text◉一柳

4月号の特集は、「映像インタビュー術」をお届けます。

映像制作にかかわっている人でインタビューを収録したことがない人はいないでしょう。フォトグラファーでも、「ちょっとインタビューをさくって撮ってよ、カメラそれでいいから」と言われることが多いと聞いたことがあります(そんなに簡単に言うなよと思いますが)。

とにかく現代のビデオ映像はインタビューベースでできていると言っても過言ではありません。

それくらいインタビューものは多い。

でも、簡単そうで奥が深いのがインタビューです。

テキストでいくらでも補える紙メディアの取材と違って、音声が存在しないとそもそも成立しないのが映像インタビューです。しかし、その映像インタビューが、いかにも原稿を読んでいる棒読みの感じだったら、視聴者はどう思うでしょうか? 説得力ありませんよね。

まずは、プロモーション映像のジャンルで「リアル感」を生み出すことに関しては達人である、ビデオグラファーの大石健弘さんに、ある映像制作会社のおいてビデオグラファー1年生に対して教えている内容を誌上公開したいと思います。

1年生向きと言ってもまったく侮れません。はっきり言って全然初心者向けじゃないんです(笑)。めちゃくちゃ奥が深いことが語られます。貴重です。まずこの6ページだけで今号は買う価値があるのではないかと個人的には思っています。

 

ページめくって、その次は、

「本当はライバルに教えたくない!ビデオグラファーのインタビュー術」。

本誌に何度か登場していただいている岸田浩和さん、鈴木佑介さん、伊納達也さんの3名のノウハウを集めました。

なぜライバルに教えたくないか? 実はインタビューがちゃんと撮れ(録れ)れば、映像の仕事が結構できてしまうんですけど、案外それができていなくて、次は頼まれないというケースが多いのではないかと思っているからです。ライバルに知識は与えなくないでしょうが、太っ腹の3人に、実際どんな機材で、どんなノウハウでインタビューを撮っているのか、書いていただきました。本当は内容をそっとお見せしたいのですが、ページが見開き単位で完結しているので、ご勘弁ください。

その次はカメラマンの千葉孝さんによる、一人で短時間でできるライティング術。これも見開き完結なので、残念、見せられません! 本誌をご覧ください。

そして、実際の映像をみながら、カメラワークのバリエーションを学ぶことができる、田村雄介さんのレポート。カメラワーク、構図だけでなく、ライティング、音声、編集についても実践的に書かれています。

2カメ撮影の場合、基本的にはイマジナリーラインは越えないものですが、あえて越えているところがあります。その意味を考えながら、作例を見えながら原稿を読んでもらえると、きっと面白いと思います。

 

第2章は「記録映像」編。記録映像となると、プロモーション映像とは、テクニックや考え方も少し違ってきます。つまり広告的なニュアンスはなくなります。

本誌ではおなじみ、アートドキュメンター岸本康さんによる、ここ最近の現場実践例を公開します。

 

 

どういう現場で、そんなライトセッティングをしたのか、結果的にどうだったのか、うまくいったところ、うまくいかなかったところ含めて、わりと正直に書かれているのに好感が持てました。

 

そして、膨大なインタビュー映像をどうやってまとめて作品にしていくか。そのあたりはこれまで言語化されてこなかったところかもしれません。

 

第3章はドキュメンタリー映画編です。

最新映画『i-新聞記者ドキュメント-』が高く評価され、キネ旬2019年文化映画部門で1位!を獲得した森達也監督に、独自のインタビュー術について、話をお聞きしました。私たちが心底驚いたのは、数年前、ゴーストライター問題で注目を集めた作曲家、佐村河内さんに自宅でインタビューを繰り返す『FAKE』での森監督ですよね。あれはある意味、恐ろしかった…。そのあたりの裏ばなしもあります。

 

続いて、こちらも昨年から大ヒット、ロングランを続けているドキュメンタリー映画『東京干潟』『蟹の惑星』を撮影、編集、監督した村上浩康監督に、自分の経験から得たインタビューの十箇条を解説してもらいました。同じく、ドキュメンタリージャパンに所属するディレクター加瀬澤 充さんにも、映画『牧師と命の崖』での体験を中心に書いていただいています。お二人とも中身もさることながら、やっぱり、映画監督、ディレクターはほんとに文章がうまい! 最後まできちんと読ませます。映像の構成、編集と似ているところがあるのでしょうか。

 

 

第4章は音声技術編。ハードウェアの解説では、しっかり現場で音が録れていないと話にならないので、ガンマイクとワイヤレスに絞って入門講座をお届けします。解説はおなじみ、池野一成さんです。これだけでも1本の特集になりそうな10ページのボリューム!

 

 

そして、最後は、前号まで連載「音響ワークショップ」を担当していただいていた、三島元樹さんによる、オーディオリペアソフトiZotope RX7を活用した「インタビュー録音の整音術」で締め括りです。ちゃんと音を録ったつもりでも、ワンマンオペレーションに近い状態だと、万全ではないですよね。それをどうリカバーできるか。このソフトの使いこなしができれば、確実にクオリティは上げられます!

 

 

ざっと特集をご紹介しました。これまでに映像インタビューという切り口でこれだけまとまったものはないと思います。これを日本の映像制作者が全員読めば、日本で作られるビデオ映像のクオリティが、底辺からぐっとアップするような気がしてなりません(大袈裟?)。

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