32回目となる「ぴあフィルムフェスティバル」(PFF)が7月16日~30日、東京国立近代美術館フィルムセンターにて開催され、一般公募作品のコンペティション「PFFアワード」で2次審査を通過した16作品が上映された。最終日となる7月30日にアワードの審査結果が発表され、山川公平監督「あんたの家」がグランプリに選ばれた。
授賞式後の記念撮影。前列左から4番目がグランプリの山川監督
PFFアワード2010には全部で527本の作品が寄せられた。PFFディレクターを中心に、映画興行・宣伝関係者、映画ライター、キュレーター等で構成される15名のセレクションメンバーにより1次・2次審査が行われ、2次審査を通過した入選作品16本がPFFにて上映される。この中から、5名の最終審査員によりグランプリほか3賞が選出され、またPFFパートナーズ各社により企画賞とエンタテインメント賞、さらに公募で選出された一般審査員により映画ファン賞が選出された。
本年度の最終審査員は根岸吉太郎(映画監督)、橋口亮輔(映画監督)、角田光代(作家)、板尾創路(タレント・俳優・映画監督)、久保田 修(映画プロデューサー)の5氏が務めた。
本年度のグランプリに輝いた「あんたの家」(44分)は、老老介護生活に突入しながらたくましく生きる老夫婦を描いた作品。根岸監督は「プロの我々も何を撮るかを厳しく突きつけられている時代に、よくこのテーマを選んだ」と賞賛。山川公平監督は受賞に際し、学校の先輩である石井裕也氏(映画監督/「川の底からこんにちは」他)から「お前はスピーチがヘタだから用意しておけ」と言われたとのことで、周到にスピーチ用の原稿を取り出して読み上げ、会場の爆笑をさそった。
準グランプリには片岡 翔監督「くらげくん」(14分)が選ばれた。男の子同士の恋心をファンタジックに描いた作品で、「現実に絶望している我々がつかむべき“絶望の先を見つめる視線”が描かれている」(橋口監督)という点が評価された。
グランプリ : 「あんたの家」 監督 : 山川公平(新潟県出身・27歳)/44分
準グランプリ : 「くらげくん」 監督 : 片岡 翔(北海道出身・27歳)/14分
他の受賞作品は下記のとおり。
審査員賞
左上「世界グッドモーニング!!」 監督 : 廣原 暁(東京都出身・23歳)/81分
右上「TIGER」 監督 : ジェームズ・マクフェイ(オーストラリア出身・25歳)/57分
左下「白昼のイカロス」 監督 : 阿部綾織(茨城県出身・24歳)、高橋那月(宮城県出身・21歳)/83分
企画賞(TBS賞) エンタテインメント賞(ホリプロ賞)
※ダブル受賞
「アンナと二階の部屋」 監督 : 田崎恵美(大阪府出身・22歳)/15分
映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)
「真っ赤な嘘」 監督 : 小林 岳(東京都出身・23歳)/72分
受賞者には第22回PFFスカラシップ(長編映画製作支援制度)の企画コンペへの挑戦権が与えられ、シナリオ制作に取り組むことになる。
第32回PFFはこのあと、京都(10月23日~29日/京都シネマ)、福岡(11月4日~7日/福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ)、神戸(11月5日~7日/神戸アートビレッジセンター)、名古屋(11月25日~28日/愛知芸術文化センター アートスペースA)でそれぞれ開催。仙台でも、せんだいメディアテーク10周年イベントでの上映が予定されている。
PFFオフィシャルサイト : http://pff.jp/