ブラックマジックデザインは、フジテレビで放送中の人気ドラマ『ミステリと言う勿れ』のグレーディングに編集/グレーディング/VFX/オーディオポスト・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioが使用されたことを発表した。同作のグレーディングは株式会社バスクのカラリスト、阿部友幸氏によってDaVinci Resolve Mini Panelを使って行われた。

『ミステリと言う勿れ』(原作/田村由美「ミステリと言う勿れ」(小学館 「月刊flowers」連載中))は累計発行部数1400万部を突破している田村由美の大人気コミックを原作とした連続ドラマシリーズ。菅田将暉が演じる主人公、久能整が淡々と自身の見解を述べるだけで、巻き込まれた事件の謎も人の心も解きほぐしていく新感覚ミステリーで、フジテレビ月9枠で放送され、今季のドラマシリーズの中でも圧倒的な人気を誇っており、見逃し配信の再生回数記録でも最高記録を叩き出している。

同作のグレーディングを務めた株式会社バスクの阿部友幸氏はこう話す。

「ドラマの制作は往々にして非常にタイトです。撮影日も映画の半分の日数で撮ることが多いですし、ポストプロダクションでもグレーディング、本編、MAなどそれぞれの工程に対して与えられている時間は1日のみです。そのため、急な直しが発生することが非常に多いんです。編集ソフトウェアとの連携でAAFとのやりとりが必須になるのですが、DaVinci Resolve Studioはそのやりとりが他のアプリケーションと比べてトラブルなくスムーズにできるところが助かりました」

阿部氏は続ける。

「このドラマはカット数が1話につき1000カットちかくあります。ドラマ制作は納期が非常にタイトなため、コンフォームやレンダリングのスピード感は重要です。その点DaVinci Resolveはコンフォームも一瞬で終わりますし、グレーディング中もスムーズに作業を進めることができました」

グレーディングはフジテレビの編集スタジオにてDaVinci Resolve Mini Panelを使用して行われた。同編集スタジオにはDaVinci Resolveの他に波形表示用のSmart Scope Duoや、Smart Videohubルーター、Teranex Miniコンバーターなども使用されている。

「ドラマの編集ですと30インチくらいのマスターモニターを使うことが多いんですが、Mini Panelはそのマスターモニターを見ながら作業するのにちょうどいいですね。この編集室のサイズに対しても最も適したサイズ感で、直感的にグレーディングするための必要な機能が揃っています。また、第一話目に関しては、バスクのスタジオでグレーディングを始めていて、途中からこちらのスタジオに移動しました。素材のサーバーごとプロジェクトの移動をしたんですが、スムーズでストレスなくできました」

第一話目はシーンのほとんどが警察の取調室のワンシチュエーションドラマであったため、できるだけ視聴者を飽きさせない画作りが求められた。シーンによって雨が降っていたり、日差しが入っていたりしたので、天候や時間帯によって同じ場所のシーンでも、ルックに変化を持たせるように心がけたという。

「あるシーンでは、壁に反射する日差しの入り方が非常に複雑で見ていて気になるところがありました。ここは監督から、役者の心象に合わせてシーンの途中で徐々にルックを変えたいというリクエストもあった重要なシーンでした。そこで視聴者の注意が外れてしまいそうな光の変化を目立たないように抑えつつ、役者の感情に合わせて寒色から暖色系のルックに変化させるグレーディングをキーフレームエディターで調整しながら行いました」

このようなキーフレームを使用した調整は他にも多く行なっていると阿部氏は言う。実際にバスを走らせながら撮影したシーンでは、日差しの加減で俳優の顔が極端に暗くなったり明るくなったりしているところが多くあったため、その顔をよりきちんと見せるために不均等な光の加減を調整する必要があった。

「ドラマでは特に役者の芝居を見たいと思う視聴者が多いので、きちんと表情がわかるようにすることが重要です。このシーンでもカーブやキーフレームを使ってうまく調整することができました。DaVinci Resolveを使っていなかったら、限られた時間の中でこのように妥協することなく細かい調整をしながら仕上げることは難しかったと思います」

と阿部氏は結んだ。

 

 

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