ブラックマジックデザインは、ラテンアメリカ・グラミー賞を受賞したシンガーソングライター、カルロス・ヴィヴェス(Carlos Vives)の最新シングル「Mañana」のミュージックビデオのカラーグレーディングと編集に、DaVinci Resolve 15 StudioDaVinci Resolve Mini PanelDaVinci Resolve Advanced Panelが使用されたことを発表した。

40年近くに及ぶキャリア、10枚のスタジオアルバム、5曲のビルボード・チャート入り(ホット・ラテン・ソングス部門)など、音楽業界で大きな足跡を残しているヴィヴェス氏は、カラフルで文化色の強いビジュアル要素でも世界的に有名だ。同氏は最新のミュージックビデオにおいて、フアカ・プクラナ・ピラミッドや、プラザ・デ・アーマスなど、ペルーの遺跡で撮影を行うことを決断した。ミュージックビデオの制作・監督は、コロンビアのMestiza Filmsが担当。フィニッシングは、同じくコロンビアを拠点とするポスプロスタジオのEstudio Rocoと、ロサンゼルスのChroma Hollywoodが協力して作業を行なった。ポストプロダクションが2つのスタジオに分けて行われた目的は、ラテンアメリカの制作にハリウッドのルックを持ち込むためだった。

同プロジェクトのディレクター兼カラリストを務めたEstudio Rocoのディエゴ・イアーマ(Diego Yhamá)氏と、Chroma Hollywoodのカラリストであるヘンリー・サントス(Henry Santos)氏は、以前にもMestiza Filmsから仕事を依頼された経験があった。その内容は、同じくカルソス・ヴィヴェス氏のミュージックビデオである「Hoy Tengo Tiemp(Pinta Sensual)」で、DaVinci Resolveを使用したカラーグレーディングだった。Mestiza Filmsとヴィヴェス氏は彼らの仕事とスタイルを気に入り、「Mañana」のビデオでも二人に仕事を依頼したのだ。

「今回の新しいプロジェクトの依頼を受けた時、私たちはとても喜びました。DaVinci Resolve 15 Studioを初めて使用できるからです。特に、離れた場所で共同作業が行えるリモート・コラボレーション機能です」と、イアーマ氏。「私はコロンビア、ヘンリー(サントス)はロサンゼルスにいるので、リモート・コラボレーション機能を最大限に生かしました。コラボレーション機能が最も輝いたのは、Mestiza Filmsの担当者が私のスタジオを訪れた際に、数千マイルも離れたヘンリーのカラーグレーディングをリアルタイムで見せた時です。彼らが色やトーンの好みを伝えると、私たちはそれに応じて即座に調整できたました。この機能が本当に便利だと証明された瞬間でした。」

さらに彼らは、ResolveFXや、GPU/CPUアクセラレート・プラグインも活用した。特に活躍したのは、顔の特徴を自動的に認識・追跡できる顔認識ツールだった。このツールを使用すると、色の変更や調整、または色を明るくするなどの作業を行う上で、イメージの一部を手動で選択したり、ロトスコープを使用したりする必要がない。これにより、サントス氏は、顔の特定の領域に焦点を合わせ、肌のトーンの微調整やバランス調整を行うことができた。

「これらの新しいプラグインは、とても簡単に使用できました。イメージのルックが大幅に良くなりましたね」と、サントス氏。「首や唇、肌全体のトーンに焦点を合わせ、ハリウッドスタイルのカラーに仕上げることができました。自然な雰囲気は保ったままです。」

ミュージックビデオのフィニッシングが完成間近となった頃、Mestiza Filmsから新しいオープニングシーンが届いた。コマーシャルに使用する目的で、レコードレーベルが同ビデオの短いバージョンを必要としたためだった。

「全くパニックにはなりませんでした。DaVinci Resolve 15 Studioの新しいタイムラインスタック機能を完全に頼って、新しく届いたシーンを読み込みました」と、イアーマ氏は言う。「この作業も簡単で、新しいタイムラインに読み込んだ新しいシーンを、元のタイムラインにコピー&ペーストするだけでした。」

新しいオープニングシーンはカラーグレーディングされていなかったため、彼らは複数再生ヘッド機能を活用した。イアーマ氏は説明する。「これも新機能ですが、非常に役立ちました。特に、すでに作業中のものに新しいコンテンツを追加する場合です。私はこの機能を、グレーディング中にショットを比較し、タイムライン上を移動する目的で使用しました。これにより、新しいシーンを他の部分とマッチさせ、一貫性を持たせることができました。」

イアーマ氏とサントス氏は、カラーグレーディング処理全体を通して、DaVinci Resolve Mini PanelとDaVinci Resolve Advanced Panelを使用した。イアーマ氏はEstudio RocoにDaVinci Resolve Mini Panelを所有しており、サントス氏はChroma HollywoodにDaVinci Resolve Advanced Panel、自宅にDaVinci Resolve Mini Panelを所有している。

「大掛かりな仕事には、スタジオのDaVinci Resolve Advanced Panelを使用します。このコンソールで、DaVinci Resolveソフトウェアの全機能をコントロールできます。DaVinci Resolve Mini Panelは、私が自宅にいる時に、クライアントから追加作業が入った際などに便利です。そこですぐに作業できます。これら両方のパネルは、私の作業環境に大きな変化をもたらしました。イメージを思う通りに調整できるだけでなく、時間的にも柔軟に仕事を完成させられます」と、サントス氏。

彼は続ける。「これらのパネルが本当に魅力的なのは、デザインが非常に直感的である点です。私は、トラックボールを使用したカラーバランスや明るさの調整を存分に活用しています。面白いのは、私は作業中にパネルを一切見ません。体が完全に覚えてるんですよ。」

「今回のミュージックビデオのようなプロジェクトは、私たちにとって始まりに過ぎません」と、サントス氏。「私たちのゴールは、ハリウッドのルックをラテンアメリカの制作に持ち込むことです。DaVinci Resolve 15 Studioのようなプログラムのおかげで、コラボレーション作業が促進され、私たちはそのゴールに一歩近づくことができました。私たちの仕事がラテンアメリカの他のポストハウスにインスピレーションを与え、ラテンアメリカのコミュニティーに属するプロたちのスキルや知識が脚光を浴びることを願っています。ローカルの才能豊かなアーティストと簡単にコラボレーションできることで、仲間意識が高まり、ビジョンを共有して、世界レベルのプロジェクトを作成できるのです。」

 

◉ブラックマジックデザイン
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