スマホの電波で屋外からでもライブ配信! Xperia PRO が拡張する ライブ配信コンテンツの可能性


HDMI入力端子を備え、カメラの外部モニターとして使うことも、カメラとつないでライブ配信することもできるXperia PRO。今回は、スイッチャーの出力をつないで複数台のカメラを用いた本格的なライブ配信を屋外ステージも含むライブ会場からXperia PROの電波で配信するという画期的な取り組みに挑戦した。配信を手がけたのは映像作家の藤井大輔さん。数々の音楽ライブ配信を手がけるプロフェッショナルが、その現場で感じたXperia PROの魅力や可能性についてお話を伺った。

取材・文●山崎ヒロト(heatin System)/写真●中野 理/構成●編集部・萩原/協力●ソニーマーケティング株式会社

 

藤井大輔  DAISUKE FUJII

フリーランスの映像作家。フジロックをはじめとする国内フェスのアフタームービーを始め、ライブステージ映像の収録や配信、MV、企業PV等を手がける。

WEB●https://daisukemotion.myportfolio.com/

 

 

Xperia PROの電波を使って実施した音楽ライブ

2021年5月12日に実施した音楽ライブ「LIVE WITH Xperia PRO ON YOUTUBE!」。出演はシンガーソングライターで森山直太朗、あいみょん、瑛人などの楽曲プロデュースも手がけるMichael Kaneko。そして、最近ではフジテレビ系ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』主題歌「Presence I feat. KID FRESINO」の作曲・プロデュースを手がけるトラックメーカーのSTUTS。音楽ライブ制作はフジロックフェスティバルの主催としても知られるSMASH。

 

配信を手がけた藤井大輔さんのインタビュー動画

 

 

 

HDMI端子を備え、外部モニター・ライブ配信にも使えるスマートフォン

ソニーXperia PRO オープン価格(実売25万円前後)

映像制作などのプロフェッショナル向けに開発されたスマートフォン。撮影機材のようなマットブラックな質感で、カメラは35mm判換算で16/24/70mmの3つのレンズを搭載。イヤホンジャックを備え、撮影・配信中に音声のモニタリングができる他、USB-Cで給電しながら撮影することもできる。なんと言っても今回の目玉はカメラはもちろんスイッチャーの出力もできるHDMI入力端子。これを使えばマルチカメラのライブ配信も可能になる。

 

 

当日のステージと各ブースの配置

▲今回の会場はテラスを備えるイベントスペース。Michael Kanekoさんのライブは屋内のイベントスペースから、STUTSさんは屋外のテラスで実施した。配信と音響はコミュニケーションが取りやすいように隣り合わせの位置に設置。照明ブースはSTUTSさんのステージ脇に配置。

 

今回の配信の機材配線図

▲➊~➍ソニーα7S Ⅲからコンバーターを介してXperia PROにHDMI接続。SDI変換してスイッチャーへ入力。➎フタ絵・CM再生用プレーヤー。➏音響ブースからの音をミキサーで配信用に調整。➐➑各ステージへの返しモニター。➒配信用Xperia PRO。ライブ配信アプリでYouTubeへ。➓バックアップレコーダー。

 

 

1台で「外部モニター」「ライブ配信」にも対応できる高性能なスマホ

——藤井さんがディレクターを務めた今回のライブ配信のコンセプトを教えてください。

大切にしたのはロケーションですね。コロナの影響もありますが、ここ1〜2年でライブ配信の数が増えて、いろんな配信の形が“当たり前”になってきました。そんな状況のなかで、映像制作者としては工夫が求められていると感じています。

僕は音楽フェスやイベントに関連した映像を撮影する機会が多いこともあって、ロケーションも演出のひとつとして考えていまして、Xperia PROはカメラと接続して「外部モニター」に、通信機能で映像を「ライブ配信」できると聞いて、これまで難しかった屋外のスペースでも面白い配信ができるんじゃないと思ったんです。

 

——まずは外部モニターとしてのXperia PROの使用感を教えてください。

4K HDR対応で10bitの入力ができる最先端のモニターでありながら、小さくて、薄くて、軽い。モニターによっては外部バッテリーが必要なタイプもあるので、本体が小さくても、ある程度重たくなってしまうのですが、今回の配信はXperia PROの内蔵バッテリーのみで余裕で持ちました。あと、出演いただいた2組とも立ち位置がずっと固定されていたので、画として動きのあるカメラワークが必要だったこともあってジンバルを導入しました。

通常ジンバルに外部モニターを取り付ける場合、重くてバランスが取れなくなるため、カメラのシューアダプターに取り付けることはありません。でも、小型軽量のXperia PROならば、そのままカメラに取り付けてもバランスが取れたのは取り回しがよかったです。

 

——配信に使用した機材の構成にどんなこだわりがありますか?

カメラはα7S IIIを4台、そのうち2台はジンバル、残りの2台は三脚で撮影しました。それぞれのカメラに外部モニターとしてXperia PROを使いました。ジンバルのカメラマンは1時間以上のライブの間、ずっと手持ちでカメラを回し続けるという負担がかかる状況でした。しかし、ここでもXperia PROのコンパクトさが力を発揮して、スムーズかつ大きなカメラワークの映像が撮れたと思います。

僕は普段からスイッチャーのマルチビューを確認するために、ソニーのマスモニを使います。それはマルチカメラ配信の現場で使う各カメラの色味を合わせるために信頼性のあるモニターを使いたいからです。Xperia PROはマスモニとほぼ同じ色味で映像を確認できるのもうれしかったです。

僕のように小規模でやっているビデオグラファーの現場だと、カメラマンがそれぞれ違うカメラや外部モニターを持ち寄ることも珍しくありません。今回、カメラはすべてα7S Ⅲで統一したため、カメラ側の色合わせは問題なかったのですが、現場では外部モニターもバラバラのケースが多い。せっかくマスモニ側で色味を合わせても、各カメラマンの手元にある外部モニターの色味が少し違うこともあって、みんな我慢しながら脳内で補正するんですが(笑)、今回はモニターもXperia PROで統一できたので、みんな共通の色味を確認することができて撮影しやすかったです。

 

各カメラの映像と役割

▲各カメラの使用レンズ●FE 24-70mm F2.8 GM(三脚)/FE 70-200mm F2.8 GM(三脚)/Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA(ジンバル)/FE 24-105mm F4 G OS(ジンバル)

▲配信には4台のα7S Ⅲを使用。うち2台は三脚に据えてズームレンズを取り付けて撮影。広角ズーム、望遠ズームを2台で使い分け、広角から望遠まで取り付けて様々なアングルを狙う。他の2台はジンバルに取り付けてSDIケーブルで引き回し自由に動きながら出演者のアップや手元なども含めて撮影した。

 

マスモニで培った技術で正確な色味を再現する4K HDR対応のディスプレイ

▲HDMIで接続し、「外部モニター」アプリを立ち上げればカメラ映像を認識できる。タッチパネルのピンチイン・ピンチアウト操作で最大4倍の拡大フォーカス。輝度調整や撮影ガイド用のグリッドも表示できる。

▲Xperia PROは4K HDR対応の6.5型有機ELディスプレイを備え、マスモニと近しい広色域を表現し、正確な色味で映像を確認できる。軽量で写真のようにカメラに取り付けた状態でもジンバルのバランス調整が取れるのもうれしい。

 

 

映像制作の可能性を広げる Xperia PROでのライブ配信

——配信用のエンコーダーとしてみたときのXperia PROが優れている点はありましたか?

正直、スマホで配信することに少し不安がありましたが、事前に何度かテストしたところ、かなり信頼性が高いと感じました。2時間以上配信を続けても途中で配信が切れることはなかったですし、何よりも個人的に驚いたのは配信マシンとして気になる熱問題。Xperia PROは優れた放熱設計で、外気温が20度くらいの環境下で、 2時間ほどテスト配信をしてみたのですが、過剰に温度が上昇するようなことはありませんでした。

PCで配信する場合は、熱によって処理能力が一気に低下して配信が不安定になったり、動きの激しい映像で重たくなってしまうこともありました。なので、PC冷却のために扇風機をあてながら配信するのは現場では一般的なことなんです。熱に関してはPCでの配信よりも安心して使えたのもXperia PROならではのうれしいポイントでした。

 

アプリを使用し1080pでライブ配信。長時間のライブにも耐えられる放熱設計

▲スイッチャーから接続した配信用のXperia PRO。ライブ配信用アプリはYouTubeの純正アプリでは配信解像度が最大720pまでとなるため、Larix Broadcasterを使用し1080pで配信した。今回のライブ配信はUSB-Cで電源供給しながら行なったが、長時間の配信でも熱が問題になることはなかった。

 

▲Xperia PROは長時間にわたり高速データ通信などを優先させる「パフォーマンス持続モード」を搭載。

 

 

——UIなど操作性や現場での使用感について教えてください。

使ってみて分かったのは、複雑なことは一切なくてすべてがシンプルなので、誰にでも使いやすいということ。HDMI端子にケーブルを接続すれば外部モニターのアプリを開くだけで映像が見られますし、どの操作も普段やっているスマホの操作と同じです。カメラマンも片手にジンバルを持ちながら画面のピンチイン・アウトでフォーカス確認を自然にやっていて、特に説明しなくても感覚的に使いこなしていましたね。

あと、スマホって屋外や夜間でも見やすいように作られているじゃないですか。Xperia PROもどんな環境でもディスプレイが見やすくて、個人的には一般的な外部モニターよりも明るく感じました。クリエイター目線の技術力やプロが求める機能が入っている一方で、コンパクトであることや画面の操作感などはスマホならではのシンプルさもある。業務機と民生機のいいところが組み合わさっている気がしますね。

 

——Xperia PROによって今後の配信はどのように変わると思いますか?

配信をするということのハードルが、今よりもすごく低くなるでしょうね。Xperia PROは高性能なPCとして考えられるくらい信頼性が高いと思うので、今当たり前になっていることの延長ではなくて、Xperia PROから発想するまったく新しい配信や映像制作が出てくるんじゃないかなと思います。

例えば、ディレクターが現場にいなくても、現場全体の画だけじゃなくて、カメラにダイレクトにつないだXperia PROの実際の画も配信をして、その様子を見ながら遠隔でディレクションする…みたいな。

前述した民生機と業務機の中間というのは、αシリーズのカメラにも同じように感じたことですが、これによって映像クリエイターの機材選びやワークフローに大きな影響を与えました。Xperia PROにも同じような可能性を感じていて、使う人のアイデアによって新しい映像制作の方法が出てくると思います。

 

配信の裏側を語るオンラインセミナーのアーカイブ

 

●Xperia PROのスペシャルサイト

https://xperia.sony.jp/special/xperiapro/