ブラックマジックデザインは、俳優の福士蒼汰氏が監督したショートフィルム『イツキトミワ』がBlackmagic Cinema Camera 6Kで撮影され、DaVinci Resolve Studioでグレーディングされたことを発表した。

同作は第一線で活躍する俳優が本格的な映画スタッフと共同で短編映画を監督するという、WOWOWの開局30周年を記念して立ち上げたプロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」の一作品だ。

『イツキトミワ』は俳優、福士蒼汰氏が監督・脚本を務めたショートフィルム。家計を支えるため美大進学を諦めた青年、一葵が、ギャラリーで自分の作品を見つめる三羽と出会い心を通わせる。しかし三羽には秘密があり、一葵も彼女の気持ちに気づくことができず、二人の関係は悲しい結末を迎える。

同作はWOWOWの「アクターズ・ショートフィルム」プロジェクトとして制作され、福士蒼汰氏をはじめとする人気俳優陣がそれぞれショートフィルムを監督し、WOWOWオンデマンドで配信中。福士監督を支えた経験豊富な映画制作スタッフのひとりである撮影監督の西村博光氏は、同作の撮影にBlackmagic Cinema Camera 6Kを使用した。また、ポストプロダクションにおいては角川大映スタジオの三木秀人氏がDaVinci Resolve StudioおよびDaVinci Resolve Mini Panelでグレーディングを行なった。


今回、Blackmagic Cinema Camera 6Kで初めて撮影したという西村氏だが、数多くの映画賞を受賞した映画『百円の恋』では初代のPocket Cinema Cameraで全編撮影をしているという。

「その時は16mmフィルムで撮りたいと思ったんですが、ちょうどその頃にPocket Cinema Cameraが発売されたので使ってみたんです。Blackmagicのカメラはその頃から使っていますね」


『イツキトミワ』の撮影では、登場人物の一葵と三羽の不安定な気持ちや、親密になっていく様子を表現するために、西村氏はさまざまな撮影手法を取り入れたという。

「不安定さを出したいところでは、手持ちにしてカメラの揺れをあえて感じさせたり、夜のシーンではライトアップをせず街灯のみで二人の自然な表情と親密な雰囲気を映し出すようにしました。Blackmagic Cinema Camera 6Kが比較的コンパクトなので、その機動性の良さも利点でした」

西村氏は続ける。

「カメラのラチチュードが広いので暗部にノイズが出ることもなく、ライティングなしでも人物の表情をしっかりと撮ることができ、周りのイルミネーションの光も綺麗に収めることができました。ここまで寄ってもいいのかなと思いながら、かなりアップで撮ったショットも多いです。背景のボケもきれいに撮れました」

「僕もBlackmagic Cinema Camera 6Kは初めてだったんですが、地明かりで撮ったのに夜のノイズ感が少ないことにびっくりしました。また、鮮やかさがすごく綺麗だなと思いました」とカラリストの三木氏は話す。

「印象に残っているのは薄暗い主人公の部屋のシーンです。監督から立体感を出したいという要望があったので、全体のトーンは統一しつつも、グレーディングで陰影をつけてひとつひとつの色や立体感が際立つように調整しました。また、他のシネマカメラの素材と比べても、Blackmagic RAWは作業中に重たさも感じなくて、挙動がいいなと感じました。今回の作品のように人物のアップが多い作品では肌の修正をリクエストされることが多いです。以前はショットごとにマスクを切って調整していましたが、最近はAIの機能が充実してボタンひとつで画像解析して補正してくれるのはとても助かっています」と三木氏は結んだ。


◉ブラックマジックデザイン
https://www.blackmagicdesign.com/jp