CEATEC開催にあたり、東芝は、以前から予告されていたCELLブロードバンドエンジンを搭載した初めての液晶テレビ、CELL レグザ55X1を12月上旬から発売すると発表した。LEDバックライト採用の55V型のフルHDパネルで、価格はオープン。約100万円前後になるという。


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CELL(セル)とは、IBM、ソニーグループ、東芝が共同で開発した高性能プロセッサ。マルチコア・アーキテクチャを採用し、超高速データ転送能力を持つため、デジタルメディア機器等での応用が期待されていた。今回のCELLレグザはそのプラットフォームを世界で初めて搭載したもの。従来の同社液晶テレビのレグザシリーズに比べ143倍もの演算処理能力をもち、超解像処理を向上させることで、より高精細な映像が再現することができる。また複数の映像を並列的に処理できるため、過去約26時間分の地上デジタル番組を最大8チャンネル分同時連続録画し、さかのぼって見ることができるなど、これまでにない先進的な機能を搭載している。
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パネルとチューナーボックス部は別体で、CELLプラットフォームの基板はボックス側に入っている。
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3TBのハードディスクを内蔵し、そのうち2TBは地デジ8チャンネル連続用として割り当て。タイムシフト用チューナーは地上デジタルが8(Wチューナー×4パック)、通常録画用が地上デジタル2,BS/110度CSデジタル用1,視聴専用が地上デジタル1,BS/110度CS用が1,地上アナログ用が1となっている。当然B-CASカードもこのように複数枚差し込むという異常な?状態になっている。
 ボックスにはBDドライブなどはなく、現状では、録画容量がいっぱいになったら市販のUSB接続のハードディスクを利用して逃がすしかない。ぜひ次期モデルでは、快適編集とBDドライブへの保存をCELLのパワーで実現してほしい。
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放送中の映像を同時に表示できる8画面マルチ表示はCELLレグザらしい機能。録画した番組のシーンも40分割してサムネイルで表示。見たいシーンをサムネイル確認することができる。Opera Software ASA社と共同開発したOperaブラウザーを搭載し、インターネットサイトをフルHD解像度で高速に表示できる。YouTubeのコンテンツも、高画質で愉しむことができる。
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今回の発表はCEATEC開催の前日、東芝ブース内でおこなわれた。その発表にあたり、東芝デジタルネットワーク社の大角正明社長は、「次世代のテレビ像は、人生を豊かにするような実体験を享受できること。その実現には、高画質・高音質だけでなく、録画とネットワークの3つの技術革新が必要で、そのすべてを達成したCELLレグザはテレビの概念を変える」と力説。テレビ販売は台数は伸びても単価が下がり、コモディティー化(一般商品化)が急速に進んでいる。その中で、コモディティー商品と高付加価値商品の両方に対応していくことがメーカーの責務であるという。今回のCELLレグザは、将来的にはすぐにスタンダード機能になる。今後のCELLレグザは、高付加価値への進化と低価格化の両方を推し進めるという。
 たしかに今回のモデルは、CELLの力をすべて発揮したものだとは到底言えない。パネルは期待した4Kではなく、フルHDだし、「全録」もそれほど新しい概念ではない。CELLを使った得られる新しい映像体験とは何なのか、それが我々が今思いつくようなものではなく、想像を超えたものであってほしいと思う。
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CEATECの東芝ブースでは、4K2KパネルへのCELLレグザ(上左)や、ジェスチャーリモコン対応、3D映像対応モデル(上右)などが参考出品されていた。
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