「顔ぼかし」や「無線ライブ配信」機能など、RICOH THETAの機能を拡張するプラグインストアが登場。


リコーの360度VRカメラ・RICOH THETA V。その登場とともに機能拡張プラグインの開発がアナウンスされていたが、7月23日に本格的な提供を開始。事前にソニーやNTTドコモなどのパートナー企業とともに行われた発表会の模様をレポートする。

レポート◉染瀬直人

 

RICOH THETAはワンショットで360度の全天球イメージが撮影できるVRカメラとして、2013年11月に市場に登場。実写VRコンテンツを世界に広く普及させる先駆けとなった。昨年、9月に発売されたTHETA Vは、待望の4K相当の動画と、5.4Kの静止画撮影をカバー、空間音声も収録できるフラッグシップ機である。実はTHETA Vのもう1つの特徴は、OSにAndroidベースのシステムが搭載されており、後から拡張機能が追加できることにあった。

今年6月からは「RICOH THETA プラグイン パートナープログラム」が開始され、株式会社リコーはプラグインの提供に向けて、第三者の開発者を支援してきた。そして、この7月23日、ついに「RICOH THETAの
プラグインストア」がオープン。日本、アメリカ、欧州のメーカーが開発した5種類と、リコー自ら開発し
た3種類のプラグインの公開、提供が開始された。これにより、ユーザーがTHETA V用のプラグインをダウンロードして、コンシューマー向けやビジネスユースの新機能を、用途や好みに応じて追加することが可能になった。先日、サービスの提供を前に記者向けのお披露目と説明会があり、開発した企業の担当者からプレゼンテーションが行われた。

 

▲「プラグインの提供により、ユーザーにTHETA Vをさらに多くの用途に活用していただきたい。」と語る、株式会社リコー Smart Vision 事業本部 THETA事業部 部長 藤木仁氏

 

パートナー企業が開発した5種類のプラグイン

今回は国内からは、NTTドコモとソニーが参加しているが、海外製のプラグインは既存のパノラマやVRのビジネス向けのサービスが基盤になっているのが特徴だ。「RICOH THETA プラグイン パートナープログラム」は、6月28日に開始されて以来、想定以上に世界中から登録があったという。

 

1.WEBブラウザからTHETA Vをコントロール「デバイスWebAPI プラグイン」

THETA V上で仮想サーバーとして動作、THETA Vのカメラ・コントロールや、ライブビュー、ストレージ管理、バッテリーや内蔵センサーからの情報取得を可能にするプラグインである。PCやスマートフォン、ヘッドマウントディスプレイなど他のデバイスからも、共通のWebAPI で接続が可能。 視点を切り出した映像をつくったり、スタビライザー的な利用方法がある。

▲ブラウザからTHETAのライブビューを行なった状態。開発元:株式会社NTTドコモ(開発フレームワーク提供)、株式会社GClue(アプリ開発・提供)

 

▲二眼(サイド・バイ・サイド)に表示して、HMDで視聴することも可能。

 

▲株式会社NTTドコモ 研究開発センター サービスイノベーション部 山添 隆文氏

 

2.次世代プログラミングキットMESHと組み合わせて様々な撮影操作ができる「MESH plugin for RICOH THETA」

▲7種類のMESHブロックと、MESHアプリ。開発元:ソニー株式会社

 

MESHは、ソニーの新規事業創出プロジェクトから生まれた製品。センサー機能を持つワイヤレスブロックと、その他のガジェットを無線でつなげて、IoTのプログラミングを直感的に行うことができるツールである。今回の「MESH plugin for RICOH THETA」では、MESHブロックとTHETA Vを組み合わせて、直接撮影操作ができるプラグインだ。ボタンを使ったリモートシャッターや、人感センサーブロックを使ったタイムラプス撮影などが可能。さらにMESHアプリを介せば、カスタマイズの可能性が広がり、7種類ある全てのMESHブロックとの連携が可能になり、THETA SやSCでも使用できるようになる。

▲ソニー株式会社 新規事業創出部 MESH プロジェクト リーダー 萩原 丈博氏

 

その他のパートナー企業のプラグインも

EVRYPLACE Sync

EVRYPLACE社はポーランドにある企業だ。不動産や観光、教育分野向けのVRプレゼンテーション・ツールであるEVRYPLACEと、THETA Vを結ぶプラグイン。THETA Vで360度画像を選択して、EVRYPLACEプラグインを立ち上げ、カメラからEVRYPLACEのサーバーへダイレクトに画像を送ることができる。これにより、スマートフォンからのプロジェクトの管理も容易になる。

HoloBuilder 360 SiteStream

HoloBuilderは建設現場に特化して、作業の進捗状況を360度ライブとして24時間365日、配信できる世界初のシステムだ。現場の各地点にTHETA Vを設置しておけば、リモート操作でリアルタイムに状況を把握できる。HoloBuilder社は、サンフランシスコに本部があるドイツ系米国人の建築技術関連のスタートアップ企業である。

Fita

FitaはTHETA Vから接続先のGoogle Cloud Storageアカウントに画像をアップロードできるプラグイン。無線LAN接続により、360度画像を使って、チーム内でのコラボレーションを可能にするモバイル・ジャーナリスト向けのアプリである。Everywoah社は、国際市場への事業拡大などスタートアップを支援するNUMAバルセロナの卒業生が立ち上げた会社だ。

 

リコーは3種類のプラグインを開発・公開

リコーからは、これまで、撮影したカメラ本体内の映像データをテレビなどに360度で映したり、THETA Vをリモコンとして画像を選択したり、表示された360度映像を上下左右に動かしたりすることができる「Remote Playback(リモート再生)」、また撮影したカメラ本体内の静止画・動画ファイルをUSBメモリーに移動させることができる「USBData Transfer(USBデータ転送)」の2種類のプラグインが提供されていた。

 

今回新たに、VR映像THETAで撮影した画像に写る内の人の顔を検出して、自動でぼかしをかける「Automatic Face Blur BETA(自動顔ぼかしβ版)」、無線でのYouTube360度ライブ配信が可能な「Wireless LiveStreaming(無線ライブ配信)」、RICOH THETA V内にある画像を、無圧縮のまま、ルーター経由でGoogleフォトに自動的にアップロードして共有できる「File Cloud Upload(クラウドアップロー
ド)」の3つのプラグインが提供されるた。これらの3つのアプリに関しては、今回事前にテストすることができたので、別の記事でレポートする。

▲「プラグインにより、外部デバイス、クラウド、カメラの連携と拡張が実現される」と語る、株式会社リコー Smart Vision事業本部 THETA事業部 高田 将人氏

 

進化していくTHETA V独自の方向性

▲公開されたRICOH THETA V 拡張ロードマップ。2018年10月〜12月には、スマートスピーカー・Amazon echoなどのスマートデバイスと連携するプラグインや、新規ビュー追加(THETA +)などのアプリの公開も予定されている。

 

今回、「RICOH THETA プラグイン パートナープログラム」には、国内からはNTTドコモとソニーが参加しているが、海外製のプラグインは既存のパノラマやVRのビジネス向けのサービスが基盤になっているのが特徴だ。プラグインをストアで公開するためには、パートナー登録(無料)を行う必要がある。また、プラグインの提供にあたっては、一応の審査がある。ファイルはAndroidのAPKファイル 、重さはマックス265メガまで。野良アプリなどはインストールできない仕様になっている。またリコーが発表したプラグインのソースコードは、Githubで公開予定とのこと。プラグインストアの公開に伴い、同時にPCアプリもアップデートされているが、リコーでは、今後も本体のファームウェア、スマートフォンアプリのバージョンアップを続けていくという。そして、今後リリースされるTHETAの新機種へのAndroid搭載も継続していく方針だ(エントリー機には搭載しない可能性もあり)。

今回提供されたプラグインはすべて無償だが、リコーとしては、今後は有償化を実現していきたい、ということだ。携帯性が良く、手軽に360度撮影ができるのがTHETAの魅力だが、ここに来て、いよいよRICOH THETAの本当の真価が見えて来たようである。

 

◉RICOH THETAプラグインストア

https://pluginstore.theta360.com/