ソニーは、デジタルシネマカメラの最上位ラインであるCineAltaカメラのラインアップとして、新たに『BURANO』を発表した。発売日は2024年春。価格はオープンで、市場想定価格は4,300,000円前後(税込)。
『BURANO』は、「VENICE 2」と「FX9」の間のモデルとして位置づけられたデジタルシネマカメラ。8.6Kの35mmフルフレームイメージセンサーを搭載し、「VENICE」で培った高品位な映像表現と、小型・軽量化による高い機動力を兼ね備えている。また、PLマウントカメラとして世界初となるボディ内蔵光学式手ブレ補正機構と、電子式可変NDフィルターを小型筐体に内蔵。
フルフレームセンサーならではの高画質や美しいぼけ、ダイナミックな広角撮影、16ストップのワイドラチチュードと広色域による優れた映像表現を実現。最大解像度 8632×4856 の8K画質記録に加え、8Kセンサーを生かしてオーバーサンプリングによる高品位な4K映像を記録することもできる。
また、シネマのような映像表現を実現しながら、小型・軽量なボディや直感的な操作性、高い機動力により、少人数での効率的な撮影が可能。電子式可変NDフィルターとボディ内蔵光学式手ブレ補正機構を小型筐体に同時に搭載。
PLレンズマウント部を取り外すことでEマウントカメラとして使用でき、手ブレ補正機能に加えファストハイブリッドAFや被写体認識AFにも対応。そのほか、新たにCFexpress Type Bメモリーカード対応スロット2基も搭載する。
8.6K フルフレームセンサーや16ストップのワイドラチチュードなどによる高品位な映像表現
8.6K フルフレームセンサーにより、細部まで高精細な16ストップの広いラチチュードを実現。幅広い輝度条件で、低ノイズで美しい映像を撮影できる。多様なフォーマットでの撮影にも対応し、フルフレームおよびSuper 35mmフォーマットでの撮影や、テレビ番組制作に向く16:9、シネマ制作に向く17:9の読み出しができる。
加えて、多くの映画で使用されるアナモフィックレンズのデスクイーズ機能も搭載。また、ISO 800/3200の2つの基準ISO感度を持つデュアル・ベースISOに対応しており、撮影環境に合わせてノイズを抑えたクリアな映像表現が可能。
ソニーが定義した色空間S-Gamut3やS-Gamut.Cineに対応し、BT.2020、DCI-P3を超える広い色域をカバーします。「VENICE 2」と同様の色再現ができるため、「VENICE 2」と組み合わせた撮影のプロダクションのワークフローが効率化。また、「VENICE」シリーズと同様に、ソニーのCrystal LED VERONA(ベローナ)などの大画面LEDディスプレイを活用したバーチャルプロダクション制作でも活用可能。さらに、既存のs709や709(800%)に加えて、新開発のWarm、Cool、Vintage、Teal and Orangeの印象的な4種類のルックを搭載する。
同機は、高効率の圧縮方式HEVCを用いて8K Intra記録に対応した新ビデオフォーマットのXAVC Hや、ソニー独自の圧縮RAWフォーマットX-OCN LTなどの本体収録に対応。X-OCNフォーマットは、広大なラチチュードで撮影した情報を、階調豊かな16bitのシーンリニアデータで記録できる。X-OCNの中でもX-OCN LTはデータサイズが軽量のため、8Kコンテンツのファイル転送時間やストレージサイズの負荷を軽減でき、通常のRAWデータ使用時よりもポストプロダクションのワークフローを効率化する。
▲新開発のルック(Warm)を使用した作例
ボディ内蔵光学式手ブレ補正と電子式可変NDフィルターを同時に小型筐体に搭載
PLマウントカメラとして世界で初めて、ボディ内蔵手ブレ補正に対応。ミラーレス一眼カメラαで培った高い手ブレ補正技術を生かした新開発の手ブレ補正機構や制御アルゴリズムにより、手持ちや歩きながらのPLマウントレンズでの撮影時にも手ブレを効果的に補正する。
電子式可変NDフィルターユニットを従来よりも薄型化することで、小型筐体に電子式可変NDフィルターと光学式手ブレ補正を同時に内蔵することを実現。電子式可変NDフィルターにより、アイリスで被写界深度をコントロールしてNDフィルターで露出を調整することで、被写界深度を変化させずに最適な露出を得ることができる。
対応している70本以上のEマウントレンズでは、αで培った優れた手ブレ補正機能に加え、位相差検出方式とコントラスト検出方式のメリットを兼ね備えたファストハイブリッドAFと、AIを用いた人物の高精度な被写体認識AFに対応する。Eマウントレンズを使用することで、更に小型・軽量を活かした撮影が可能となる。
▲PLマウントカメラとしてボディ内手ブレ補正搭載
▲同機のボディ内蔵光学手ブレ補正と電子式可変NDフィルター搭載イメージ
高い機動力と操作性を兼ね備え、単独撮影にも対応する小型・軽量な筐体
ソニー独自の小型・軽量化技術により「VENICE 2」比で約33%軽量化(PLマウントアダプタ装着時 本体重量約2.9kg)。操作部材の形状や配置、ボタンやキーのレイアウトを少数クルーや単独での撮影向けに最適化。小型・軽量化と高い操作性により、撮影者の負荷を大幅に軽減する。
撮影状態が周囲のクルーから確認しやすいようタリーランプを3か所に配置し、また3.5型のLCDモニターは撮影スタイルに応じて向きを自由に変更できるほか、直感的に操作できるホーム画面を搭載。単独撮影での音声同時収録向けに、本体左側にはマイクとスピーカーに加え、ヘッドフォン端子(ステレオミニジャック)を内蔵しているほか、端子面にXLR端子を搭載。このほか、堅牢なT字ハンドルとビューファインダー用のアームを同梱している。
▲『BURANO』使用イメージ
安心の基本性能や接続性、使い勝手の良いデザイン
CFexpress Type B 対応スロット2基を搭載し、X-OCN LT 8Kを含む膨大な高ビットレートの映像データを安定して書き込めるVPG400に対応し、SDカードスロットも搭載。
2つのSDI端子、HDMI OUT端子による外部モニターや記録装置との接続、REF IN/OUT(Genlock)端子による外部同期などの接続も可能。有線LAN、ワイヤレスLAN、USBテザリングなど、豊富なインターフェースに対応する。
堅牢性に優れたマグネシウム合金とアルミニウムを筐体に用いたことに加え、気温が高い撮影現場や長時間の撮影でも安心して使用できるように高効率で排熱する小型のベンチレーションシステムを搭載。
新たにモニタリングにも対応するソフトウェアの開発キット「Camera Remote SDK」のVersion 1.11に対応予定としている。
▲CFexpressType B メモリーカードデュアルスロット搭載
単独での撮影でも、ズームレバーや録画開始・停止ボタンなど『BURANO』本体のコントロールが効率的にできるグリップリモコン『GP-VR100』も2024年春に発売予定。同グリップリモコンのアーム基部のレバー操作で、ネジを緩めることなくワンタッチでアームの角度を調節でき、カメラを取り回す際の利便性が向上する。
▲『BURANO』本機に『GP-VR100』を装着したイメージ
その他、高速メモリーカードCFexpress Type Bのラインアップとして、新たにVPG400認証の高容量モデル 『CEB-G1920T』(1920GB)、『CEB-G960T』(960GB)も2024年春に発売予定。高精細8K動画など膨大なデータを安定して記録することができるほか、過酷な環境下でも使用できる高い堅牢性を備える。
◉製品情報
https://www.sony.jp/ls-camera/products/BURANO/
ソニー株式会社
https://www.sony.jp/