ブラックマジックデザインは、『DaVinci Resolve 20』を発表した。DaVinci Resolve 20パブリックベータは、Blackmagic Designウェブサイトからダウンロード可能。
アップデートでは、AI IntelliScript、AIアニメート字幕、AIマルチカムSmartSwitch、AIオーディオアシスタントなどのAIツールに加えて、キーフレーム編集、ボイスオーバーパレット、マルチレイヤー合成ツール、新しいオプティカルフローのベクトルツール、Magic Maskと深度マップのメジャーアップデートなど、100種類以上の新機能を追加。
『DaVinci Resolve 20』は、ワークフローの全段階をサポートするパワフルなAIツールを含む、100種類以上の新機能を搭載。AI IntelliScriptではテキストスクリプトに基づくタイムラインの作成、AIアニメート字幕では字幕の文字のアニメート、AIマルチカムSmartSwitchでは話者検出に基づくカメラアングルでのタイムライン構築が可能。カットページとエディットページには専用のキーフレームエディターおよびボイスオーバーパレットが追加され、AIオーディオアシスタントはタイムラインを分析してプロ仕様のオーディオミックスをインテリジェントに作成可能。Fusionでは、高度なマルチレイヤー合成ワークフローを使用できる。カラーワーパーはクロマワープに対応し、Magic Maskおよび深度マップは大幅にアップデートされた。
Blackmagic Cloudの新機能であるクラウドフォルダーでは、プロジェクトのクリップ、イメージ、グラフィックを、他のコラボレーターたちと簡単に共有可能。すべてのクラウドコンテンツはプロジェクトで使用するまでバーチャルクリップおよびフォルダーとして表示され、使用後はローカルで同期される。メディアプールは整理された状態で、大量のメディアにアクセスできる。
また、Presentations内のプロジェクトを、Blackmagic Cloudアカウントを持っていないクライアントとレビュー可能。ゲストアクセスを有効化するには、レビューしたりクライアントと共有したいプレゼンテーションのURLリンクを生成するだけだ。クリップのレビュー、タイムラインでマーカーを使用したメモの追加、さらにはグループチャットも可能。
アップデートされたクラウドストレージは、全クリップをサムネイルで表示するアイコンビューに対応しているので、メディアを視覚的に識別して管理できる。マウスカーソルをサムネイルに重ねてスクラブすると、メディアの内容をすばやくプレビュー可能。インスペクタパネルには、カメラおよびクリップメタデータ、制作に関するその他の情報も表示される。
縦長ビデオ用のタイムラインまたはプロジェクトをロードすると、カットページ、エディットページ、カラーページのレイアウトが自動的に変わり、縦長ビューア用に最適化される。ツールとパレットは、画面を無駄なく最大限に使用できるよう配置されるので、頻繁にズーム調整する必要はないという。
カットページのボイスオーバーパレットでは、タイムラインの再生中にボイスオーバートラックを録音できる。キュー、録音、停止コントロールの使用や、音声分離および会話レベラーへのすばやいアクセスが可能。ボイスオーバー専用のトラックは自動的に追加されるので、プロンプター用の原稿を読み込み、カウントダウン機能を使用して作業できる。
カットページおよびエディットページのキーフレーム専用エディターでは、詳細なパラメーターを用いたアニメーションが可能。キーフレームカーブと各パラメーターモードを使用してキーフレームを編集し、イーズコントロールでアニメーションの形状をカスタマイズできる。タイムラインの下にあるキーフレームトレイでは、タイムラインキーフレームの確認とナビゲートが可能。
テキスト+ツールがアップデートされ、レイアウトのポイント、テキストボックス、円形およびパススタイルが追加されたため、テキストグラフィックのレイアウトをさらに詳細にコントロールできる。タイムラインでPSDファイルを使用する際は、PSDレイヤーを分割し、個別レイヤーで作業することも可能。
MultiTextツールでは、複数のテキストレイヤーを一箇所で作成できるので、高い柔軟性が得られる。インスペクタのタブを使用して、各テキストレイヤーの形状、レイアウト、ワープ、キーフレームアニメーションなど、個別のスタイルパラメーターを設定できる。テキストリストでは、レイヤーのナビゲート、並べ替え、固定、削除が可能。
カットページでは、ビューアから直接ドラッグすることで、任意のカメラアングルをタイムラインにライブ上書きできる。同期ビンがアクティブな状態、またはマルチソースモードでは、横方向にドラッグして再生ヘッドの位置でライブペイントを行ったり、下にドラッグして任意のアングルをドラッグ可能なクリップにしたりできる。

カットページの新しいセーフトリムモードでは、重要な編集点を誤って上書きしてしまうことを防止できる。タイムラインのギャップをすばやく埋めたい時にはトリムポイントをドラッグできるが、編集点に到達すると、DaVinci Resolveが一時的にドラッグを中断する。編集点を上書きしたい場合は、ドラッグを続けると、隣接するクリップをトリムできる。
プロ仕様のラウドネスメーターが付いたフル機能のオーディオミキサーもカットページに追加された。各チャンネルストリップに、左右のパンスライダー、フェーダー、ソロおよびミュートボタンに加えて、プロ仕様のパン機能、EQ、ダイナミクス、FXコントロールを搭載。番組の収録、編集、フィニッシングを行いながら、オーディオのミキシングとモニタリングが可能。
エディットページのボイスオーバーツールでは、タイムラインに直接録音できる。ファイル名、オーディオ入力、送信先トラックをすばやく設定できるコントロールも搭載。自動トラック選択や、カウントダウンおよび入力モニタリングなどのカスタマイズ用のオプションによって、これまでにないほど簡単にボイスオーバーを作成できる。
カラーページのクロマワープでは、ビューア内での一度の操作で、色と彩度を直感的に調整可能。ストロークコントロールでは色を一方向に動かし、ポイント・トゥ・ポイントモードでは領域を分離して色相をより詳細に補正できる。ピンポイントを追加すれば、影響を与えたくない領域を分離可能。
離れた場所から配信する際は、リファレンスモニターにPower Windowや他のオーバーレイを表示できる。H.265 4:2:2の配信も可能。
Fusionにディープイメージ用の合成ツールが追加されたため、ディープイメージEXRファイルに含まれる深度データにアクセスできる。様々な新しいノードで、マージ、変形、サイズ変更、クロップ、カラー変更、ホールドアウトの生成などが可能。Fusionの3D環境からレンダリングし、FusionセーバーノードでディープEXRを書き出せる。
また、マルチレイヤーイメージがすべてのノードでサポート。FusionでマルチレイヤーEXRまたはPhotoshopファイルを読み込み、レイヤーをビューアでプレビューして、あらゆるノードであらゆるレイヤーを操作可能。これにより、ソースファイルの複数の独立したレンダリングがなくても、レイヤーをシームレスに扱うことができる。
ベクトルワープ、ベクトル変形、ベクトルデノイズは、Fusionに統合された新しいオプティカルフロー・ベクトルツールだ。これらのツールは、モーションベクトルを活用することで、複雑な時間的エフェクトを実現する。クリップの自然な動きを利用してワープやデノイズを行うことで、時間を大幅に削減できるパワフルなソリューションとなる。
FusionのPanoMap、球面スタビライザー、緯度経度パッチャー、3D VRカメラ、3Dビューアは、アップデートされて180度の視野角をサポートしたため、イマーシブコンテンツの制作に対応できる。また、球面カメラおよびレンダラー3Dを使用して、3DシーンをVR180にレンダリングし、制作プロセスを簡素化することも可能。
強化されたドームライトは、3Dシーンにおいて自然な環境光をシミュレートする3Dツールだ。360度のHDRIイメージを統合することで、正確な反射や全体的な照明が可能。この機能で非常にリアルな環境を作成することで、照明に対する3Dモデルの反応をより説得力のあるものにできる。
カラーページのクリップに適用されたグレードを、メディア出力ノードを介してFusionページのビューアで表示できるようになった。これにより、最終的な合成をより正確に表示できるだけでなく、クリップの最終的なルックを確認する度にFusionページを離れる必要がなくなるため、時間を節約できる。
カットページ、エディットページ、FairlightページのクリップEQが6バンドに対応。これにより、クリップのトーン調整をより細かく行い、ミキサーのトラックEQと一致させることができる。クリップ、トラック、EQプラグインの間で、設定を簡単にコピー&ペーストできるので、一貫性のある、柔軟で正確なコントロールが可能。
2つの新しいクリップ処理オプションでは、任意のクリップのオーディオを調整し、参照クリップのレベルまたは音色スペクトルに一致させることができる。EQマッチは、動的な調整で、クリップ全体で音色の一致が維持されるよう自動的にオートメーション化される。レベルマッチャーでは、手動で変更を行うことなく、異なるクリップをシームレスにインターカットできる。

一緒に適用したいお気に入りのプラグインがある場合は、それぞれの設定をカスタマイズし、プリセットとして保存してチェインFXを作成できる。1つのチェインに6つまでのエフェクトを含められ、チャンネルエフェクトスロットで複数のチェインFXプラグインを結合して長いチェインの構築も可能。
Fairlightでチャンネルごとにオートメーションモードを選択できるようになったため、プロジェクトのミキシング中により柔軟で創造的なコントロールが可能。一度の操作で複数の個別トラックを動的に調整でき、一部のチャンネルオートメーション設定をスナップモード、一部をラッチモード、一部をトリムモードにできる。
AIセット拡張は、シンプルなテキストプロンプトに基づいて、フレーム全体を埋めるシーン拡張を作成する。拡張したいエリアをハイライトすると、クリップの角度制限、ブランキング、クロッピングによって失われた領域が自動生成される。前景オブジェクトの後ろに新しい背景を作成することも可能。
また、DaVinci Resolve Studio 20は、Apple Vision Pro用のApple Immersive Videoのための新機能も搭載している。Blackmagic URSA Cine Immersiveカメラで撮影した素材を使用して、編集、カラーグレーディング、空間オーディオのミキシング、Apple Immersive Videoの書き出しを円滑に行える。
AI IntelliScriptを使用すると、プロジェクトの元の脚本に基づいて、自動的にタイムラインを生成可能。AI IntelliScriptは、メディアクリップから文字起こしされたオーディオを脚本と照合し、ベストテイクのタイムラインを構築する。選択肢としての他のテイクは、エディターのレビュー用に追加トラックに配置される。
AI会話マッチャーは、会話音声の音色、レベル、部屋の環境を自動的に一致させるパワフルなツールだ。全く異なる2つのクリップを一致させて、音声に一貫性を持たせることが可能。異なる環境で、異なるデバイスで、あるいは数日間に分けて収録された会話音声を一致させることができる。
音楽トラックの長さを自動的に調整して映像に合わせられる。オーディオが分析され、それに合わせて音楽クリップが延長または短縮される。4つのバージョンから選択でき、ビジュアル編集インジケーターおよびセクションを分解する機能も使用可能。映像に合わせて、音楽を高速かつ柔軟に調整できる。
AIアニメート字幕を使用することで、発話に合った動きのある字幕で、視聴者の注意を作品に引きつけられる。文字起こしツールを使用してタイムラインに字幕トラックを生成し、Fusionのアニメーションタイトルのテンプレートをトラックヘッダーにドラッグして、テキストの見た目とアニメーションを変更できる。
エディットページのマルチカムSmartSwitchは、シーンのアクティブな話者に合わせて、マルチカムアングルを自動的に切り替え可能。マルチカムクリップを作成したら、マルチカムビューアでSmartSwitchをクリックすると、SmartSwitchが分析を行い、ビデオに含まれるオーディオと唇の動きに基づいて、クリップアングルが自動的に選択される。
ボイス変換ツールは、声の抑揚、音程、感情を維持したまま、事前に生成したボイスモデルを既存の音声録音に適用する。雑音の多い環境で録音した音声を改善したり、出演者の元の声を使用して完璧なADRを作成したりできる。
AI Magic Maskもアップデートされ、単一モードでさらに正確なトラッキングが可能になった。ポイントを使用して、人物、オブジェクト、領域を選択し、ペイントツールで選択範囲をこれまで以上にすばく絞り込める。Magic Maskは、障害物の周囲や低画質のクリップであっても、選択したエリアの動きを直観的にトラッキングする。
深度マップエフェクトもアップデートされ、より高速のシーン分析およびより実用的なマットに対応。前景の登場人物をすばやく分離して周囲の環境から際立たせたり、ショットの背景にレンズブラーを適用したりできる。結果のマットを微調整して、グレーディング用に特定の深度を分離することも可能。

新しいIntelliCutは、パワフルなクリップベースのオーディオ処理を提供し、時間のかかるタスクを数秒間で自動化する。無音部分を削除する機能では、低レベルまたは無音のエリアを削除して、オーディオトラックをクリーンにできる。会話音声を話者ごとに異なるトラックに分割して個別にミキシングし、会話音声を置き換えるためのADRリストを作成可能。
ミキシングやバランス調整がされていないオーディオ素材がタイムラインにある場合は、AIオーディオアシスタントでプロフェッショナルなオーディオミックスを作成できる。オーディオアシスタントは、トラックを管理し、会話音声を均一化し、サウンドエフェクトや音楽を会話音声トラックに合わせ、最終ミックスを自動的に作成する。
音楽のビートに合わせて編集する際、AI音楽ビート検出機能は、ビート主体の音楽が含まれるクリップを分析し、ビートを示すマーカーを自動的に配置する。これらを編集点の視覚的なインジケータとして使用したり、クリップをドラッグして最も近いフレームのビートマーカーにスナップしたりできる。

DaVinci Resolve 20の機能
- Blackmagic Cloud共有フォルダーのメディアプールへの読み込み。
- カットページ、エディットページ、カラーページの、縦長ビデオに最適化された新しいレイアウト。
- ボイスオーバーパレット。キュー、ボイスツール、テレプロンプター機能を内蔵。
- 改善されたキーフレーム編集。専用のカーブビューおよびタイムライン描画機能を搭載。
- テキスト+の段落、改行、境界ツール。
- MultiTextツール。レイヤー、簡単な変形、クリップ、改行コントロールを搭載。
- ライブ上書きで編集キーおよびサーチダイヤルをサポート。
- マウスでドラッグして複数ソースおよび同期ビンをライブ上書き。
- セーフ編集モードのトリムで、隣接クリップの上書きを防止。
- フル機能のオーディオミキサーをカットページに追加。
- エディットページのボイスオーバーツール。複数の収録およびモニタリングオプションに対応。
- クロマカラーワーパーによるグレーディング。
- リモートモニタリングでビューアオーバーレイを表示。
- サポートされたハードウェアでH.265 4:2:2を配信およびモニタリング。
- ディープイメージの合成用のツールセット。
- OpenEXR、PSD、ステレオスコピック3D用のマルチレイヤーパイプライン。
- イメージを接合およびクリーンアップするベクトルワープツールセット。
- Fusionが180度VRをサポート。
- 3Dシーンのドームライト。
- カラーページのグレーディングをFusionページのメディア出力ノードで表示。
- クリップEQが6バンドに対応。
- EQおよびレベルマッチャー処理で音色とクリップレベルを一致。
- EQおよびゲインをFairlightFXプラグインとして使用可能。
- FairlightチェインFXで頻繁に併用するプラグインを作成および復元。
- ResolveFXのAIセット拡張
- AI IntelliScriptでユーザーの脚本に基づくタイムラインを作成。
- AI会話マッチャーでクリップの音色、レベル、残響を一致。
- AI音楽エディターで音楽を任意の長さに自動的に編集。
- AIアニメート字幕で話し言葉をハイライトおよびアニメート。
- AIマルチカムSmartSwitchでアングル切り替えを自動的に実行。
- AIボイス変換。内蔵モデルとユーザー学習モデルを搭載。
- AI SuperScaleが3倍および4倍のアップスケーリングに対応。
- AI Magic Maskのバージョン2。ペイントブラシに対応。
- AI ResolveFX深度マップのバージョン2。
- AI IntelliCutで無音部分を削除。
- AI IntelliCutで話者ごとの会話音声をチェッカーボード化。
- AI IntelliCutで文字起こしによる話者情報を使用してADRキューを生成。
- AIオーディオアシスタントで最終ミックスを自動生成。
- AI音楽ビート検出でビートの表示とビートへのスナップが可能。
◉製品情報
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve/whatsnew
ブラックマジックデザイン
https://www.blackmagicdesign.com/jp