現在編集部は11月20日発売12月号を作っていて、11月半ばというと最大のイベント、InterBEEがあって、それ絡みの仕事もある。さらに翌月の1月号は別冊付録つきの特大号を予定しており、さらにその号はリニューアルをするということで、まったく休む時間とか、のんびり考える時間がなくなっていて、焦りまくっているのだが、現在発売されている11月号で、
はここだけはプッシュしておきたくて、書きます。
11月号の内容はこちらへ。
(ぜひ書店にお立ち寄りください。もしくは電子版でも結構です)
ブラックマジックデザインのBlackmagic URSA Miniのこと。
ブラックマジックのカメラのOSがファームアップでがらっと変わるということは、こちらで書いている。
自分もポケシネでカメラのOSがアップしたら、露出操作のボタンの方向が変わっていて驚いたことがある。
URSA MiniのOSもカメラOS Ver4のパブリックベータ版が夏に出て、10月20日についに正規版のバージョンアップになった。
https://www.blackmagicdesign.com/jp/support/family/professional-cameras
カメラでパブリックベータ版ってどういうことなのよ?と思ったが、
このOSがとてもよい。
まず撮影時の画面。これはREDの画面を知っている人なら、そのものずばりである。
FPS、シャッター、アイリス、ホワイトバランスなど、数値がでているところを触れば設定項目が現れるので、タッチとかスライドして変更すればよい。
16:9のパネルなので、16:9映像の場合は、この半透明の帯やキャラクターが映像にかかってしまうが。
ホワイトバランスを変えたければ、その数値のところをタップして
下に選択項目が出てくるので、選択する、もしくはバーでスライドさせる。
感覚的に操作すればいいので、分かりやすいし、何よりもいいのは、設定が早い。
現代のカメラは、デジタル一眼、ビデオカメラともに、メニューが何枚もあって、いったいどこにどの機能があるのか、覚えても覚えきれない。
われわれのような職業で、何社ものカメラを触る人間は混乱の極みである。
特に分かりにくいのが、動画のRECモードの選択で、大昔のテープ時代はSPとLPだけだったから何の問題もなかったが、AVCHDになったら、ビットレートによって、5,6モードに分かれ、それが今や、ファイル形式、フレームレートが入り乱れ、その組み合わせだものんだから、いったいトータルで何モードあるのかすら見当がつかない。
ユーザーの選択肢が広がるということは、いいことばかりではなく、設定を間違ったり、難しそうと敬遠したりすることにもなりかねない。
ビデオカメラのメニューもSP、LP時代だったら、業務用ビデオカメラの階層スタイルでもよかったのだろうが、今やもう限界にきているような気がする。
少なくとも、メニューの階層をたどるには苦痛でしかない。
で、URSAのOS4.なのだが、
たぶん、業務用ビデオカメラよりもそもそも機能が少ないということもあるのだが、
これは分かりやすくてストレスがない。
録画モードを選ぶところ。一番上の段でRAWかProResか、その次で、RAWだったら、Losslessか3:1か4:1、ProResだったら、Proか422かLTかを選び、
下の段で解像度を選ぶ。
一画面で視覚的に一発で分かる。
感動したのは、モニター設定で、出力の設定で、HDMIやSDI、それぞれどっちが出るとか、出ないとかで混乱したことはないだろうか? あの設定は大体がメニューの階層深くに入って、違っていたら、また戻って、みたいなことを繰り返すことになり、イライラしてしまう。
このOSでのそのあたりの設定は、モニター出力とLCD設定が一緒になっていて、それぞれ3D LUTをあてるかどうか、ゼブラを入れるどうか、フォーカスアシストを入れるかどうか、グリッドを入れるかどうかを設定でき、それが一覧できる。たとえば、以下だとLCDパネルはフォーカスアシストがONでフレームガイドがONだけど、あとはOFFになっているのが一目でわかる。
そういった設定をFront SDI(これは主にEVF用)、Main SDIそれぞれに設定できる。
たとえば、Main SDIには3D LUTを当てて、みんなにはLUTを当てた画をみせ、
邪魔なゼブラとかフォーカスアシストとかは切っておこう、
というのが、素早く設定できるわけだ。
もちろん他社のカメラでも細かく設定できるとは思うが、その設定がストレスなくできる。
これはよくできていると思う。
このグラフィックメニューのレイアウトを実現するには、それなりのサイズの液晶パネルでないとかえって見づらいという問題もあるが、ブラックマジックのカメラはポケシネを除いて、液晶パネルが大きい。
ブラックマジックはカメラの歴史がない分、過去からの継続性が考えなくていいのでこれができるのだろうという意見もある。でも、同じカメラでも、OSがアップすると操作方法が変わるくらいだから、そもそも継続性なんてまったく考えてないのだろう。
だから、こういった思い切ったカメラOSのバージョンアップができる。
日本のメーカーも、ブラックマジックはカメラとしての信頼性がね、といって油断していないで、
このOSを研究したほうがいいのではないろうか?
DJIとブラックマジックの進化のスピードを見ていると、
数年後にはDJIとブラックマジックにやられてしまうのではないかと心配になってしまう。
日本が作れるのはズームレンズだけ、ということにならないといいのだが。