スピッツの名曲「楓」を原案にした映画『楓』。
大切な人を失った男女の再生を描くこの作品は、
静けさの中に深い情感を湛えている。
行定 勲監督、主演の福士蒼汰さん、
プロデューサーの井手陽子さんの3人に、
映画製作の舞台裏と
Sandisk製品の活用法についてお話を伺った。
取材●治部美和 構成●編集部・萩原
協力●サンディスク合同会社
映画『楓』2025年12月19日全国ロードショー
【概要】 スピッツの名曲「楓」を原案に、恋人を失った男女が秘めた真実と再生を描く。福士蒼汰×福原遥主演、『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定 勲監督の切ないラブストーリー。
【CAST】 福士蒼汰、福原 遥、宮沢氷魚、石井杏奈、宮近海斗、大塚寧々、加藤雅也ほか
【STAFF】 監督:行定 勲、脚本:髙橋 泉、製作:井手陽子、八尾香澄、音楽:Yaffle、撮影:槇 憲治、照明:中村裕樹、録音:矢野正人、美術:福島奈央花、編集:今井 剛、配給:東映、アスミック・エース



写真左から行定 勲監督、井手陽子プロデューサー、主演を務めた福士蒼汰さん
楽曲から生まれた物語
井手 スピッツの「楓」は決して色褪せることなく、多くの人に長く愛され続けている名曲だと思います。私自身も、年を重ね、別れを経験するたびに、幾度となく聴いてきましたが、常に自分を未来へと導いてくれました。美しいメロディと深い歌詞が織りなす世界からは、いつも様々なことを考えさせられる。いつしか、この曲からインスパイアされた物語を映画化することで、この楽曲のように誰かの心に寄り添うことができる映画を作ることができればと思っていました。
行定 一番難しかったのは、スピッツ”らしさ”を損なわないこと。彼らの曲は美しくて心地よいけれど、歌詞の世界を掘り下げると思いもよらない場所に連れて行かれる。いくつもの解釈ができる懐の深さがあるんです。
福士 スピッツの「楓」は、物心ついた頃から自然に心の中にあった曲で、楽曲を原案に映画化することへの難しさを感じる一方で、受け手によって受け取り方が変わるという点に、面白さと楽しみを感じました。
「遠慮」と「美しい変化」楓の花言葉に込めた想い
行定 楓の花言葉には「調和」「美しい変化」「大切な思い出」「遠慮」があります。私は「遠慮」を核に描きたいと思いました。海外では日本的な情緒が通用しない場面が多々ありますが、日本には「奥ゆかしさ」という言葉がある。自分の心を明かさず、互いに譲り合ったがために不器用に遠回りする――そういう「遠慮」の世界にこそ日本人のリアルがあると感じたんです。
井手 「美しい変化」は、生きることそのものを現す言葉でもあると感じました。人は生きる間に、多くの別れを経験すると思います。別れは、深い悲しみや、苦しみ、痛みを伴うこともある。前に進んでいくということは、そんな様々な感情を受け入れ、自分自身が変化していくことではないでしょうか。私たちの時間は前にしか進まない。たとえどんな変化を遂げたとしても、生きる上で変化していくことは美しさを合わせ持つのではないかと思っています。
なにかを「記録」することとは?

福士 この作品をきっかけに、初めてデジタル一眼を本格的に使いました。現場でひたすら撮り続けたのですが、自分自身、人の自然な表情を撮ることが好きなんだと気づきました。人の笑顔や照れた顔、ライブ感を残すことが写真の魅力だと感じました。
行定 僕は基本的に作品ですら「どうしても残したい」という気持ちはあまりないんです。それは見る人が決めること。次の世代が「必要ない」と思うなら、それが作品への評価だと思うんです。でも、データの保存技術が進化して信頼できるSSDなどの技術によって、思わぬ形で誰かが未来に残してくれて、一度は忘れられた作品が時を超えて再び価値を見いだされることもあるかもしれない。デジタルで記録が残せる時代って、面白いですよね。
デジタル時代の映画制作


行定 フィルムの時代には「失敗できない」という緊張感があって、それがいい効果を生んでいました。でもデジタルでは、気軽に「試してみよう」と言える。実際、今回の撮影もテストなしの本番でしたから。
福士 そうなんです。デジタルだから何度も撮れますけど、結局「やっぱり1テイク目が一番いいね」ってなることもありました(笑)。
行定 1テイク目って、撮り返せない“生の瞬間”があるんですよね。だから僕も「とりあえずやってみよう」って(笑)。
福士 (笑)ほんと、そんな感じでしたね。
行定 そういう経験本当にたくさんあって、フィルム時代には絶対それができなかったと思うんです。技術的に難しい。フォーカスも人の動きがちゃんと確定してないと、全部ボケるわけですよ。距離が分かってないとできないので。その不安がない分、デジタルでは「1テイク目から(本番)やってみよう」って思える。
安心と効率を支えるストレージ

井手 映画の製作には、本編の映像や音声だけでなく、メイキング、スチル写真など、さまざまな素材があります。『楓』の場合も同じで、1日約7時間の収録を2カ月間続け、日々膨大なデータを扱います。もちろんデータのバックアップ作業も欠かせません。今回は、映像とは別に収録する音声のバックアップにもSandisk製のポータブルSSDを使用しました。また、メイキング映像やスチル写真のデータもかなりの量になるため、それらの記録にも活用しています。
SSDはコンパクトで、データの保存・持ち運びが安心でき、バックアップもスピーディーに進められます。実際に以前から現場で使っている方もおり、利便性や安全性への信頼があるのだと思います。不測の事態が起こりうる映画製作の現場において、記録メディアは転送速度の速さだけでなく、耐久性を含めた“安心感”が重要です。
行定 僕自身はデジタル化にはあまりついていけてないんです(笑)。でもSSDは使ってます。これに入れて渡せるのは、本当に便利ですよね。
井手 映画製作に関わるようになって、もう15年ほどになります。この期間のデジタル技術の進化は、本当に大きかったですね。まず、記録媒体が小さく軽くなったことは大きなインパクトでした。海や山など、さまざまな場所で撮影しますが、必ずしも車ですべての機材を運べるわけではありません。コンパクトなSSDで大量のデータを扱えるようになったことは、体力的にも利便性の面でも非常に助かります。
速度の面でも大きな進歩がありました。昔はデータのバックアップやチェックに膨大な時間がかかり、朝から晩まで作業して、夜中にホテルでさらに2、3時間データを確認してから寝て、翌日また出発……という日々が続くこともありました。今ではこうした作業も効率化され、製作現場は大きく変わったと感じます。

SANDISK Extreme PRO®ポータブルSSD
1TB(30,580円)/2TB(44,990円) / 4TB(71,610円)
Sandisk公式オンラインストア取扱価格(税込)
※2025年11月末現在
USB 3.2 2×2規格に対応し、最大2,000MB/秒の読み出し/書き込み速度を誇る外付けSSD。コンパクトで持ち運びやすく、耐久性にも優れています。容量は1TB、2TB、4TBの3種類をラインナップ。
それぞれの「楓」を見つけてほしい
福士 この映画はひとつの解釈に過ぎません。観てくださった方が、この映画で感じた気持ちで曲を聴き返すと、また違った景色が見えてくると思います。
行定 観る人が、自分の経験と重ね合わせて、”ああ、自分もそうだったな”と思える瞬間があると思います。誰もが持っている「言い出せなかった真実」をどう受け止めるか、その感情と向き合うことが、本作のテーマのひとつです。
井手 スピッツの楽曲「楓」が多くの人の心に寄り添ってきたように、この映画もまた、どこかの誰かの人生にそっと寄り添う――そんな存在になってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

ポスターやメイキング写真でもSandisk製品を使用

ポスター・メイキング写真担当:中川正子
私は、ポスターなどに使われる「特写」と、シーンを切り取る「場面写」を担当しています。カメラはキヤノンEOS R5。レンズは50mm標準を中心に、24mm広角と70~200の望遠を使用しました。メイキングスチル担当としては映画撮影の流れを切らないことが何よりも大切です。室内なら壁に張り付いて息を潜め、屋外なら望遠レンズを駆使して瞬間を逃さないようシャッターを切りました。だからこそ、データを記録するメディアは絶対に信頼できるものでなければなりません。普段からSandiskのSDカードを使用していますが、今回初めてSANDISK PRO-CINEMA CFexpress™ Type Bカードをお借りして、書き込みの速さに驚きました。絶対に逃せない撮影シーンばかりでしたが、このカードに助けられました。
Ⓒ2025 映画『楓』製作委員会

SANDISK PRO-CINEMA CFexpress™ Type Bカード
320GB(40,480円)/640GB(54,780円)
Sandisk公式オンラインストア取扱価格(税込)
※2025年11月末現在
シネマ撮影のために設計された超高速メモリーカード。最大1500MB/秒のバースト書き込み速度(最低持続書き込み速度1400MB/秒)と最大1700MB/秒の読み出し速度を備え、8Kワークフローにも対応。最大1メートルの高さからの落下と最大50ニュートンの圧力に耐えられる堅牢な耐久性を備え、長時間撮影でもフレーム落ちを防止。プロの現場で信頼できる安定性とスピードを提供。
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