Report◉ギュイーントクガワ
【スマホ用ジンバルはここまでコンパクトになった!】
こんにちは、YouTubeクリエイターギュイーントクガワです。今回は、2019年9月に登場したFeiyuTech(フェイユーテック)のスマートフォン用ジンバル「VLOG pocket」のインプレッションを書かせていただきます。この製品の一番の特徴は、なんと言っても「折りたたんでポケットに入るほどコンパクトになる」こと!
包みから製品のハコを取り出して、最初に思わず口から出た言葉が「小さっ!!」でした笑。FeiyuTechの「VLOG pocket」は、その「ポケット」の名の通り、折りたたんでポケットに収まるほどの、スマートフォン用「超小型」ジンバル製品です。これまで自分のYouTubeチャンネル「gyueenの動チェク!」で、同様の製品をたくさん紹介してきました。そんななかで「スマートフォン用のジンバルといえばこんな感じ」と染み付いていたサイズ感・重量感が、この外箱を見た瞬間にいきなり打ち崩されてしまいました。
▲外箱を見た瞬間に笑ってしまうほど、とにかく小さい
本体を取り出してみると、なるほど、という感じでそのコンパクトさの理由がわかります。ジンバルのアーム部分からパックリ2つに折り畳めるような構造になっているんですね。丁度スマートフォンを挟み込むクリップの部分が、本体のグリップの間にキッチリ収まるようになっていて非常にまとまりが良く、各アームにちゃんとロックもついているので、ポケットやバッグの中に入れておいても形が崩れる心配もなさそうです。
▲折りたたんだ状態だと、開いた手の中に完全に収まってしまう。
本体の他、付属品はねじ込み式の三脚パーツと、バッテリー充電用マイクロUSBケーブル。収納用のポーチとマニュアル各種というシンプルなパッケージです。
使用するときは各アームのロックを解除し、展開します。やっと見慣れたジンバルのカタチになりました。
付属の三脚をグリップの底面に取り付け、スマートフォンをクリップに挟み込みます。
▲今回は筆者が使っている「iPhone7」と組み合わせて使用
ジンバルのセッティングで重要なのは、搭載するカメラのバランスをしっかりとってあげることです。この「VLOG pocket」の場合は、スマートフォンを挟み込む位置がそれにあたります。電源をオンにする前にスマートフォン(iPhone7)の重心をしっかり出し、ジンバルに搭載したスマートフォンがクリップ部を動かしてもどの角度でも静止するような位置を見つけておきましょう。といってもそんなに難しい作業ではなく、だいたい真ん中、という感じでOKだと思います。
ここで、グリップ部分にある各コントロールボタンを見ておきましょう。
1(写真上側のボタン):電源 / ファンクションボタン
長押しで電源オン。起動後はボタンを押すごとにパンモードとロックモードを切り替える。素早く2回連続で押すことで「タテ撮りモード」になる。
2(写真下側のボタン):シャッターボタン
写真を撮る・録画のスタート/ストップ
3:ショートカットボタン
押している間だけ、ジンバルがチルト方向をフォローするようになる。素早く2回押すことでジンバルの方向がリセットされる。
ここも非常にシンプルな構成ですね。電源ボタンがモード切替を兼ねていて、長押しで起動後、一回押すごとにパンモードとロックモードを切り替えます。パンモードとはジンバルの左右の回転をフォローするモードで、ジンバルを向けた方向にカメラがなめらかに追従してくれます。街歩きなどで交差点をまがっても、しっかり進行方向を向いてくれる、といえばわかりやすいでしょうか。ロックモードはジンバルの角度が完全に固定されるモードです。グリップ部分をどう回転させてもジンバルは一定方向を見つめ続けます。直線的なフライングショットを撮りたいときにはこっちのモードがいいでしょう。また、うまくやるとスライダーショットなどもこのモードで表現できます。
ファンクションボタンを素早く2回連続で押すことで、スマートフォンが回転し、「縦撮りモード」に切り替わります。TikTokなどで、タテ位置の動画を中心に楽しむユーザーにはピッタリじゃないでしょうか。スマホ用ジンバルならではの機能ですね。
下のボタンは「シャッターボタン」です。スマートフォンの専用アプリ「FeiyuON」と連携している場合に、写真撮影やRecのスタート・ストップを、スマホの画面に触ることなく行えます。
グリップを握ったときに、人差し指の位置に来るトリガーボタンはショートカットボタンとも言われ、押している間だけジンバルが全方向に追従してくれます。このVLOG pocketは、基本的に「左右フォローのパンモード」と「ロックモード」の2つのモードしかないので、カメラを上下に向けたいときはこのボタンを使うことになります。ただ、このボタンは「ショートカット」というように、ジンバルを向けた方向にカメラを素早く向ける、というような動きになります。チルト方向へのなめらかなフォロー、という感じにはならないので注意が必要です。
【専用アプリ「Feiyu ON」】
この製品はスマートフォン用のジンバルなので、当たり前ですが写真や動画の撮影自体はスマートフォンのカメラが担当します。iPhoneのカメラアプリでももちろん撮影することはできますが、ここはせっかくなのでFeiyuの専用カメラアプリ「Feiyu ON」を使ってみましょう。ジンバルの電源がONになった状態でアプリを起動すると、自動的に対象の機器(ここではVLOG pocketですね)がリストアップされ、簡単にbluetoothによるペアリングを完了させることができます。こうすることで、前述の「シャッターボタン」が有効になり、撮影の開始・停止をスマホの画面に触れることなく、グリップから行えるようになります。ジンバルの機構を生かしたモーションタイプラプスが撮影できたり、はやりのドリーズームの表現ができたりと、Feiyu ONも時代とともにかなりの進化をしているようです。
実際に試してみると、トラッキングをONにして画面の中の対象物をタップして指定してやると、ターゲットが常にフレーム・インするようにジンバルが自動で追従してくれます。このあたりは、高機能なスマートフォンならではの楽しみ方ですね。また、PROモードにするとカメラの色味や露出などを数値指定できるようにもなり、しっかりと作品づくりをしたい方も満足のいくつくりになっています。
▲専用アプリ「Feiyu ON」のProモード
【自撮りビデオブログが楽しい】
大型のショッピングモールに行く機会があったので、軽くテスト撮影をしてみました。まずスマートフォンのアウトカメラを使って、歩きながら進行方向を撮る、いわゆる「フライングショット」を試みてみましたが、これに関してはモーターパワーが低いのか、残念ながらあまり満足のいく結果にはなりませんでした。歩行の振動をモロに拾ってしまって、カクンカクンとした縦揺れが大きく出てしまいます。専用アプリも極力シンプルな設計で作られているため、モーターパワーの調整項目も省略されているようなので、これをやるなら別の製品を検討すべきなのかなと思いました。
一方、インカメラを使った「自撮りVLOG」は非常にいい感じです。メインの被写体がしっかりと画面内に存在する場合は、あまり歩行時の縦揺れも気になりません。またフェイストラッキングを有効にすると、カメラの意識的に自分の方へ向けなくても常に自分の顔をフォローし続けるようにしておけるので、撮影しながら自然なショッピングのシーンが撮影できると思います。Feiyu ONのカメラアプリには美肌エフェクトもついているということもあり、やっぱりこういう使い方が一番なのだなと思いました。
【フェイストラッキングで自分の顔をフォローする際のコツ】
自分の顔をターゲットとして指定する際、顔全体を囲んでしまうと、ジンバルはターゲットの顔を画面のど真ん中に持ってくるように動きます。要するに、つねに日の丸構図になってしまうということで、これではあまりかっこいい映像とは言えません。これをかっこいい構図にするコツとしては、自分の顔を指定する際に、口元だけを囲むように指定すると良いでしょう。頭上に変な空間ができることなく、落ち着いた構図のまま自分の姿をフォローしてくれるようになります。
【スマホメインの方におすすめのブロギング・ギア】
「VLOG pocket」は、いつもの自撮りビデオブログに+1の小ワザを効かせてくれるというような感じでしょうか。折りたたみ構造で非常にコンパクトになりますので、名前だけでなく、本当にポケットに入ります。いつものバッグの片隅に常に忍ばせておくというのもアリでしょう。一眼カメラでガシガシ撮影している本格ビデオグラファーには少し物足りないかもしれませんが、普段の撮影のメインはスマホだよ、という方には、非常に楽しいアイテムになるんじゃないかと思います。
VLOG pocket:11,500円(税別)