米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭「Short Shorts Film Festival & Asia」(SSFF & ASIA)は、新たな試みとして同映画祭でこれまでに上映された作品の中から厳選して iPhone用 「i アプリ」として販売。5月18日の記者発表会と同時に販売を開始し、2週間で5万ダウンロードを記録するなど、好調な出足を見せている。
続いて、SSFF & ASIA 2010の初日にあたる6月10日には、iPad向けアプリでも作品を販売していくことがアナウンスされ、7月1日より発売開始となった。
記者発表会にて作品のiPhone アプリ販売について説明するSSFF & ASIA代表・別所哲也氏。
12年目の節目で始まった新しい試み
SSFF & ASIAは今年で12年の節目を迎える。5月18日の発表会の席で、代表の別所哲也氏は「我々は映画祭を開催するだけでなく、常に“次のマーケット”を考え、進化と変化を目指しています」と話し、ショートフィルムをビジネスにつなげていく取り組みの重要性に触れた。そして今年の大きな試みとしてショートフィルム作品のiPhoneiアプリとしての販売について発表した。
これはSSFF & ASIAを企画・運営する(株)パシフィックボイスが、コンテンツ配信を手がけるアップフロンティア(株)と協力して実施するもの。これまでにSSFF & ASIAで上映された作品は約1000本にのぼり、有名監督の初期作品なども含まれる。
販売はアップルのApp Storeで、映画祭のHP上でも特設サイト(http://www.shortshorts.org/app/)をオープン。初回の12本を皮切りに、米国アップル社の承認が下りたものから随時作品を追加していく。価格は15分以内の作品が税込115円、15分以上の作品が230円。アカデミー賞ノミネート・受賞作品は時間にかかわらず230円となっている。作品は動物の尻尾のアイコンでジャンル分けされ、時間の長さは5分刻みで数字と尻尾の長さで表示される。
アイコンの例
左:「The Mecchanicals(未知なる世界)」 監督 Leon Ford/オーストラリア ドラマ/8分20秒
右:「SUSHI JAPAN」 監督 田中健詞/日本 コメディ/6分58秒
iPhoneアプリは5月18日の販売開始からわずか2週間で5万本を超えるダウンロードを記録。「ショートフィルムはネットメディアとの親和性がとても高く、近年はショートフィルムの普及にインターネットが重要な役割を果たしています」という別所代表の発言を実証する結果を示している。
iPadでも作品販売を開始
7月1日より、iPadアプリでの作品販売も開始された。iPhoneやiPod Touchよりはるかに画面が大きく、液晶が美しいiPadでの鑑賞こそ、アプリ販売の「本命」といえるかもしれない。
iPhoneアプリは1作品単位での販売だが、こちらは映画祭受賞作品を中心とした9コンテンツを一つのアプリとして販売している。これまでのSSFF & ASIA受賞作品から特に優秀な6本をセレクト、今年度「ミュージックShortクリエイティブ部門」特別製作された2作品「ゆっきーな」(渡辺世紀監督)と「me, too」(FROGMAN監督)、さらに特典コンテンツ1本という内容だ。
短いもので5分程度、最長で25分の作品が、iPad用にハイクオリティな処理を施され、鮮明な画像で楽しむことができる。販売価格は1,200円。
iPhoneやiPad用アプリとして全世界に優れたショートフィルムを発信するとともに、急速な拡大を見せるデジタルデバイス用コンテンツの一つのあり方や、今後の映像マーケットの新しい方向性を探っていくという意味でも、注目すべき試みだ。
左:「ゆっきーな」 監督 渡邊世紀/日本 ドラマ/11分38秒
右:「me, too」 監督 FROGMAN/日本 アニメーション/6分10秒
ショートショート フィルムフェスティバル&アジア http://www.shortshorts.org