第2回レンズギア③
REPORT◉田村雄介

前回からの続きです。最後にレンズと組み合わせてみました。

◆実際に組み合わせた様子

今回用意した電動フォーカスはIDX取り扱いのPDMOVIEと直輸入のTILTA NucleusM。どちらも有線接続で使用できる。本来メインを張るはずのフォローフォーカスを余談にするのもなんだけれど、余談。

PDMOVIEは小型だけど電源を外部から取らなければならないので、基本Vマウントなどを使用するカメラで使うほうがスマート。逆にNucleusは最小のコントロールユニットがハンドルなので、フォローフォーカス自体の構成は小さくならないけど、ハンドル内バッテリーから駆動できるのでトータルでスモールセッティングに向いているとも言える。もちろんスモールシネマカメラで使うにも良いと思う。

安定性はPDMOVIEのほうが上で、特に大きなトラブルに見舞われたことはない。Nucleusは今夏の炎天下やバッテリー残量が少ない場合に時たま暴走する傾向があった。トータルで見るとどちらも完成度は高く操作性にも満足している。余談終了。

ここからは写真メインで。レンズの外装が汚い? しょうがない! 普段使いだもの! ……あと雨続きだったせいで本来最も装着するべき機材のURSA Mini 4.6Kに装着できなかったのが……屋内は狭し。でもGH5だってアリなので問題なし!

ZEISS/ZEISS Lens Gear Large
+ SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM

恐らく既存の写真用レンズの中で最もレンズギアをつけてフォーカスをすることに意味があるレンズ。ブリー ジングなんて使い方次第でなんとでも。それよりRec前の精密なフォーカスをレンズに触らずにできるということに大きな意味がある。あとカッコいい。やばい。

BROKEN ANCHOR DESIGN/ZERO
+ OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

今回唯一のm4/3ネイティブレンズ。レンズサポートが不要な重さなのでPDMOVIEのほうはGH5のリグトップにつけたロッドから垂らす方向でセットアップ。装着方法は色々応用が効くので下部のロッドスペースがない場合はこれもアリ。しかしこのレンズ、AFのフルタイムMFのほうが細かく動く気がするのは気のせい?

FollowFocusGears/SEAMLESS FOLLOW FOCUS GEAR Professional HD
+ SIGMA 105mm F1.4 DG HSM

ボケマスター。開放以外で使うとカメラが「ジュッ……」と溶けて霧散すると噂の弩級レンズ。これはもう……フォーカス追っかけようじゃないって気になるサイコーなレンズ。フィッティングバッチリなギアのおかげでとても快適なフォーカス送りが可能に。開放で使うと使用者が気持ちよくてジュッと溶けるという噂も。

COOL-LUX/LUX GEAR
+ SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM

言わずと知れた僕らの標準レンズof標準レンズ。実に素晴らしい絵を叩き出す。そこにマニュアルフォーカスの妙味をスパイスとしてふりかけてやると……なんか今回SIGMAのシネレンズの営業妨害みたいな感じがものすごくしますが多分キノセイです。こっちはこっち。あっちはあっちで最高なんだからもう。

TILTA/Photographic Lens Follow Focus Adapter
+ SIGMA 50mm F1.4 DG HSM

すいません。やっぱ余り帯は邪魔です(笑)。が、やっぱり緊急性と汎用性に関しちゃ勝るものなし。余ったとこだってカットしちゃうもん。なんせ$4! 送料のほうが高いよね。最初っからセットに同梱してくれたTILTAの太っ腹に感謝。当然PDMOVIEでも普通に使えます。

◆閉会の挨拶

5種5様のギア。当然だけどどれも当たり前のように使用できて、強烈な不満を抱くこともない。敢えていう ならBROKEN ANCHORにまだ改良の余地あり、と言ったところだろうか。しかしこの手の機材ブランドは唐突にマイナーチェンジをぶっ込んできたりするので油断ならない。まだまだ成長していってほしいブランドだ。あとは……強いていうならレガシーす(略)。っても使い方を考えれば従来通りという使用感だ。セッティングに関してはどれも工具なしでできるし、こうなったらもう見た目の好みで選ぶしかない。いや、ご予算も、だ。もし自分が全部のレンズに常時装着させるとしたら……FollowFocusGearsかCOOL-LUX。しかし、そうはしていない自分が、一番フォーカスをちゃんとやりたいと思った50-100mmにつけているのは ZEISS。かっこ良くて瞬時につけ外しができるBROKEN ANCHORも一本は持っていたい。うーんもういい や………みんな………全部……買ってみょ?(上目遣いで左親指の先端を噛みながら)

それでは最後になりますが、みなギアン、ギヤギャギアギアギァ。 ギーィ! ギャー! ギアーーッ!

◆蛇足

時は来た!

今回の写真はこの最後の一枚を除き全てBMPCC4Kで撮影しています。手が写っているカットは動画からの 切り出しですが、その他は全てStillボタンで生成されるDNGをLightroom現像&3:2トリミングして使用しました。実に素晴らしい。Recフォーマットに関わらず、CinemaDNG撮影時だろうがProres撮影時だろうがStillボタンを押すとDNGのRAWファイルが1枚生成されます。以前のレポートをご覧になられて感じた方もいらっしゃるとは思いますが、僕は自身のメインカメラをBMCC、BMPCC、URSA Miniとし、Blackmagic信者と言って良いと思っています。その色眼鏡は外せないレベルで眼窩までめり込んでいますが、Blackmagicの新型センサーから紡ぎ出される1枚のDNGは、写真機も色々触ってる身からして納得のいくものでした。これはきちんと照明が施されたウェディングやイベント、自然光で撮る環境下などでは、解像度こそ最大DCI4Kではありますが、非常に強力な武器となるのではないでしょうか。DNGなので現像方法も様々。一眼系に多い、「動画モードの時は制約付き」というのもなく、非常に使いやすいです。強いて言うならではありますが擬似シャッター音があると、なお良いなと思います。

ところで今回の写真、使用レンズはSigma17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM + SpeedBooster ULTRAx0.71なのですが、フルサイズm4/3センサー搭載機ならではというか、DCI4Kで撮影するとこのレンズの場合ケラれます。UHD撮影の場合、自動的にWindowセンサーになりセンサーの両端は使用しなくなるので平気なのですが……DCIだとフードでも両端がケラれます。現状の検証だと18-35mm F1.8 DC HSM、50-100mm F1.8 DC HSMはVNDなどを装着していても問題ないようなので一安心ですが、10- 20mm F3.5 EX DC HSMなどはUHDであってもVND装着時は11mmあたりまではケラれます。超広角系はおとなしくネイティブm4/3を使用するのが良さそうです。そこそこ安価かつ軽量を求めるならば、LAOWAの7.5mm f/2 MFTは、46mm to 67mm→67mm to 82mmのステップアップリングを2段組にして(残念ながら46mm to 82mmは世界でも見当たらず)、STCのVNDをかけても周辺減光レベルで留まっています。x0.75くらいのSpeedBooster、出ないかなぁ。

ということで、次回は何個届くかわからないけどBMPCC4Kのリグで一発いってみようかなと!

第2回レンズギア①
第2回レンズギア②