9月25日、液晶パネルのダイレクトタッチコントロールメニュー操作の動画を加えました。

昨年秋のEOS C500 Mark IIに始まり、今年春のEOS C300 Mark IIIと、キヤノンによるCINEMA EOS SYSTEMの新しいラインナップ展開が想像以上に加速している。今回発表されたEOS C70は、C300 Mark IIIとまったく同じスーパー35のDGOセンサーを搭載したコンパクトモデル。CINEMA EOS SYSTEMとミラーレス一眼のEOS Rシステムが小型ムービー機として統合したようなスタイルとコンセプトで、CINEMA EOSとしてははじめてRFマウントを採用したモデル。2020年11月中旬発売予定で、価格はオープンで参考想定価格は約60万円。

センサーとエンジンはEOS C300 Mark IIIと同じもので、4Kスーパー35 DGOセンサーを採用。DGOとは、Dual Gain Outputの意味で、同じ画素信号を2回読み出せる構造で、1つのアンプで飽和優先ゲインとノイズ優先ゲインでそれぞれ読み出し、HDR合成することで、16+スロップのダイナミックレンジを実現している。要するにスーパー35センサーとしてはこれまでにない階調の豊かさとSNの良さを達成できるということ。このセンサーはデュアルピクセルCMOS AFとも両立することがポイント。さらにEOS-1D X Mark IIIで搭載されたEOS  iTR AF Xという、ディープラーニング技術を応用して開発した頭部検出アルゴリズムを採用。

動画記録はもちろん4K 4:2:2 10bitでしかも4K/60pに対応。このモデルは機動力を重視したコンセプトのため残念ながらRAW記録(Cinema RAW Light)には対応していないが、XF-AVC(H.264)とMP4(H.265)をチョイスでき、どちらのフォーマットでも10bitを選択できる。XF-AVCのほうは、ALL-IとLong GOPの使い分けも可能(ALL-Iは4K/30pまで)。LogはCanon Log2とLog3に対応。10bit収録とも合わせ16+ストップのダイナミックレンジをいかした運用が可能となっている。

記録メディアはデュアルSDカードスロットで、UHS-IIカードにも対応。2スロットでの同時記録、リレー記録も可能。特筆すべきは、2枚のSDカードにストリームの異なる組み合わせで記録が可能なこと。たとえば制作用のXF-AVCとプレビュー用のMP4を同時記録したり、解像度違いで4Kと2Kの同時記録、また、XF AVCのALL-IとLong GOPの同時記録など。

ハイフレームレートも特徴的で、最大4K/120pのハイフレームレート撮影時(2Kクロップでは最大180fps)にデュアルピクセルCMOS AFが駆動し、またオーディオ同時記録も可能となっている。

 

機動性重視の小型軽量ボディ

EOS Rシリーズのデザインを思わせる小型ボディデザインはこれまでのムービーカメラにはないスタイル。マイクホルダー付きのハンドルユニットは同梱で、ここには各種アクセサリーを装着可能。ただしXLR端子はなく、本体ボディ左側にミニXLR入力を2系統設けた。

スチルカメラ用のメカシャッター機構はなく、RFマウントの20mmという薄いフランジバックながら、薄型電動式NDユニットを新開発して搭載。上下にスライドして、2、4、6ストップのNDフィルターが装填される。拡張モードでは8ストップ、10ストップの効果が得られる。

グリップ一体型で一眼スタイルで握る

グリップは上位機のように着脱、回転式ではなくボディに固定されており、一眼スタイルで握る。3ダイヤルとジョイスティックを配置した多機能グリップで、RFレンズの場合はレンズ側のコントロールリングにも各種機能を割り当てることができる。EVFはなく、3.5型のバリアングル液晶モニターのみ。

 

豊富なアサインボタンと入出力端子

小型ボディに左側面を中心に多数のアサインボタンを配置(合計13個)。自由にカスタマイズができる。オーディオ入力は48Vファンタム電源対応の3ピンミニXLR入力を2系統。さらにステレオミニタイプのマイク端子を装備。ちなみにボディ本体にビルトインマイクもあり、外部入力と組み合わせて収録することもできる。HDMIはType Aを採用。またボディ右前方にタイムコード入出力端子(BNC)も用意されており、ライブ撮影などでのマルチカメラ収録のカメラとしても使いやすい。

新しいタッチインターフェイス

EVFがないかわりに液晶パネルでのタッチインターフェイスを充実させている。目的の設定画面に素早くアクセスすることができる新しい操作スタイルを開発。これまで階層構造になっていた設定が片手で素早く変更可能となっている。

EF-EOS R 0.71XでEOS C70はフルサイズセンサー機として使える

EOS C70関連で最もインパクトがあるのは同時に発表され12月に発売される専用のマウントアダプター、EF-EOS R 0.71Xかもしれない。これは単なるEFからRFへの変換アダプターというだけでなく、縮小光学系が入っていることで、スーパー35センサーでもフルサイズと同等の画角での撮影が可能になるもの。被写界深度は装着前と同等に、約1段明るいF値で撮影ができる、いわばスピードブースタータイプ。純正でスピードブースターが出てきたというのが驚きだ。手持ちのEFレンズをそのままの画角でEOS C70で使用できるだけでなく、F4のズームレンズをF2.8相当のズームレンズとして使うことができるわけで、EFレンズユーザーであれば、EOS C70とこのアダプターはセットで導入する価値は高い。価格は8万円。

 

発売時点でのフルサポートレンズはズームレンズ3本(EF16-35mm F2.8L IIII USM、EF24-70mm F2.8L II USM、EF24-105mm F4L IS II USM)。今後、動画で使用頻度の高いズーム系Lレンズを7機種(未確定)から順次拡大していくという。その後、EF単焦点レンズにも順次対応していく予定。

EOS C70の商品情報サイトはこちら https://cweb.canon.jp/cinema-eos/lineup/digitalcamera/c70/