ロックバンド、King Gnuの大ヒットシングル『一途』。
このシングルは、日本のアニメーションスタジオMAPPAとのコラボレーションにより、人気アニメ「呪術廻戦」の前日譚を描く「呪術廻戦0 THE MOVIE」の公式テーマソングとして起用されている。
今回のコラボレーションにちなんで、同アニメシリーズのキャラクターや世界観をさりげなくイメージした3分間の公式ミュージックビデオをYouTubeチャンネルで公開された。現在Youtubeで3700万回以上再生されている。
このミュージックビデオは世界株式会社(CEKAI)が制作し、映像の仕上げはイギリスのポストプロダクションであるCHEATがDaVinci Resolve Studioで行なった。未来的なネオン風の雰囲気をベースに、連続的で速いペースの照明と色の変化で構成されており、躍動感のある作品だ。グレーディングは同社カラリストであるキャロル・チブルスキー(Karol Cybulski)氏が担当した。
ーー東京とロンドン間で行われたこのプロジェクトはどういう理由で行われたのですか?
チブルスキー氏「きっかけは、長年CHEATと仕事をしてきた日本の素晴らしい監督、木村太一さんと制作会社CEKAIです。King Gnuのミュージックビデオ以外でも、CEKAIとCHEATはすでに一緒に作品を手がけていて、Chase & Status の「Program」や日本のアーティストのC.O.S.A の「Cool Kids」のミュージックビデオなどもCHEATでポストプロダクションを行いました。
ーーグレーディングにDaVinci Resolve Studioを使用した理由は?
「チーム全体の柔軟性とコラボレーションのしやすさから、CHEATではDaVinci Resolve Studioを導入して使用しています」
ーー今回のミュージックビデオのルックを決める際にどんなところからインスピレーションを得ましたか?
チブルスキー氏「太一(木村監督)と撮影を担当したDPの智之(川上智之氏)が、『一途』のルック作りに大きなインスピレーションを与えてくれました。Battlesの『Atlas』(2007年)のミュージックビデオを参考にしながら、太一と智之の信頼を得て、Streamboxを介した遠隔操作で『一途』のためのルックを確立することができました」
「三人で協力して『一途』独自のルックをプランする中で、全体的に濃密でヘヴィな雰囲気のルックにするが決まりました。また、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』の終盤の宇宙ヘルメットのショットも参考にして、濃密で未来的なネオンカラーの方向に持っていき、あとはペースと流れに任せました」
ーー今回のグレーディングでチャレンジングだったことはありましたか?
「グレーディングは、本当にものすごくスムーズでした。自然と流れていくようなセッションでしたね。技術的に最も考慮したのは、ドローンの映像がメインカメラとシームレスに統合されるようにすることでした。そこで、ノードツリーの前段でLUTではなくカラースペース変換を使用し、ドローン撮影を作業用のカラースペースに変換することで、より多くの時間をクリエイティブな判断に割くことができました」