ソニーは、没入感のある立体的な音場を実現する新たな音楽体験「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」の提供を開始する。今年秋に欧米などから、Amazon Music HD、Deezer(ディーザー)、nugs.net(ナグズネット)、TIDAL(タイダル)の計四つのストリーミングサービスを皮切りに、Mark Ronson(マーク・ロンソン)、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)などのコンテンツ約1000曲がこの新しいフォーマットで順次配信される。
今年1月の「CES 2019」で発表された360 Reality Audioは、オブジェクトベースの空間音響技術で実現される音楽体験。コンテンツの制作時には、アーティストやクリエイターの創造性や音楽性に従って、ボーカル、コーラス、楽器などの音源に位置情報をつけて球状の空間に配置することが可能。また、コンテンツの再生時には、アーティストと同じ空間にいるかのような、音に包まれる体験を楽しめる。サービス開始時点では、Deezer、nugs.net、TIDALは各ストリーミングサービスの対応アプリをインストールしたAndroid / iOSのスマートフォンと全てのメーカーのヘッドホンを組み合わせた際に、また、Amazon Music HDは対応スピーカーであるEcho Studioで再生可能となる予定。
同社は、各ストリーミングサービスのほか、音楽レーベル(ソニー・ミュージックエンタテインメント、ユニバーサルミュージックグループ、ワーナーミュージック・グループ)や、世界的なライブエンタテインメント企業であるライブ・ネーション・エンタテインメントなどと連携し、対応コンテンツの制作から配信、再生に至るまでの技術提供を通じて、開かれたエコシステムの形成を進めていくという。また、欧州最大の応用研究機構に属しているフラウンホーファー IISと共同で、360 Reality Audioミュージックフォーマットの規格書を提供する。
● コンテンツの配信・再生について
対応ストリーミングサービス(今年秋から順次開始予定)
・ Amazon Music HD
・Deezer
・ nugs.net
・ TIDAL
また、対応ストリーミングサービスのさらなる拡大に向け、Napster(ナップスター)と配信ソリューションの提供を目指して協業を進めるという。
対応コンテンツ
今秋以降、順次1000曲を配信していく予定。さらに、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ユニバーサルミュージックグループ、ワーナーミュージック・グループやライブ・ネーション・エンタテインメントと協力し、コンテンツの拡大を目指すという。
Mark Ronson(マーク・ロンソン)、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)など著名アーティストの楽曲や、Billy Joel(ビリー・ジョエル)、Bob Dylan(ボブ・ディラン)などの往年の名曲のほか、ライブ・ネーション・エンタテインメントが運営する施設で行われたCHARLI XCX(チャーリー・エックス・シー・エックス)、Kodaline(コーダライン)などのライブ音源100曲以上も配信予定。
対応機器
サービス開始時点ではヘッドホンやスピーカーで楽しめる。
・ ヘッドホン
各ストリーミングサービスの対応アプリをインストールしたスマートフォン(Android / iOS)があれば、全メーカーのヘッドホンと組み合わせて楽しめます。Deezer、nugs.net、TIDALから対応する予定。
なお、ソニーの推奨ヘッドホンとスマートフォン専用アプリ「Sony | Headphones Connect」を使うと、音場を一人一人に最適化した、より没入感のある体験を実現。スマートフォンで撮影した耳の画像から、独自開発したアルゴリズムで聴感特性を解析。
・ スピーカー
独自開発の360 Reality Audio ミュージックフォーマットのデコーダー、立体的な音場を再生する複数のスピーカーユニット、その再生に必要な信号処理技術を搭載したスピーカーシステムで楽しめる。現時点ではEcho Studioが対応し、Amazon Music HDから再生できる予定。
また、今後幅広い機器で使えるようにするため、以下のプラットフォームとチップセットでの対応に向けて、各社と検討を進めている。
– Amazon Alexa
– GoogleのChromecast built-in
– 半導体メーカー各社(Media Tek Inc.、NXP Semiconductors N.V.、Qualcomm Technologies International, Ltd.)の製造するチップセット
● コンテンツ制作環境について
ソニーはライブ・ネーション・エンタテインメントのほか、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ユニバーサルミュージックグループ、ワーナーミュージック・グループと協力してコンテンツの拡大を進めるとともに、音楽スタジオなどとコンテンツの制作環境の整備も進めているという。米国ではBattery Studios、Chiller Sound、Live Nation Content Studioなど、イギリスではThe Crypt Studioなどで既に制作が可能で、今後も拡大していく予定としている。
● 360 Reality Audioミュージックフォーマットについて
欧州最大の応用研究機構に属しているフラウンホーファー IISの協力のもと、国際標準であるMPEG-H 3D Audioに準拠し、音楽配信に最適化したフォーマット。フラウンホーファー IISとソニーがオフィシャルライセンサーとして、対応するコンテンツ・ストリーミングサービス・オーディオ機器の普及を進める。
◉詳細情報
https://www.sony.com/electronics/360-reality-audio
ソニー株式会社
https://www.sony.jp/