text◉一柳

見本誌ができあがってきました。ビデオサロン誌上で2年半に渡って連載していた「日本映画大学で実践しているドキュメンタリー映像制作の手法」が連載タイトルそのままで、書籍になります。新規書き下ろした部分を加え、全体を再構成していますので、連載を読んでこられた方も、ぜひお手にとっていただければ幸いです。

「日本映画大学で実践しているドキュメンタリー映像制作の作法」

安岡 卓治・著 B5変形 本文240ページ 定価:本体2,000円+税 ISBN:978-4-7683-1246-9 C0072

一般書店での販売は10月18日頃から。Amazonではすでに予約受付中です。

また、10月10日から始まる山形国際ドキュメンタリー映画祭では会場で先行販売致します。

 

この連載のきっかけはその前に連載されていたドキュメンタリーの映画監督、飯田基晴さんに、授業を手伝っている日本映画大学でドキュメンタリーコースを担当されている安岡卓治教授を紹介していただいたことでした。一度打ち合わせしたときにすでに本になりそうな骨子のようなものがあり、また教えるための方法論がしっかり確立しているということがわかっていましたので、当初から一冊の本にすることを想定してプロットを作っていただき連載がスタートしました。毎回順当にいったわけではないのですが、結果的に全33回の連載になりました。本書はそれを一度全部見直し、新規原稿を加え、文章に手を入れて、再構成したものになります。

最も重要なのは「人間総合研究」

日本映画学校が映画大学になってもう数年経ちますが、創立者の今村昌平監督が立ち上げたころは横浜放送専門学院という名称でした。

その長い歴史の中で、この学校は映画監督や映画プロデューサーだけでなく、カメラマン、照明、編集、録音などの技術スタッフ、脚本家、役者、お笑い芸人など、映画、テレビ業界に多彩な人材を排出してきました。特に最近は、映画やテレビ業界の現場で若くから活躍されている方が増えている印象があります。

映画大学などという名称の学校はほかにないので、それは当たり前なのかもしれませんが、2年半の連載で見えてきたことがあります。

「人間と向き合え」というのは私のテーゼですが、この学校を創設した今村昌平のテーゼでもあり、今の大学のふたつのキャンパスに掲げられている彼の「理念」にも、「…人間観察をなし遂げる為にこの学校はある」と記されています。(以上、本文からの引用)

というように、人間観察、人間研究という基礎体力を徹底的につけるカリキュラムと理念こそがこの学校の最大の強みであり、業界で長く活躍できる人材を育てているのでないかということです。

じゃあ、「作法」なんてないじゃないか、と言われれば本質的にはそうかもしれません。

でも実践的な細かい方法論の中に、思想がやどるということもあります。本書には、現場で叩き上げてきた安岡さんのノウハウが各所に散りばめられていて、さらにそれを人に教えてきたことで裏打ちされているところがいいと思っています(教えているということは、真似できるということですから)。

取材内容を深く掘り下げるドキュメンタリーの本はたくさんありますが、編集ソフトでのタイムラインの扱い方、インタビューの具体的なことまで、作り手側のノウハウを共有するようなテキストはこれまであまりなかったのではないでしょうか?

ビデオサロンで作る意義のある、これまでにないドキュメンタリー映像制作の本ができたような気がします。

 

「日本映画大学で実践しているドキュメンタリー映像制作の作法」

安岡 卓治・著 B5変形 本文240ページ 定価:本体2,000円+税 ISBN:978-4-7683-1246-9 C0072

一般書店での販売は10月18日頃から。Amazonではすでに予約受付中です。

また、10月10日から始まる山形国際ドキュメンタリー映画祭では会場で先行販売致します。