるのかを実験した。

まずは標準露出の状態が下記である。

▲①G9PROII ISO500@ダイナミックレンジブーストON(自動) SS=1/60

 

①に対し、シャッタースピードを意図的に1/1000に上げ、-4EVの撮影としたのが下記②である。

▲②G9PROII ISO500@ダイナミックレンジブーストON(自動) SS=1/1000(-4EV相当)

 

この②に対し-4EV相当の状態を動画編集ソフト上で+4EVにレベル補正したものが下記③。

▲③G9PROII ISO500@ダイナミックレンジブーストON(自動) SS=1/1000(-4EV相当を+4EVレベル補正実施)

 

さてGH6の方はダイナミックレンジブーストをOFFした場合はISO250なので先のG9PROIIに露出をあわせるため標準露出は1/30とした。

▲④GH6 ISO250@ダイナミックレンジブーストOFF SS=1/30

 

上記④に対し、シャッタースピードを意図的に1/500に上げ、-4EVの撮影としたのが下記⑤である。

▲⑤GH6 ISO250@ダイナミックレンジブーストOFF SS=1/500(-4EV相当)

 

この⑤に対し-4EV相当の状態を動画編集ソフト上で+4EVにレベル補正したものが下記⑥。

▲⑥GH6 ISO250@ダイナミックレンジブーストOFF SS=1/500(-4EV相当を+4EVレベル補正実施)

 

G9PROIIとGH6の-4EV撮影から+4EV同士を比較したものが下記である。

ダイナミックレンジブーストが効いているG9PROII@ISO500とダイナミックレンジブーストをOFFしたGH6の比較となるが、前者のG9PROIIの方がシャドーのノイズが少ないことがお分かりかと思う。特にパッチの右の黒い部分にGH6ではマゼンタのノイズが発生しているがG9PROIIではそれらが見当たらない。

ダイナミックレンジブーストはハイライト側のレンジを拡張する技術と思われがちだが、実際にはハイライトとシャドーの階調も伸ばす仕様になっているということがこれからわかる。つまりG9PROIIではシャドー部はそのの表現を拡張するために高ISO側の回路を通して得られる画像を合成しており、低感度撮影時にシャドー階調が向上する様だ。

尚、GH6がダイナミックレンジブーストがONできるISO2000ではG9PROIIでは先の結果ほど映像品質の違いは見られなかった。

Standardプロファイルなど通常プロファイルでの動画撮影の場合はISO800以下で、V-LogプロファイルではISO2000以下で、ダイナミックレンジブースト効果でGH6に比べシャドー部の表現に関しては2段近いS/Nアドバンテージがある。

 

バッテリーグリップが使用できる

実はGH6にはバッテリーグリップのオプション設定はない。多くのビデオグラファーはバッテリーグリップを使用しない傾向を鑑みてのことかもしれないが、G9PROIIにはバッテリーグリップのオプションが用意されている。バッテリー(縦位置)グリップはスチルカメラマンに快適な縦位置撮影環境を提供するといった側面があるが、横構図縛りの多いビデオグラファーにとってもメリットがある。

それはUSB-Cポートが外部SSD撮影のために使用している場合の話だ。外部SSDを使用している場合はUSB-Cポートがデータ記録のために使用されるため、電源の供給は内蔵バッテリーもしくはカプラーを使用した給電に限られてしまう。長時間に至る撮影であれば後者を選択するのが定石ではあるが、手軽に長いバッテリーライフを確保したいのであれば、前述のバッテリーグリップを使用するのが便利だ。

 

S5II/S5IIXと共通の外装

G9PROIIの外装は先に発売されているLUMIX S5II/S5IIXと共通である。一部ボタンの位置が異なるが、三脚穴や端子と外寸は全く同じで操作感も全く同じである。この事はフルサイズとの使い分けを容易にするといったメリットがある。さらに既に発売されているケージなどの多くのパーツがそのまま使えるという点もありがたい。(前面のボタン配置がS5II/S5IIXとは若干異なっているため、ボタンに干渉するケージは存在する可能性はある)

▲ケージ類はS5II/S5IIXのものがそのまま使えることが多い

 

GH6にあるがG9PROIIにないポイント

さてここまでは、G9PROIIの優れているポイントを紹介したが、G9PROIIのマイナス面についても記載したい。

空冷ファンがない

G9PROIIはスチルカメラのフラッグシップとしての位置づけであるため、空冷ファンを搭載していない。そのためG9PROIIでは高温下の長時間撮影中でも「絶対に自己発熱で止まる事を許さない」という思想は省かれている。

実際の所40度近い炎天下で直射日光を受けてた状態で撮影していた際に熱警告が撮影開始後5分程度で表示されるケースがあった。おそらく警告後そのまま撮影を続けた場合熱停止で撮影中断を余儀なくされたことだろう。

故に高温下における長時間の撮影を行うケースでは引き続きGH6を使うのが良いと思う。

尚、筆者は室内23度環境下において1時間を超える連続撮影(4K30p 4:2:2 10bit LongGOP)を二度ほど行なったが、その際は熱警告なしに最後まで撮影を終えることができた。

▲「動画記録停止温度:高」に設定すると熱停止のリスクを緩和することができる

 

故に室温が低い状態では長時間撮影が可能なケースは多々あると思うが、やはりリスクが伴う。G9PROIIでの動画撮影は短いクリップを撮り貯める様なケースでの活用をお勧めしたい。

また、筆者は普段、動画記録停止温度:高に設定している。この設定は本体が高温になるため本体に触れない様な撮影スタイルが推奨されるものだ。とは言え、筆者の撮影環境においては本体が持てないほど熱くなることはなかった。

チルトフリーアングル液晶ではない

G9PROIIに搭載されている液晶モニタは、GH6に搭載されている様なチルト液晶+バリアングル液晶を組み合わせた機構の「チルトフリーアングル液晶」ではない。故にHDMIケーブルを接続した際には液晶モニタと干渉する構造となる。

 

外部レコーダーによるRAW動画記録

GH6では外部レコーダーを使用したProResRAW/BlackmagicRAW収録が可能だが、G9PROIIではRAW収録は行うことができない。将来的には外部レコーダーを使用したRAW記録が可能になる可能性もあるかもしれない。ここは対応を期待したいところだ。

 

物理ボタン類が少ない

GH6では前面にRECボタンが配置されていたり、ロックレバーがあったりと物理操作系が充実しているが、G9PROIIにはそれらが存在しない。もちろんG9PROIIの物理ボタンはかなりのカスタマイズが可能だが、機能が多いLUMIXでは多くのファンクションを物理ボタンにアサインしたくなるものだ。

 

前面タリーランプがない

GH6には録画状態を示すタリーランプが前面にも存在する。そもそもスチルカメラであるG9PROIIにタリーランプが搭載されている方が不自然かもしれない。

 

 

まとめ

LUMIX G9PROIIはマイクロフォーサーズのスチルカメラのフラッグシップとして発売されるものであるが、ダイナミックレンジブーストに制限がなくなり低感度では目に見えてGH6を超える画質を実現し、高感度ではGH6同様の画質を有している。

また、電子手ブレ補正の設定次第では歩き撮りでもブレの少ない映像を撮影することができる。そしてオートフォーカスが優秀であることを考えるとG9PROIIを動画撮影でこそ活用したくなる。ただし、長時間の連続撮影では熱停止する可能性があるため運用には注意が必要だ。とは言え長時間の連続撮影で使用しにくい等、運用場面が限定されるものの、活用できる場面は多そうだ。

LUMIX G9PROIIスチル機の皮を被った動画機と言っても差し支えないと思うが、このカメラの連続撮影においてはその限界を見極めた上で使用するとよいだろう。

筆者はショートクリップを撮影するお手軽万能機として活用すべく、本カメラの導入を予定している。

 

 

LUMIX G9PROIIの製品情報