技研公開の模様はこちらをお読みいただくとして、実は毎年一番じっくり見てしまうのが放送博物館の展示で、それは見たこともない古い機材の実機がずらっと並ぶから。
今年のテーマは「VTRの歴史」。
まず最初に置かれていたのが1974年製の日立電子製の2インチのVTR。車載用だという。というのも、AMPEXの2インチのVTRは、後ろのパネルにあるように後ろのラックもセットになったものだったので、とても屋外に持ち出すことができなかった。そこで、車載用を作ったということだそうだ。中継車ではなく、ビデオを記録するために車を出さなければならなかった時代。
そして最も驚いたのが、このパネル展示で。
1970年代後半の2インチVTRを背負った取材風景。背負っているVTR自体も驚きなのだが、その左の人が背負っているのはCCUなのだそうだ。つまりカメラ部とも一体になっていなかった。奥のスタッフはライトを持っているのか、一番奥の人はディレクターでしょうか? 5人での取材体制。
このVTR、SV-8000VTRというのがこれ。これも日立電子。解説によると、1976年日立電子が発売した携帯型の4ヘッドVTRで、軽量化が図られ、国内、海外のVロケ取材にさかんに使用されたとある。VTR本体部16kg、電源部6kgで22kgを背負う。記録時間は22分。
当時の文献から。バックパック型という時代でしょう。もっともCCUとVTRは背負うというよりもベースを作ってそこに置いて、カメラヘッドにケーブルを延ばすという感じのようです。
2インチビデオテープをどうやって編集していたのか?
それを説明するビデオが流れていて、博物館の職員の方も、私も編集したことありますよ、と話されていたのだが、2インチビデオは実際に切って繋いでいたのだという。2インチの場合はヘリカルスキャンではなかったので、フィルムのようにスプライス編集することができたのだそうだ。
現像液を塗ると、実際に映像が記録されたところが白く、ブランキングのところが黒く浮き出てくる。
テープを拡大してみたところ。
この黒いところでカットして繋いでいたのだそうだ。ここをミスすると同期がずれた映像になり、それは直せないので、次のカットで前にずらすか後ろにずらすかして、調整していたのだという。
40年前のことだ。
展示はデジタルVTRもあったのだが、ここまでのインパクトが大きすぎたのであとは割愛。
放送博物館では、収蔵しているマイク関連をカタログにしていた本などを販売していたが、こういうVTRの歴史をまとめたものは出しているんですか? ときいたら、出していないそうだ。ぜひ実際に運用された方がお元気なうちにまとめてほしい。