10月号が発売されました。
本誌もウェブも情報満載ですので、ぜひじっくりお読みいただければと思います。


さて、わりと連載が多いビデオサロン誌ですが、連載というのは始まりもあれば、終わりもあります。別に長さが決まっているわけではなく、短期集中連載もあれば、もうカタチをかえて何年も続いている連載もあります。
この号では、いくつか連載をスタートさせるということもあって、ページには限りがありますので、終了になった連載もあります。
まず10月号で終了になった連載から。
FCP研究所(FCS研究所)が第44回で終了になりました。
Final Cut Studioの使いこなしポイントを毎号見開きで一ネタ、ピックアップして解説するというもので、44回というとなんと3年半になります。
筆者の松原雅人さん、本当にお疲れ様でした。
この連載はもともと私が担当でスタートしたものですが、後半は別の編集部員が担当でした。とはいえ、自分が始めた連載となるとそれなりに寂しいものがあります。別の筆者の方(撮影が専門)からもこのページだけは毎号読んでいるという話を伺ったことがありましたし、わたしもこれで勉強させていただきました。
Final Cut Pro Xの登場というのがひとつのきっかけになりました。
8月号で記事を作って、松原さんと斎賀さんで座談会をやったのですが、そこでのお話にも出たように、映像制作という分野で明らかに何かが変わってきたような気がしています。その変化がいいのか悪いかは分かりませんが、その象徴ともいうべきものがFinla Cut Pro Xなのかもしれません。どう変わってきているのか、まだ編集部の中でも整理できていませんが、一度Final Cut Proもちょっと引いた目で見直してみたいと思ったのです。実は編集ソフトの連載ってすごく難しいのです。その記事が役に立つのはそのソフトを使っている人だけで、ソフトを使っていない人にとっては関係がないページになってしまうからなのです。多くの人はよほどのことがない限り、ソフトを乗り換えようとはしませんし(カメラはどんどん目移りするから別です)。使い方が分からなければ、身の回りの知っている人に尋ねたり、ネットで検索したり、質問したほうが効率よく辿りつけます。
本当に多くの人が役に立つ編集関係の連載とは、という観点でもう一度考えてみたいと思っています。
さて、もう一つの終了する連載は「鉄道ムービーの愉しみ」(佐々倉実さん)です。
スタートは2010年の2月号でした。その前に、佐々倉さんがEOS MOVIEで鉄道を撮られたということを取材したことがきっかけで意気投合し、じゃあ連載をやりましょう、ムックを作りましょう!ということで始まったのでした。
その成果はウェブにもありますでの、ご興味のある方はこちらをどうぞ。
http://www.genkosha.com/vs/tetsudo/?page=1
この連載の材料も入ったムック「鉄道ムービー入門」
http://www.genkosha.com/rail/も去年の6月に発売されました。
鉄道写真撮影の本は数あれど、鉄道ムービーの本はおそらくこれ一冊です。
自分で言うのもなんですが、これは佐々倉さんが自分の手法を惜しげもなく開示した本当に名著だと思います。残念ながら鉄道ムービーは写真ほど盛り上がってはいませんが、やっぱり音と動きを捉えられるムービーが面白いのに!という気持ちはかわりません。数年後にはもっとブームになっているといいのですが・・・。
佐々倉さんにはこれから単発で記事をお願いして鉄道ムービーの面白さを伝えていただいたり、鉄道を被写体にしてカメラテストもやっていただきたと思っています。
さて新連載です。
ひとつがNHK報道局で長年ディレクターをされてきた春見書記さんによる「映像作品塾」です。主にアマチュアで作品を作っている人向けの読み物ですが、誰が読んでも結構面白いのではないかと、第1回目の原稿を読んで思いました。大半のアマチュアが作っているものは、広い意味でテレビドキュメンタリーに近いものではないでしょうか? そのテレビドキュメンタリーを作ってきた人の話は、多くの作り手に参考になるはずです。カメラの画質がよくなって、ふつうに撮れば充分きれいで、パソコンで自在に編集できてしまう時代になりました。でもビデオ作品を作る人の人口は実は1980年代からあまり変わっていないような気がします。つまり作る人はどんなに困難があっても作るし、作らない人は、どれだけ環境が整っても作らないということではないでしょうか?
でもビデオを作る面白さに少しでも多くの人が目覚めないかということをビデオサロンとしては、日々考えているのですが、そんなときにお会いしたのが春見さんでした。春見さんが独特なのは、プロとして第一線で数十年活動してきながら、リタイア後は完全にアマチュアになって、アマチュアに混じって作っていることです。純粋にビデオ作品を作ることがお好きなんですね。この連載では、プロのノウハウがアマチュアや新米ディレクターに伝わればいいし、と同時に、アマチュア的なビデオづくりの楽しさが伝わればいいなと思っています。
そしてもう一本が撮影監督・高間賢治さんのデジタル映画制作記という読み物です。
高間さんは、もう誰もがご存じの撮影監督で、以前から撮影現場を見せていただいたり、撮影のことを教えていただいたりしていたのですが、実は連載ということは考えたことがありませんでした。
それが第1回目の原稿から大変面白いのです。すでに著作もある方ですし、ブログもまめに書かれているので、原稿は書き慣れているということは知ってはいましたが。最初に原稿をいただいて読み、レイアウトしてから読み、校正で読み、そして刷り出しになって読み、本になって読み、で5回くらいは読んでいますが、何度読んでも面白くて、最後にすっきりとした気分いなる文章です。文章としてもすごくいいし、内容も面白い。ぜひ読んでいただきたいですね。
ちなみに高間さんが撮影されてきた映画の数々。名作もたくさんありますよね。
もちろん全部見たわけではないのですが、その作品のなかでは中江裕司監督の「ホテル・ハイビスカス」が一番好きですね。何度でも見たくなる幸せな映画です。高間さんはちょっとコミカルなドラマというのがすごく上手い気がします。
ご自分ではどの作品が好きなんでしょうか? 今度お伺いしてみたいと思います。