ブラックマジックデザインの発表によると、竹内洋介監督作品『種をまく人』の撮影に Blackmagic Pocket Cinema Cameraが使用された。また同作のグレーディングおよびフィルムスキャン業務は(株)東京現像所で行われ、DaVinci Resolve および Cintel Film Scanner が使用された。

『種をまく人』公式サイト
https://www.sowermovie.com/

映画『種をまく人』は竹内洋介氏の初の長編監督作品。カメラマンで俳優の岸建太朗氏が撮影監督および主演を務めた。東日本大震災の被災地で瓦礫撤去作業に従事していた主人公の光雄は、心労から精神を病んでしまう。3年後、精神病院から退院した光雄は弟・裕太の家を訪れ、姪の知恵、ダウン症の一希と心を通わせていく。しかし、ある事件が起こり その穏やかな日々は崩れていく。

同作の撮影では Blackmagic Pocket Cinema Camera がAカメラとして使用され、最大4台の Pocket Cinema Camera が使用された。ラストシーンのみ35mmフィルムで撮影され、そのフィルムは東京現像所の Cintel Film Scanner でリアルタイムスキャンされたのち、他のフッテージとともに同社の DaVinci Resolve Studio でグレーディングされた。

「この映画の主人公は9歳の少女だが、私たちは主人公を演じた涼乃ちゃんに、その役を演じるのではなく生きて欲しいと強く願った。それを可能にするには、彼女に映画の撮影であることすら意識させないようにする必要があった。具体的にはカメラの存在感をできるだけゼロにしたかった。そういう意味で Pocket Cinema Camera 以上に適したカメラはなかった。スマートフォンと似たような大きさにも関わらず、RAW動画がカメラ内部に収録できる。インディーズフィルム制作者の僕たちとしては、本当にエポックメイキングなカメラだと実感している。」(岸建太朗/主演・撮影監督)

「この作品は、東日本大震災直後の夏に、岸さんと共に被災地を訪れた際に、海岸沿いの荒れ果てた土地に咲いていた一輪のヒマワリを見たことから着想を得ている。私は当初16mmフィルムでの撮影を考えていたが、予算的に厳しいことからカメラマンの岸さんやカラリストの星子さんと相談し、16mmフィルムの質感で撮れる Pocket Cinema Camera での撮影を決めた。その後、被災地に自分たちの手でひまわりを植え、ラストシーンを撮影することになったが、2011年に被災地で見たひまわりのイメージ、その自然の力強さを最大限に伝えるには、やはりフィルムで撮る以外の選択肢はないと決断し、ラストシーンだけを35mフィルムで撮影することにした。」(竹内洋介/監督)

「同じメーカーの製品ということもあり、フィルムとデジタルの違いはあるが、Cintel と Pocket Cinema Camera の素材は画の出かた、味わいがとても似ている。そのためなじみがよくて違和感がなく、とてもうまくマッチングしたと感じている。この作品にとってベストな選択だったのではないか。」(星子駿光/東京現像所 カラリスト)

東京現像所ではMacベースとLinuxベーで計3式の DaVinci Resolve Studio が稼働しており、仕事内容により使い分けている。「Linuxは4K以上の解像度を扱う場合に使っている。この作品にはMac版を使った。Resolve のソフトウェアは、バージョンアップでどんどんGPUの扱いが上手くなっていっていると実感している」と星子氏。

「フィルムのイメージが素晴らしいことは想定済みだったが、Pocket CinemaCamera のイメージがここまでフィルムに寄せられたことが本当に驚きだった。今回は画質を重視したため全編RAWで収録したが、このカメラのRAWのポテンシャルの高さを実感している。」(岸氏)

同作品はテッサロニキ国際映画祭、ストックホルム国際映画祭、ファジル国際映画祭、ロサンゼルス・アジアン・パシフィック映画祭などで上映され、多くの賞を受賞。テッサロニキ国際映画祭では最優秀監督賞(竹内洋介)と最優秀主演女優賞(竹中涼乃)を、またロサンゼルス・アジアン・パシフィック映画祭では、最優秀脚本賞(竹内洋介)、ベストヤングタレント賞(竹中涼乃)、最優秀主演男優賞(岸建太朗)、そしてグランプリ(最優秀作品賞)の4冠を達成した。日本での公開は未定。