パナソニックは2018年4月4日、4Kビデオカメラの新製品4モデルを発表した。その内訳は、新設計のレンズとセンサーを搭載する3モデルと、従来製品のリニューアル製品が1モデルの4製品。2018年モデルは流通の都合により「Z」のあるなしで型番が2つあり販売店によって店頭表示が異なるが、中身はまったく同じものだ。


新レンズ・新センサー/ワイプ撮り/マニュアルリング/ファインダー搭載
HC-WXF1M / HC-WZXF1M 5月17日発売/オープン価格(市場想定価格15万円前後)
ボディ色:ブラック


新レンズ・新センサー/ワイプ撮り搭載
HC-WX1M / HC-WZX1M 5月17日発売/オープン価格(市場想定価格12万円前後)
ボディ色:ブラック


新レンズ・新センサー搭載
HC-VX1M / HC-VZX1M 5月17日発売/オープン価格(市場想定価格9.5万円前後)
ボディ色:レッド/ホワイト/ブラウン


前シリーズのレンズ・センサーを踏襲
HC-VX1M / HC-VZX1M 6月14日発売/オープン価格(市場想定価格8.5万円前後)
ボディ色:ホワイト

<主な特長>
1.新レンズ/センサー搭載(※)
・新開発のライカディコマーレンズにより広角25mm(35mm判換算:4KとFHD/24p時)と光学ズーム24倍を実現
・セルサイズを約1.7倍にした1/2.5型の新センサー搭載
2.「新ハイブリッド手ブレ補正」と「高速AF」搭載(※)
・手ブレ補正に新開発の「アダプティブO.I.S.」「ボールO.I.S.機構」を採用
・「ハイプレシジョンAF」を搭載
3.シーンに合わせて自動でコントラストを最適化する新機能「インテリジェントコントラスト」(※)搭載

※HC-WXF1M/HC-WZXF1M/HC-WX1M/HC-WZX1M/HC-VX1M/HC-VZX1Mのみ

◆最上位のHC-WXF1M/HC-WZXF1Mは、2016年1月に発売されたHC-WXF990M以来、2年ぶりに投入されたフラッグシップモデルで、ズーム/フォーカス/アイリスを切り替えながら調整できるマニュアルリングとファインダーを備えているのが特徴。

新設計となる上位3モデルに共通するのが「新レンズ・新センサー」の搭載。ボディの大きさや軽さは大きく変えずに、ビデオカメラの核となるレンズとセンサーを刷新。光学ズームは20倍から24倍に拡張し、その拡大分を広角側に割り当てた。4K撮影時で最広角25mm(従来30.8mm、35mm判換算値)となり、表現力としてはかなり有効。また、4K撮影時は手ブレや傾き補正の入/切に係わらず画角が狭くならないのも朗報。

手ブレ補正機能も改良され、従来の5軸ハイブリッド手ブレ補正に対し、使用状況に合わせて最適化する「アダプティブO.I.S.」と、レンズ内に組み込んだ補正ユニットを滑らかに動かす「ボールO.I.S.機構」を採用。これによりハイアングルやローアングルなどの撮影姿勢や、使用ユーザーの特徴、手持ちパンニングなのか三脚使用なのかなど、様々な条件を検知し、それに合わせたアルゴリズムで補正を行うことで最適な補正を行う。

また、新しいセンサーは有効画素数はそのままに、1画素あたりの面積を約1.7倍に拡大。これにより暗いシーンでゲインを上げて撮影しても、目障りなノイズが目立たないように改良された。

 


新製品のWXF1M(左)と前モデルのWXF990 Mの大きさを比較した。高倍率ズームを搭載しながら見た目にはわずかに太く見える程度で、レンズフードを外した外形寸法はほぼ同じ。グリップの素材やグリップベルトの形状にも改良が加えられ、持ちやすくなっている。

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試作機でテスト撮影

HC-WXF1Mの試作機を埼玉県の小江戸「川越」に連れ出し、手持ちでのオート撮影や三脚に載せてのマニュアル撮影を4Kモードで試した。旅の記録では25mmの広角映像が特に気持ち良く、小江戸の街並みや氷川神社の「絵馬トンネル」など、楽しく撮影できた。手ブレ補正に関しては最適化される前と後での効き方の不自然な違いを感じることはあったが、大きな問題はなく、気に入った風景を立ち止まっては撮って、また歩く…という撮影では充分に機能した。


ただ、三脚でマニュアル撮影すると各種補正機能や制限のあるマニュアル設定が邪魔をして、撮りずらい感覚があった。リング下の「CAMERA FUNCTION」ボタンはマニュアルリングに割り当てる機能をズーム>フォーカス>アイリスの3つから選ぶトグルボタンになっているが、アイリスに設定してマニュアル撮影していても、電源を落とすと最初のズーム設定に戻ってしまう。同じ撮影場所で移動しながら撮影する場合、同じ露出設定で撮ることが多いが、電源を落としてしまうとその状態を維持できない。

もともとアイリスとゲインを個別に設定できない仕様なので、マニュアル機能としては不完全なもの。画質や操作性を求めるならデジタル一眼系を選択する傾向にある中、ビデオカメラに求めるのはマニュアル機能ではなく、ビデオ撮影が苦手な人がオート&手持ちで撮影しても、ワンランク上の映像を撮影できることにあるような気がする。その意味では2018年モデルは期待に応えてくれるだろう。

4K撮影時の広角25mmはかなり魅力的


[WXF1M/最広角25mm(傾き補正「標準」)]最新モデルWXF1Mの最広角映像。引きが足りない時だけでなく、ワイド感を演出したい時にも充分使える広さを実現。

[WXF990M/最広角37mm(傾き補正「標準」)]前モデルWXF990Mの最広角は30.8mmだが、「傾き補正」を有効にすると37.0mmになり、標準的な広角映像だった。

低照度時のノイズの量を大幅に改善

新旧モデルを使って最大ゲイン18dB時の画質を比較した。最新のWXF1Mでは色を濁らせるようなノイズは綺麗になくなっている。その反面、ディテールが若干甘く見えるが、新モデルのほうが安心して観ることができる。


[WXF1M:18dB]


[WXF990M:18dB]

オート撮影を適度に補助する「インテリジェントコントラスト」

逆光気味の時など、明るい部分と暗い部分の落差がきつくなるのを防ぐ機能「インテリジェントコントラスト」が新搭載。比較すると、黒ツブレを適度に回避しつつ、全体の雰囲気を損なわない補正が加えられた。


[インテリジェントコントラスト:入]


[インテリジェントコントラスト:切]

こういったシーンではオートフォーカスでは合わせにくく、マニュアルフォーカスを使用した。露出に関してもマニュアルでアイリスを調整したほうが思い通りの画になるので、まだまだオート機能は磨く余地はある。