ブラックマジックデザインURSA Mini Pro 12Kで撮影したドラマ「Puppy Place」のDPとカラリストに話を訊いた。「パステルトーンと色合いのある影を使った、比較的コントラストの高いルックに落ち着きました」


 

「Puppy Place」は、Scholastic社のベストセラー書籍シリーズ(エレン・マイルズ著)をベースにした実写シリーズで、犬への愛情を育む完璧な方法を見つけたチャールズ・ピーターソンとリジー・ピーターソンが主人公。この姉弟は、子犬の里親になって、彼らが永遠の家を見つける手助けをするという、大変だけどやりがいのある仕事を引き受けており、子犬を迎えるたびに、新たな冒険が始まる。

 

ーー撮影にあたって、どのような映像を目指しましたか?

スティーブ・ゲイナー氏(DP)「このファミリー作品に、映画のような新鮮なイメージを与えようと、制作の初期段階から考えていました。普通の子供向け番組のようにはしたくなかった。浅い被写界深度と高いコントラストの顔で、長編映画のような洗練された感じにしたかったんです」

スティーブン・ラティ氏(Bunte Farbenのカラリスト)「マイク(DITのマイケル・ボスマン氏)と私は、子供向けの番組としては型破りなルックを模索し始めました。私たちは、フィルムエミュレーションのさまざまな選択肢の中から、パステルトーンと色合いのある影を使った、比較的コントラストの高いルックに落ち着きました」

 

ーーURSA Mini Pro 12Kを採用した理由は?

ゲイナー氏「これまで様々な番組で様々なシネマカメラを使用してきましたが、URSA Mini Pro 12Kがリリースされて試してみたいと思っていました。以前にブラックマジックの他のモデルで撮影したこともあるので、信頼感がありましたし、新しいテイストを求めていたので、今回のプロジェクトにURSA Mini Pro 12Kを使うことは最適だと思いました」

 

ーーURSA mini Pro12Kで気に入っている点はありますか?

ゲイナー氏「URSA Mini Pro 12Kに最初に惹かれたのは、黒にノイズがないことでした。このカメラは、適切な露出であれば、これまで扱ったカメラの中で最もクリーンな映像を得ることができました。センサーが非ベイヤー方式だということと関係があるのではないかと思います」

ゲイナー氏「カラーサイエンスにも非常に満足しています。すりガラスの上からフィルムカメラで覗くと、現実よりも良く見えることに驚嘆した日々を思い出させてくれます。URSA Mini Pro12Kの映像は非常に美しいです。このカメラとカラーサイエンスは、私が撮影したものの美しさを引き立ててくれます」

 

ーー解像度はいくつで撮影しましたか?

ゲイナー氏「最高のダイナミックレンジを維持するためにBlackmagic RAWで撮影しました。番組の大半は4Kで撮影しましたが、一部のビジュアルエフェクト作業では8Kで撮影できたことも良かったですね」

 

ーーカメラは何台使用しましたか?

ゲイナー氏「制作現場では、ほぼ常時2台のカメラで撮影を行い、バックアップ用に3台目の12Kボディを持ち歩いていました。また、スタントやアクションなど、簡単には再現できないユニークなショットにも対応しています。動物が登場するシーンでは、テンポの良い撮影のために、カメラと相性の良いDZO Pictorのズームレンズを使用しました」

 

ーー撮影現場ではDaVinci Resolve Studioを使ったそうですが、どのように使用されましたか?

マイケル・ボスマン氏「DaVinci Resolve Studioを使ってデイリールックを設定し、スタイルだけでなく、肌の色や目に十分な光が当たっているかどうかを確認しました。番組の最初の段階では、何が『刺さる』かを見極めるために、あれこれ試行錯誤します。その後は、その状態を維持しながら、時間の経過とともにより良いものにするために微調整を加えていきました」

ボスマン氏「露出には常にチャレンジがつきものですが、今回は特にたくさんの種類の犬を撮影することに苦労しました。犬には真っ黒なものから真っ白なものまで、さまざまな色があります。そのため、動物が写っているところは常に微調整が必要でした」

ボスマン氏「スティーブ(ゲイナー)とは過去に何度も一緒に仕事をしています。スティーブは、私にいろいろなルックを試させてくれるので、CMの仕事よりもクリエイティブな方向に進むこともよくあります。今回も現場でさまざまなLUTやルックを適用できました。スティーブは適度にコントラストのあるルックが好みで、ありきたりなものではなく、個性的なものを求めます。でも、彼はいつも役者を大切にしてくれます」

ラティ氏「最終的な納品はHDRだったのですが、現場でのモニタリングとデイリーはSDRで対応しなければなりませんでした。Dolby Visionトリムパスはあるものの、SDR専用のパスはなかったので、SDRのデイリー用にRec 709 LUTを作って適用し、HDR仕上げではP3 D65 PQに変更しました」

ラティ氏「Blackmagic RAWは、オンセットモニタリング用のBlackmagic設定と仕上げ用のLog Cの間でカラースペースとガンマを移動させることができるので、非常に役に立ちました。VFXチームからLog Cでの撮影を要求された視覚効果のショットでは、特に役に立ちました」

 

ーーDaVinci Resolve Studioでのグレーディングについてお聞かせください。

ラティ氏「DaVinci Resolve はMac OS 2010がリリースされた初日から使用しています。新しいバージョンが出るたびに、学びながら使っていますが、今回のバージョンではHDRツールが非常に役に立ちました。他の部分に大きな影響を与えずにシャドウとハイライトを上げたり下げたりするのに、便利でしたね。また、デュアルモニター出力は、ドルビービジョンのトリミングを行う際にもかなり便利でした。片方のモニターにHDR画像を、もう片方のモニターにSDRを表示させ、HDRグレードのイメージに合わせてトリムを調整することができました。これは本当に役に立ちました」

ゲイナー氏「カメラを作っている会社が、グレーディングソフトウェアも作っているので、作業はずっと楽になりますね」

 

ーー撮影はコロナ渦で行われましたが、グレーディングはリモートで行われたのですか?

ゲイナー氏「ラティがリモートでグレーディングをして、彼から送られてくる確認用のファイルを自分の4K HDRモニターを使って確認しながら、プロジェクトメモで理想のルックを得られるまでやり取りをしていきました」

ラティ氏「HDRで遠隔操作するのは大変でした。リモートでメモのやり取りをしたことで、他の場合よりも少し時間がかかりました。幸運なことに、スティーブは自宅にResolveを設置し、我々がキャリブレーションした外部HDRモニターを持っているので、彼に送った確認用のファイルを私がBunte Farbenのスタジオで見ていたものと同じものを彼が見ていることを確信できました」