昨日、9月5日に発表されたキヤノンのフルサイズミラーレス一眼システム、EOS R。その内容はこちらを見ていただくとして、ビデオサロン目線でチェックし、あまり公にされていないところも含めて整理してみました。
ミラーレス一眼ですし、この時代ですから、動画もそれなりに強化されています。4KはEOS 5D Mark IVなどではかたくな?に17:9のシネマ4Kだったのですが、EOS Rは順当に4K UHD(16:9)に。5D4では、Canon Logは1万円のオプションでサービス送りだったのに対し、最初から実装されています。
しかも、HDMIからは10bitで出力されます。このあたりはニコンZシリーズも実現してきましたので、現在の動画機能の最低限のスペックになってきた感があります。
ニコンZといえば、まだ編集部で検証できていないのですが、画素数の少ないZ 6のほうが動画向きなのではないかと思っています。今回のEOS Rは価格帯的にもまったくそれに合わせてきているので、動画目線の比較表を作ってみました。
うーん、残念なのは、依然として4Kはクロップだということです。
口頭で確認したところ、クロップファクターは1.74とのこと(少し数字は変わるかもしれません)。つまりEOS 5D Mark IVとこのあたりは全く同じで、センサーからドットバイドットで読み出しているということです。HDのハイスピードもクロップのようですが、このクロップファクターは確認できていませんが、同じような感じでしょう。
EOS RとZ 6、スペックをみるとかなり近いカメラだということがわかりますが、動画スペックだけみると、Z 6のほうが魅力的に見えます。ニコン、がんばったなあというところです。キヤノンは相変わらず動画に優先順位をおいていない感が見え隠れします。
本体だけだとそうなのですが、EOS Rで今回インパクトがあったのが、マウントアダプターです。なんと純正で最初から4モデルも投入されます。通常のEFからEOS Rへの変換アダプター、それにコントロールリングがついたもの、ドロップインフィルターとしてPLフィルターが投入できるもの、そして可変式NDフィルターが投入できるものの4種類です。
アイデアとしてはあったわけですが、ここに可変式NDがあるのは便利です。マウントアダプターと可変式NDフィルターのセットで6万円しますが。
実際にダイヤルを回して濃度を変化させてみるとこんな感じ。
濃度を薄くした状態。
ダイヤルを回して濃くした状態。
横のダイヤル。
オプションとして透明フィルターもあるので、NDを使わないときは、透明フィルターのほうに差し替えておいたり、NDではなくPLフィルターに差し替えることもできる。これはいいかも。
ちなみにこれらのアダプターですが、EF-Sレンズを装着すると、カメラのほうで自動認識してクロップされるとのこと。もっとも4K動画の場合は1.74クロップですからそれ以上に画角が狭くなるのですが。
この可変式NDですが、やはりその構造上、深くかけていくと、色の変化はどうしてもあるそうです。
このマウントアダプター含めてのEOS Rシステムを評価しなければならないようです。
それと、これは設計思想の問題なのですが、ニコンZシリーズのレンズが動画撮影時のピント送りを考慮して、ブリージングをかなり押さえ込んできたのに対し、キヤノンRFレンズの今回のレンズはそれもブリージングは大きいように思えました。ピントを送ると像がぐわっと動く。それはそれでかつての一眼レフっぽくていいという人もいるかもしれませんが。もちろん、キヤノンもやろうと思えばできるのですが、そこは重視しなかったということのようです。
そのあたりもニコンZとキヤノンEOS Rの違いが見えて面白いところだと思いました。