EFシネマレンズのラインナップを拡充してきたキヤノンのCINEMA EOS SYSTEMだが、今後の4K市場の拡大を想定して、放送用ENGレンズの技術も統合したシネサーボレンズを開発。NAB2014に合わせて発表した。
キヤノン
CN7×17KAS S/P1(PLマウント)
CN7×17KAS S/E1(EFマウント)
340万円
8月下旬発売予定
焦点距離は17〜120mmであらゆるシチュエーションに対応する幅広い焦点域を確保。ワイド端からテレ端まで4Kの光学性能を達成している。また回転角度は従来のシネ用レンズではなく、放送用レンズに近い180度の回転角に。どちらかというとビデオ系の配慮している。着脱式のDU(ドライブユニット)を採用することで、シネマスタイルでの使用も可能になっている。ドライブユニットを外した部分はコネクタキャップで保護することで、ゴミやほこりの侵入を防ぐ構造に。
DUは12ピンのレンズケーブルを標準装備。従来のENGレンズと同様の12ピンレンズケーブルはB4インターフェイスに準拠。EOS C500/300/100との組み合わせの場合は、本体から電源供給できないので、市販の外部電源を用意する必要がある。電源供給されれば、EFマウントを経由して、焦点距離、F値、レンズ型名の記録、カメラ本体上のF値表示、周辺光量補正(対応時期は未定)、色収差補正(EOS-1D Cのみ)が機能する。
また、シネマ業界で広く使われている通信規格、iTechnologyに対応し、ソニーのPMW-F55/F5/F3、RED ONE/EPIC/SCARLETでは、フォーカス、ズーム、アイリスの位置データや型式が送信され、送信先でのレンズ情報の記録/表示が可能となる(DUを装着して電源供給された場合)。
【編集部のコメント】
サーボ付きのコンパクトシネズームと言えば、フジノン(富士フイルム)のZKシリーズが放送局でドラマなどを撮影する現場で重宝されており、好評を得ている。一方キヤノンはCINEMA EOS SYSTEMとして単焦点レンズ、ズームレンズを用意しているが、どちらかというと映画用、CM用であり、ENGズームレンズに近いレンズは存在しなかった。ここに来て満を持して投入。フジノンZKが3本のラインナップなのに対し、キヤノンはズーム域を広げ、まずは主要焦点域をカバー。今後、市場の要望に合わせてラインナップも拡充するという。この分野でもフジノン対キヤノンのバトルが始まった。