今年のビデオカメラの大本命とも言える製品が発表された。
キヤノンのXA20/XA25は、XA10の後継にあたるコンパクト業務用ビデオカメラで、6月中旬発売。価格はオープンで、市場想定価格はXA25は25万円前後、XA20が17万円前後となっている。XA25はXLR端子付きハンドルユニット付属で、XA20は別売となる。ハンドルユニットは実勢4万円前後。XA25にのみSDI出力端子が搭載される。
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前モデルにあたるXA10は、ハイアマチュア定番のカメラとしてロングセラーとなったHF G10の業務用バージョンで、基本性能をG10をそのまま受け継ぎ、XLR端子部が一体になった着脱式ハンドルが付属されたカメラだった。
今回のXA20/XA25は、家庭用のHF G20の業務用バージョンではなく、完全に新規センサーとレンズを搭載した別モデルとなる。HF G20は、G10からほとんど目立った進化がなく、60pにも非対応。マイナーチェンジと言っていい内容だったが、実はキヤノン開発陣は業務用のほうに注力していたということになる。


最大のポイントはセンサーと20倍ズームレンズ


XA20/XA25の最大のポイントは新規開発のCMOSセンサーと、同じく新規開発の20倍ズームレンズだ。まずセンサーは1/2.84型で有効画素291万画素の新HD CMOS PROセンサー(単板)。G10/XA10よりも画素数を増やし(従来はフルHDジャストの207万画素数)、多画素化により手ブレ補正(ダイナミックモード)の効果を高めたという。レンズはこのサイズに光学20倍ズームレンズを実現。焦点距離は最広角35㎜判換算26.8㎜。G10は同30.4㎜だったので、ワイド側が広がっている。絞り枚数は8枚と同じだが、絞りユニット外径を大きくすることなく、円形絞りを実現。何と言っても20倍ズームながらこのサイズに収めたのが驚きで、MODも広角から望遠端まで60cmを維持している。20倍ズームを搭載しながらもシルエットはほぼG10/XA10に近いイメージ。ただしボディは横幅が広がり、手にもった感じはずしりと重みがある。
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記録モードはAVCHDの60p(28Mbps)に対応しただけでなく、より高画質の35Mbpsモード(60p)も搭載。ファイル形式はMP4。AVCHD Ver.2.0の60p/28Mbpsではややレートが足りない印象だったので、これはクォリティ面で期待したいモードだ。
記録メディアは内蔵メディアがなくなり、SDカード2スロットのみに。2スロットによる同時記録、リレー記録が可能。カードをまたいで継ぎ目のない長時間記録が可能。新たにBスロットからAスロットへのリレー記録にも対応した。同時記録はAVCHDどうし、MP4どうしだけでなく、AVCHDとMP4の同時記録も可能。

有機ELパネル、可動式ファインダー、シーソー式ズーム


操作性でも大きく進化している。まずファインダーは小型ボディながら45度のチルトが可能に。アイカップの形状も見直された。G10/XA10では引き出すのみで、チルトしなかったので、ここは便利になった。画素数もXA10の26万ドットから156万ドットに。簡易ファインダーから「使えるファインダー」に進化している。液晶パネルは3.5型123万ドットの有機ELタイプに。タッチパネルはスマートフォンと同じ静電容量方式になった(G10/XA10は抵抗膜方式)。ズームレバーはこれまでの人差し指のみで操作するスライドタイプから、シーソー式ズームレバーに変更。レンズフードはG20と同じレバー操作のレンズバリア付きタイプに。
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手ブレ補正は5軸補正の新ダイナミックモードを採用。歩き撮りにも対応した。マルチシーンIS機能により、パワードIS(望遠でブレない)と三脚モード(IS停止)、マクロIS、新ダイナミックモード(歩き撮り)の4種類を自動切り替えする。
XA25はSDI端子付きとしては画期的に低価格のカメラ。XA20はハンドルユニットなしでは17万円という家庭用カメラなみの価格。ハイアマチュア用から放送局のディレクターズカメラという幅広い位置づけで、かなりアピール度の高いカメラと言えるだろう。
ライバル機としては、パナソニックAC90、ソニーNX30Jあたりだが、それらに比較してもスペック上ではコストパフォーマンスは高い。
XA20/XA25は、業務用という位置づけだが、販売は特機ルートのみだけでなく、全国大手カメラ店、家電量販店でも一部扱われるという。