Slide Product

ブラックマジックデザインは、10-bitの非圧縮放送品質ビデオをST 2110ベースのIP放送システムで直接キャプチャー・再生可能なPCIeカードの新シリーズ『DeckLink IP』を発表した。6月発売予定で、ラインナップと価格(すべて税込)は以下のとおり。

・DeckLink IP HD:48,980円
・DeckLink IP HD Optical:48,980円
・DeckLink IP/SDI HD:56,980円

 

DeckLink IPカードは、ST 2110ベースのIP放送システムで直接ビデオをキャプチャーし、再生するソリューション。他のDeckLinkと同じ機能に対応しているので、既存のソフトウェアで使用可能で、放送グラフィックやバーチャルセットを生成したり、GPUベースのAIイメージ処理を行うサーバーラックを構築し、ST 2110ベースのIP放送インフラに直接統合できる。DaVinci ResolveをST 2110ベースのIP放送用の編集ワークステーションとして使用することも可能。DeckLink IPは高速PCIe接続に対応しているため、最新のMac Pro、Windows、Linuxコンピューターで使用できる。

新製品のDeckLink IPシリーズは、3機種を展開。『DeckLink IP HD』は、単一のRJ45スタイルのイーサネット接続を介して、ST 2110ベースのIP放送システムで3チャンネルのキャプチャー・再生が可能。

『DeckLink IP HD Optical』は、単一のSFPベースの光ファイバーイーサネット接続を介して、ST 2110ベースのIP放送システムで3チャンネルのキャプチャー・再生が可能。

『DeckLink IP/SDI HD』は、3G-SDIおよびST 2110ベースのIPシステムの両方に接続可能。この機種は、RJ45イーサネット、3G-SDI、リファレンス出力を介して、ST 2110ベースのIP放送システムで2チャンネルのキャプチャー・再生ができる。

全機種は、1080p60までのあらゆる720p、1080i、1080pビデオフォーマットに対応。

 

 

DeckLink IPカードは、IPビデオ規格であるSMPTE ST 2110に準拠している。SMPTE ST 2110は、IPネットワークを介して放送するビデオ、オーディオ、補助データの伝送、同期、定義を規定する規格。また、ビデオソースの同期にはPTPクロックが使用される。DeckLink IPは、SMPTE-2110-20の非圧縮ビデオ、SMPTE-2110-21のトラフィックシェーピング/タイミング、SMPTE-2110-30のオーディオ、SMPTE-2110-40の補助データに対応。SMPTE 2110の大きな利点は、すべてのビデオ、オーディオ、補助データがネットワーク上を個別に伝送されることだという。また、DeckLink IPはマルチキャストにも対応。これは、ビデオ、オーディオ、補助データを単一のソースから複数の送信先に送信できる効率的な方法だとしている。

高速の4レーンPCI Expressインターフェースを搭載しているため、DeckLink IPはホストコンピューターとPCIe接続できる。これにより、複数のHDビデオチャンネルを扱い、各チャンネルを同時にキャプチャー・再生できる速度を得ることが可能。PCI Expressはレイテンシーが非常に低く、ビデオをキャプチャーまたは再生しているソフトウェアと極めて正確な時刻同期が可能。シンプルで、低コストの4レーンPCIe接続を使用して、このような性能が得られるのはDeckLink IPカードだけだという。つまり、DeckLink IPをコンパクトな低コストのコンピューターにインストールできる。また、DeckLink IP HDとDeckLink IP HD Opticalはロープロファイルであるため、ラックマウントサーバーにインストール可能。

DeckLink IPの接続はマルチレートなので、あらゆるSDおよびHDフォーマットに対応している。DeckLink IP/SDI HDは、同じカードでST 2110ベースのIPシステムと3G-SDIへの接続をサポートしているため、既存のあらゆるSDI放送機器に接続でき、同時に新しいIPベースのインフラにも接続できる。あるいは、ローカルモニタリングのために、3G-SDI出力のみを使用することも可能。SDは、525i59.94および625i50の両方のフォーマットに対応。HDは、720p60までのあらゆる720pビデオ、1080i60までのあらゆる1080インターレースフォーマット、1080p60までのあらゆる1080pフォーマットをサポート。カードが瞬時に新しいビデオフォーマットに切り替えるため、複雑な切り替えは不要としている。

DeckLink IPカードは、最高品質のビデオに対応できるように設計されている。Apple ProRes、DNxHDなどの広く使用されているビデオフォーマットに加え、10-bit非圧縮のキャプチャー・再生にも対応しているので、一つのファイルフォーマットに制限されることはない。10-bitは、8-bitビデオの4倍の精度で色を表現できるため、テレビで最も広く使用されているフォーマット。10-bit非圧縮ビデオでは、すべてのイメージはソースとピクセル単位で完全に一致するコピーであるため、常に最高品質で作業を行える。つまり、極めてシャープなグリーンバックのキーイング、継ぎ目のないVFX合成、優れたカラーコレクションを実行できるとしている。

 

DeckLink IPは広く使用されているビデオソフトウェアをサポートしているため、使い慣れたツールで作業可能。DaVinci ResolveをST 2110ベースのIP放送用の編集・カラーコレクション・ソリューションとして使用するのに最適だ。DeckLink IPはキャプチャー・再生を同時に実行できるので、DaVinci Resolveのライブグレーディング機能を使用して、ビデオのキャプチャー、カラーコレクションの適用、そして出力を同時に行うことも可能。また、Final Cut Pro、Media Composer、Premiere Proなどの編集ソフトウェアなどとも機能する。Fusion、After Effects、Photoshopで優れたVFXを作成することもできる。WindowsのWDMドライバーも同梱。

DeckLink IPは他のDeckLinkカードと同様に機能するので、人気のビデオやオーディオ配信ソフトウェアと完全な互換性がある。つまり、配信ワークステーションを構築できるため、世界中の何百万人ものオンライン視聴者に対してライブ配信を行える。Macでは、Open Broadcaster、Wirecast、Livestream Producerなどの優れた配信ソリューションを使用可能。Windowsでは、Open Broadcaster、Xsplit Broadcaster、Wirecast、Livestream Producerを使用できる。DeckLink IPでは、ST 2110に準拠したあらゆるIPフィードをライブストリームに変換し、必要な数だけのオンラインプラットフォームに送信可能。あるいは、ATEM Streaming Bridgeと併用すると、遠隔の放送ネットワークとリンクさせることも可能。

DeckLinkカードにはMac、Windows、Linux用の高度なデベロッパーSDKが無償で同梱されている。デベロッパーSDKを使用すると、社内用、あるいは他の放送局に販売するための独自のソリューションの開発を簡単に行える。DeckLink SDKは柔軟性が必要な場合には、ハードウェアのコントロールが低水準で実行でき、一般的なタスクには、使いやすい高水準のインターフェースで作業できる。何千ものメーカーやデベロッパーがBlackmagic DeckLinkカードを製品に使用しているので、商業品質の放送ソリューションの開発においてDeckLink SDKを使用することで、強固な基盤のもと作業を安心して行えるとしている。

 

◉製品情報
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/decklinkip

ブラックマジックデザイン
https://www.blackmagicdesign.com/jp