髙間さんの連載をまとめた本「撮影監督 髙間賢治の映画撮影記」と現在公開中の映画「止められるか、俺たちを」の関係については、ビデオサロンwebの各所で触れていますが、昨日は、その関係をますます深めるような上映とトークショーが長野市の映画館ロキシーで開催されました。

現在、長野ロキシーでは、「止められるか、俺たちを」が公開中ですが、11月4日の15時の回はその映画のなかでも制作途中のシーンが出てきた「ゆけゆけ二度目の処女」(若松孝二監督 1969年公開)を上映。その後で、「止められるか、俺たちを」の脚本を書かれた井上淳一さんと、その映画のモデルの一人であり、「ゆけゆけ二度目の処女」では撮影助手を務めていた髙間さん(この映画では前半は北海道にSLを撮影に行っていて後半だけ参加したのでクレジットに名前はない)のトークショーが行われました。

ロキシーというのは、長野市の善光寺に行く途中にあるアーケード街の途中にある映画館で、相生座、ロキシー1、2で合計3スクリーンあります。

中に入るとこんな感じ。

ロキシー2で上映とトークショー。この後、さらに人が入ってほぼ満席になりました。

トークショー中。右が井上淳一さんです。髙間さんにするどいツッコミを入れていました。

観客は年配の男性が多かったのですが、質問はパートカラーに集中したり、オールヌードのシーンのはずなのになぜパンツを履いているところが見えているのか、引きの画で毛が見えているように思えるがなぜボカシがないのか、など制作者側目線の質問が次々に出てきたのが、普通のトークショーにはないところでした。ちなみに大半の人は、「止められるか、俺たちを」をすでに観ていました。

終わった後に、髙間さんの本と映画パンフレットのサイン即売会。

おかげさまで大変よく売れました! 長野のみなさま、ありがとうございました。

このロキシーなのですが、その前に立ち寄った本屋、朝陽館藤原書店(この本屋さんも昔からある名店のようでセレクトは素晴らしかった)で、「長野郷土史研究会テキストハンドブック 長野のまちと映画館 120年とその未来」という本をたまたま見つけて(もっとも地方に行けば必ず本屋に入って、その土地の出版社の本をチェックするのですが)買って読んでみると、これがとんでもなく面白いものだったのです。

この本によると、善光寺界隈には芝居小屋がもともと多くあり、そのひとつとして明治25年に「千歳座」ができ、歌舞伎公演が行われていたそうですが、明治30年に長野県ではじめての活動写真が上映され、大正時代に相生座と名前を変えたとのこと。その相生座がスクリーンを3つに増やして、現在も同じ場所で、営業しつづけているということに感慨深いものがあります。建物は改築、増築されていますが、建て替えられていないそうです。ちなみに木造の映画館というのは、現在全国には9館しか残っていないといこともこの本で知りました。データ、資料、昔の写真も掲載されているので、興味をある方は、ぜひこの本、買ってみてください。60ページちょっとのパンフレットですが、映画館という文化を考える上で貴重な資料の一つになると思います。当然、amazonでも書店ルートでも買えませんから、直接連絡してみるか、長野に行って買うかですね。私はこの本を読んで、もう一度、今度は相生座の方に入ってみたいと思いましたし、川越スカラ座とか、上越の高田世界館など、現存する木造映画館を少しでも回ってみたいと思いました。

いにしえに思いをはせながら、ちょっとノスタルジックにFUJIFILM X-T3 、フィルムシミュレーションはクラシッククローム(CC)で撮影してみました(4Kムービーからの切り出し)。

さて、明日は、本拠地? テアトル新宿にて、「止められるか、俺たちを」 の20:30上映の回の後に、髙間さんと井上淳一さんのトークショーが開催されます。髙間さんの本も売店に明日から置いてもらえることになりました。一度見た方でもお誘いあわせの上、ぜひご来場ください。

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