現在開催中のショートショートフィルムフェスティバル2012。
6月15日(金)には、キヤノンスペシャルコンテンツ
「デジタルシネマがもたらす、次世代の映像世界」というセミナーが開催されました。
犬童一心監督が「デジタルがもたらす、これからの映像表現」というテーマでお話をされましたが、私が参考になったエピソードなどを。
アマチュアとプロの差はどこにあるのか、
と聞かれた犬童監督は
まず「音の差が大きい」と言われました。
「画に関しては音よりも差がない」と。
たしかにそう思います。特に映画の音の迫力とS/Nの良さは特筆すべきものがあります。
これは
「画が悪いのはまだ我慢できるけど、音が悪いのは我慢ができない」ということかもしれませんね。
音だけは専門の人に任せなければならないとか、スタジオに入らなければという話は多いのですが、でも今の映画でも個人でうけおってSOHOスタイルで仕上げている人もいるわけで、実は個人が持てる機材で(つまりパソコン内で)かなりのことができてしまう時代になっていることも確かです。
というわけで、今、映像制作者に向けた「サウンド収録&編集入門」という本を作っています(ここ、宣伝です)。
決してプロの音声さん向けではなく、あくまで映像がメインの人向けです。
つまり今や監督(ディレクター)がパソコンで編集することが当たり前になっていますが、
音の処理も結構できてしまうぞ、ということを解説する本です。
さて、脱線しましたが、
もう一つ言われていたのが、
アマチュアには「レンズによって語れる」人が少ないということでした。
つまり「そのシーンを何㎜のレンズで、どのくらいの距離から撮るのか」ということを
あまり気にしていない人が多いという指摘でした。
その芝居をどういう距離感が見るのか・・・。
もしかしたら、そこが監督にとって一番重要なことなのかもしれません。
(そういえば、奇しくも、大森一樹監督も同じようなことを言われていました。
自分では撮影しないけれども、レンズのミリ数を言われれば画角が正確にイメージできて、それでカメラマンと意思疎通が図れるし、だから、細かくモニターを見る必要もないと)
対象との距離を常に意識すること。
映画を見るときも、そういう意識をもってみると、分かってくることがある、
という話が印象に残りました。
そういう視点で、犬童監督の映画を見直してみたいと思います。
あと、この文脈とはまったく関係がないのですが、
映画撮影は儀式のようなもので、
その中心にあるのは、監督ではなく、カメラであって、
だからそのカメラの大きさというのは、その儀式(撮影)に影響する。
カメラが小型になるといい部分もたくさんあるけど、儀式性は弱まる、
というお話も考えさせられるものがありました。
キヤノンスペシャルセミナーはもう一回あります。
6月23日(土)13時30分~@表参道ヒルズ スペースオー
おそらく違う話も出てくるのはないかと思いますから、
少しでも興味がある人は
参加されて損はないと思います。
セミナーの詳しい内容はこちらから
http://www.shortshorts.org/2012/ja/film/canon.php