ブラックマジックデザインの発表によると、Blackmagic Micto Studio Camera 4K が新しい EagleRay 4K 水中カメラシステムに採用された。同システムは 1千メートルまでの水中での4Kフッテージの撮影に使用される。ArcticRays の共同創設者であり、Alucia Productions の有人潜水艇の操縦士でもあるリー・フレイ(Lee Frey)氏は、BBC「Blue Planet Ⅱ」や NHK「ディープ・オーシャン」シリーズの南極圏探索において Micro Studio Camera 4K を撮影に使用した。

「BBCのために EagleRay 4K を構築する際、シネマ品質の4Kフッテージが撮れる可能な限り小型のスタジオカメラが必要だった。Micro Studio Camera 4K はこの条件を満たしており、さらにリモートコントロール機能をカスタマイズできることはプロジェクトにとって理想的だった。」(フレイ氏)

水中の小規模なコミュニティを実物より大きく見せる高品質の4Kフッテージが必要との依頼を受けたことで、フレイ氏はEagleRay 4K を作成することにした。

「オリジナルのカメラはこれらのコミュニティの撮影には大き過ぎた。小型生物がひしめく魅力的で活発なミクロの世界は、海の底に存在している。実物より大きく撮るには、被写体にギリギリまで近づく必要があった。例えば、8cmほど高さの珊瑚をアカスギの巨木のように見せたり、エビの触覚をつぶさに観察したり、ヒトデをエンパイア・ステート・ビルディングのサイズに見せる、などだ。」(フレイ氏)

またフレイ氏は、カスタマイズとリモート操作が可能で、なおかつ EagleRay 4K リグのパーツとして1千メートルの水深に耐えられるカメラを必要としていた。

「リグを設計する際、様々な制約があったが、Micro Studio Camera 4K はすべての条件をクリアしていた。リモートコントロールの簡潔さ、そして Blackmagic Design のオープンソースの考え方がとても好きだ。私たちは潜水艇からカメラを操作する必要があるため、これは非常に重要だ。」(フレイ氏)

フレイ氏はさらに続ける。

「Micro Studio Camera 4K をカスタムメードの水中ハウジングに入れて、インターフェース・エレクトロニクスとカメラマン用のハンドヘルドコントロールを構築し、リグを潜水艇に取り付けた。有人潜水艇の中は様々な機材が設置してあるので、船内のスペースは非常に貴重なのだが、小型で軽量なカメラを使用することで、数百ポンドの重さの機材を削減できた。」

数回におよぶ探索で、Micro Studio Camera 4K は60回潜水し、南極での3ヶ月間の深海作業を成し遂げた。

「海の底ではいつ何が起こるか分からない。その全てを記録したいので、潜水中はカメラを始終オンにしている。通常は8時間ほど保つ。南極での潜水は初めてではなかったが、1千メートルの水深は私たちにとって初めてだった。初めて撮影された生態系もある。」(フレイ氏)

フレイ氏は最後こう結んだ。

「これらの撮影は、人々に海に対する興味を持ってもらい、保護・保全を喚起するために行っている。クジラやサメ、イルカは素晴らしい生物だが、海洋コミュニティにおける最も重要なメンバーは、誰にも知られていない小さな生物たちだ。これらの生物に焦点を当て、海の底で繰り広げられる世界を垣間見ることは本当に素晴らしいことだ。」