ブラックマジックデザインは、Facebook Watchで配信された「Simone vs Herself」の撮影にPocket Cinema Camera 4Kが使用されたことを発表した。「Simone vs Herself」は、シモーネ・バイルズ選手のオリンピックへの復帰に焦点を当てた7部構成のドキュメンタリーである。またこのドキュメンタリーのカラーコレクションには、DaVinci Resolve Studioが使用された。

Religion of Sportsが制作、ゴッサム・チョープラー(Gotham Chopra)氏が監督、そしてFacebook Watchで独占的に配信された同ドキュメンタリーシリーズは、体操のスター選手であるシモーネ・バイルズの人生を追い、彼女の旅路と2021年東京オリンピックに向けた準備の様子をユニークに紹介している。このシリーズは、世界最高クラスのアスリートたちの個人的なモチベーションを紐解くFacebookのスポーツドキュメンタリー番組、「Versus」の一環として作成された。

Facebookの「Versus」シリーズが人気を博している理由のひとつは、世界的なスーパースターの生活やモチベーションを間近で見られることである。「Simone vs Herself」では、シモーネ・バイルズ選手が世界中を旅するのを追いかけ、様々なシーンを、まさにそれが起きている瞬間に、邪魔しないように撮影が行われた。ジェシカ・ヤング(Jessica Young)撮影監督は、撮影にPocket Cinema Camera 4Kを使用。決め手となったのは、小型でセットアップや移動が簡単なこと、そして高画質で高ダイナミックレンジに対応していることである。

ヤング撮影監督は、2019年の9月にこのドキュメンタリーの撮影を始めたが、新型コロナウイルスの影響により東京オリンピックが延期。東京オリンピックが始まった2021年8月まで撮影が延びたことで、各エピソードの締め切りは極めて厳しいものとなった。ヤング撮影監督は、12-35mm、35-100mm、100-300mmレンズなどの様々なMFTレンズ、そして小型のセットアップが必要な場面では14mmプライムレンズを使用して撮影。バイルズ選手を数カ国に渡って追い、家族との時間も映像に収めた。

今回のシリーズの撮影におけるPocket Cinema Camera 4Kのユニークな利点について、ヤング撮影監督は以下のように説明している。「トレーニングや競技会以外の理由で外の世界に出る場合、人々はたいていシモーネに気付くので、目立たないようにすることが非常に必要な場面が何度かありました。Pocket Cinema Cameraは小さなバックパックに収まり、操作も簡単なので、ストーリープロデューサーや現地のアシスタントなど、他のスタッフに任せることもできましたね」

ヤング撮影監督は、Blackmagic RAWの5:1圧縮で撮影。そしてこのシリーズは、Facebook Watchプラットフォームで16:9で表示された。

「カメラを4K DCIの設定にして、Blackmagic RAWの5:1で撮影しました。このカメラのベースログは、このシリーズで使用した他の撮影プラットフォームとの相性が抜群です。Pocket CameraのフッテージにDaVinciでカラーグレーディングを施せば、他のカメラのフッテージとシームレスに編集できることが分かっていたので、まさにそれを実行しました」とヤング撮影監督。

LAに拠点を置くポストプロダクション会社、Fancy FilmのCTOでありカラリストでもあるトニー・シェク(Tony Shek)氏は、同シリーズのポストプロダクション全般にDaVinci Resolve Studioを使用。これには、カラーコレクション、様々なカメラで撮影したフッテージの管理、Facebook Watchで最終的に配信するためのメディアの準備などの作業が含まれる。

東京オリンピックが2021年に延期され、さらにこのシリーズがオリンピックの開始前および終了後に配信されたことで、シェク氏は極めて厳しい締め切りに直面することとなり、わずか数時間で納品するということもしばしばあった。

バイルズ選手がインタビューでカメラのフラッシュに晒されている際、視聴者が彼女と同じ気持ちになるようなルックを作るのにDaVinci Resolve Studioが役立ったという。

「Resolveでは様々な実験が可能でした。シモーネにとってのリアルなインタビューの感覚を、視聴者の皆さんにも感じてもらいたかったんです。そのために、シモーネのインタビューショットでは、フラッシュ撮影を模したコントラストで、ベリテ風のモノクロのゴールデンルックをResolveを使って作成しました。さらに、カメラのフラッシュバルブを再現するような微妙なハイライト作業にもResolveを使用しました。また、強烈なフラッシュで画像が白飛びしそうな映像でも、ディテールを得ることができました」

シェク氏は続ける。

「Resolveのフェイス修正ツールのおかげで、インタービューシーンや、顔の細部を強調、調整する必要があるシーンにかかる時間を大幅に削減できましたね。Resolveのフェイス修正ツールを使用したことで、通常であれば30分かかるような作業を2分で行うことができたんです」

「このシリーズと同時期にオリンピックが行われていたため、ほぼリアルタイムで映像を入手してグレーディングしているような感覚でした。納期に遅れずに、Facebook Watchの高品質を維持するには、Resolveの効率性が必要不可欠でした。Resolveのコラボレーションモードにより、ポスプロの他の作業をリアルタイムで行うことができました。また技術的な問題に時間を取られずに、クリエイティブな面に集中することができました」

シェク氏は最後こう結んだ。

 

 

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