次石さんはウェディング映像を中心に活躍するビデオグラファー。式の準備から撮影を始め、式の終わりにその日の映像を編集して上映する「撮って出しエンドロール」では撮影はもちろん編集でもスピーディーな判断が求められる。USB4規格に対応し、最大3,800MB/秒の読み出し速度と最大3,700MB/秒の書き込み速度に対応する「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」は、次石さんの目にどう映ったのか? 実際に過去のSSDと使い比べてもらい、そのインプレッションを伺った。

文●永渕雄一郎 取材・構成●編集部・萩原 協力●サンディスク


SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD

2TB(54,780円) / 4TB(88,880円)
※Sandisk公式オンラインストア取扱価格(税込)
※2025年7月末現在

最大40Gbpsの転送速度を実現するUSB4規格に対応し、最大3,800MB/秒の高速読み出しを実現。USB 3.2/2.0やThunderbolt 4にも対応し、幅広いデバイスで使用可能。頑丈なアルミ筐体とIP65防塵・防滴性、2m落下保護でデータを守れる外付けSSD。

 

時間制限のある現場だからこそ恩恵を感じる
圧倒的な書き込み・読み出し速度

 私は普段ウェディングの映像を中心に撮影しており、仕事内容としては結婚式場で披露宴の最後に流れる「撮って出しエンドロール」を主に制作しています。簡単に言うと、上映の7〜8時間くらい前に会場入りして、そこから撮りためたものを結婚式の進行に合わせて編集し、最後に上映するというものです。大体5分程度のダイジェストショートムービーみたいなものを作るというのが具体的な内容です。

次石さんの撮影の模様。カメラはソニーα7S III。ジンバルはDJI RS 4 Proを使用し、式の間に起こるイベントをドキュメンタリースタイルで撮影していく。

 

 

 かれこれ、ウェディングを撮り始めてからは20年、独立してからは12年くらい経っているかなと思います。一般的なエンドロール撮影では、撮影マン・編集マンのふたり体制で役割分担をして行いますが、うちのやり方ではふたりで臨機応変に撮影と編集が入れ替わりながら制作しています。ただ単に、その日1日のダイジェストを作るというよりは、その人たちの個性やストーリーを加えて、全く知らない人が見てもグッとくるようなストーリー性のあるウェディング映像を得意としています。

次石さんの最近の仕事

式の間に撮影・編集をしているのにも関わらず、映画のようなストーリーを感じさせる映像が人気を集め、次石さんには国内外から撮影依頼が舞い込む。

 新郎新婦とは事前に打ち合わせをしており、「こんな映像に仕上げてほしい」「リールで流行っている、こういうギミックを使って欲しい」といった希望をおふたりからヒアリングして、それに沿って本番を撮っていくようなイメージです。仲良くなれれば「ふたりのフリートーク、面白いな」「漫才のような掛け合いを普段からするな」ということもわかるようになるので、当日はピンマイクをつけてもらい自由に過ごしてもらいながら、美味しい部分を編集で一番いいところに持っていくこともあります。

編集はPremiere Proで行う。
企業CMなどは移動中の新幹線で編集することもあるため、上のようなホルダー(こちらはサンディスク純正品ではなく、Kickstarterのクラウドファンディングで購入)に装着し使用している。

 

 

 編集時は、SSDに入れたデータをアドビPremiere Proで編集しています。基本的には事前に選んだ音楽に合わせて文字コンテのようなものを作っておき、「この部分にはこういうシーンを入れる」といった内容を細かくマーカーで打っておいて、ある程度の予測をしておきます。当日はとにかく時間がタイトなので、事前に予測していた内容に沿ってシーンをはめ込んでいき、その場で少しずつアレンジしながら作っていくというのが編集の流れです。

 最終的には、新郎新婦さんにmp4データとしての完パケと、100GBくらいの撮影素材を少しだけ見やすく編集した60分くらいのものを納品しています。

 現場でSSDを使うフローとしては、結婚式当日にカメラで撮った撮影データをその都度SSDに取り込み、式中に編集をすべて完結させて、式の終わりに上映するといった流れになります。

 なので、SSDの書き込み速度や読み出し速度は非常に重要で、本当に速ければ速いほど助かるんですよね。また、撮って出しの特性上、当日にその場で映像を作っていくため、SSDを持ち歩いての行動がかなり多いので、衝撃に強かったりコンパクトであることがSSDを選ぶ基準になってきます。SandiskのSSDは昔から使っているんですが、中でもExtremeシリーズをはじめとしたSandiskのポータブルSSDはこれらの点でまったく不満がなく、これまでにデータを消失してしまうようなトラブルもなかったため、ずっと愛用し続けています。

 今回、新たに登場したUSB4対応のモデル「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」をテスト使用させていただきました。データの転送や編集ソフトで作業するときにも、「あ、これは速いな」とすぐにそのスピードを体感できました。

次石さんのMacBook Proでスピードテスト。2020年発売の「SanDisk Extreme PRO ポータブルSSD」は読み出し595.8MB/s、書き込み798.6MB/s(MacBook ProのUSB-CはUSB 3.2 GEN2×2非対応のため理論値でも10Gbpsが上限)。対してUSB4対応の「SanDisk Extreme PRO with USB4 ポータブルSSD」では読み出し3,079.9MB/s。書き込み2,255.8MB/sと圧倒的な速さ。この速度を実現するためには付属のUSB4対応ケーブルの使用が必須となる。

 

 

 ウェディングの撮って出しエンドロールの場合は1回の撮影データが大体100〜120GB程度になるのですが、すべてのデータを一気に移行するわけではなく、8時間程度の挙式の中で撮影しながら都度、大体4回程度に分けて撮影データをSSDに取り込みます。なので、これだけの転送速度が出るのは非常にありがたいですし、こういった時間制限のある現場だからこそ、なおさら恩恵を感じやすいですね。

 

 

過酷なシチュエーションにも安心して臨める
高い堅牢性と防塵・防滴性能

 SSD自体に求めたい要素としては、やはり防塵・防滴性能や本体の丈夫さです。普通に使っていれば滅多なことでは壊れませんが、壊れるときって何かしらの事故で水が大量にかかってしまうなど、意図していないようなトラブルが起きたときだと思うんです。そういった点においても本製品の場合は、筐体自体が頑丈なアルミであったり、IP65の高い防塵・防滴性を備えているなど、どんな場所でも安心して使えるのが大きな利点だと思います。

 特に、撮影現場については屋外や海沿いの場合もあるので、機材が常に太陽の日差しを受けたり、潮風に当たるなど過酷なシチュエーションであることも多いです。そういった意味でもSSDの堅牢性は非常に重要な要素で、頑丈であるに越したことはないんです。

 今後、SSDの進化に期待している点としてはやはり価格面ですかね。僕らの場合、年間300件ほどのウェディング撮影をするんですが、リスクヘッジやプロジェクト管理のためにSSDを小分けにしており、普段から4〜5個くらいのSSDを持ち歩くことが多いんです。

次石さんがこれまでに使ってきたサンディスクのポータブルSSD。リスクヘッジのため1案件ごとにひとつのSSDを用意し、撮影データをSSDにコピーして編集もSSD内のデータを直接読み込み行う。そのため、ストレージの速度やデータを守るための堅牢性が重要となる。

 

 

また、基本的にエンドロールはフルHDでの撮影をしているんですが、最近では4Kに対応したプロジェクターを使う会場も徐々に増え始めてきているので、今後そこにも対応していくとなると、より大きなデータを扱うことになります。要は、フルHDだと10件のデータを入れられていたのが、4Kになると容量的に5件になってしまう。そうなると、SSD代だけでも相当な予算がかかってきてしまうので、全体の価格がもう少しこなれてくると、うれしいなと思いますね。いまだ4Kに移行しきれていないのは、そういった理由も大きいです。あとは、万が一SSDを失くしてしまったときのためのGPS機能や、遠隔でロックをかけられる機能など、トラブルが起きたときに対処できる機能なども今後追加されればより便利だなと思います。

 ただ、僕がウェディングを撮り始めた頃に比べるとストレージの転送速度は飛躍的に向上したし、本当にサクサクと編集できるようになりました。それが今や当たり前の時代になってきてはいますが、ストレージの速度が向上したことで、撮って出しエンドロールでも、カラーグレーディングやより高画質な映像を扱えるなど、負荷の重い処理も難なくこなせるようになったのは物凄い進化だなと改めて実感しますね。

 

 

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