Genieシリーズを導入して パン・チルトやスライドを自動化する


 

REPORT◎田村雄介

協力◎ヴァイテックイメージング(株)

Syrp (シロップ)といえばどちらかというとモーションタイムラプス用の機材として2014年頃に発表された、Genie(ジーニー)を思い出す方も多いかと思います。木やウォーターバッグなど固定された2点間に専用のロープを張り、その間を小さなドリーなどに載せたGenieセットアップでモーションタイムラプス撮影。僕自身2015年春ぐらいにはすでにそのような撮影を行なっていた記憶があります。それから6年ほどの年月が経ちましたが、バッテリー駆動する機材、そしてスマートフォンアプリと連動する機材というのは驚くほど増え、そして進化したように感じます。そしてそれらに漏れることなくこのGinieシリーズも進化しています。

元からあるGenieはGenie Oneとして残りつつも、役割を細分化したGenie MiniⅡ(以降Mini)、GenieⅡリニア(以降リニア)、GenieⅡパンティルトと撮影に合わせて必要なGenieを組み合わせ、アプリでの一括制御ができるようになっています。さてこれらを使用してどんなことができるのか、今回はそんな一例をMini 2台、リニア1台の組み合わせで検証したいと思います。

Genieシリーズラインナップ

Genie Mini II(税込38,500円)

Genie Mini II – Pan Tilt Kit(税込79,800円)

Genie II リニア(税込137,500円)

 

インタビューのアクセント映像

まず基本的な動きの説明をするとリニアでできることは「スライダーの自動化」即ち横方向もしくは縦方向1軸の動きになります。底面が一般的な3/8ネジ、もしくはMagic Carpet Proのキャリッジに備わるクイックリリースプレートと互換になっているため、単純なスライドの自動化をするだけならまずはこれだけで実現できます。ロープを固定する方法さえ考えてしまえばMagic Carpetに限らない多様な使い方が可能です。

続いてMiniでできることは1軸の回転動作。シンプルですがパンだけのタイムラプスや、手動では難しい均等な速度で見渡すような映像撮影が可能です。さらにもう一つのMiniとオプションのパン・ティルトブラケットを使用するとパンとティルトが独立コントロールできるセットアップになります(Pan Tilt Kitとしての販売もあり)。

そしてこのMIniのセットとリニアを組み合わせ、均等速度で2軸以上の動きが作れるようになることにより「スライダーでセンターフォローしながら少しチルトの動きもある動きを反復し続ける」といったようなインタビューなどでアクセントのある映像も可能になり、表現は大きく広がります。


▲Genie MiniⅡパンティルトとGenieⅡリニアのインタビューセットアップ例。この状態で反復動作をさせておくと編集でとても使いやすいB CAM素材ができあがる。このセットアップの際はなるべくスライダー長を稼いでおいたほうがより使いやすくなる。またある一定の速度を超えると駆動音が目立ち始めるため、録音とのバランスもとった設定にしよう。

▲アプリでのモーションセットアップはリハーサルは必要だが、現場でも簡単に行える。この時の使用カメラがKOMODOだったこともあり、カメラの設定もモーションの設定もこの通りすべてスマホやタブレットで確認できる。なんなら照明の設定も、だ。


▲制御アプリの画面。デバイスの電源がオンになっていれば接続したいデバイスをタッチするだけで簡単に接続。各デバイスのバッテリー残容量もここで把握できるしMiniのパンティルトも自動で判別してくれる。制御部分はわかりやすいように大げさなカーブを作ってみたが、ここのセッティングには若干の慣れを要する部分だと思う。直感的に使用できる反面、精密なコントロールをプラグラムする場合は、あらかじめアプリの操作そのものに慣れておく必要がある。

 

電動ヘッドに何載せる?

そしてもう一つオプションとして、プロダクトターンテーブルというものがあります。これはGenie Miniシリーズと組み合わせ、360度まで速度調整できるターンテーブルとして使用可能になる代物です。これは便利! なだけではなく勘の良い方は閃いたのではないでしょうか? そうGenieに載せるものは自由なんです。ポストでのバレ消し前提で撮影対象物を動かすのも良し、毎回同じ動きをコントロールできる小型照明なんていうのも可能です。今回の作例ではそんなものも少し混ぜています。セットアップさえしっかりしていれば何度も反復動作が可能。発想一つで大きく世界が変わるはずです!

 ▲Genie MiniⅡ1台を使用して木々からの木漏れ日を超スローパンで狙っている。パンスピードを変えて森のざわめき具合を見ながらフレアを、360度の間で何度も同じ動きにチャレンジできる。スピードも人間ならば息切れしてしまうような数分でも設定できるのはとても美味しい。


▲作例中でカメラと照明をクルクル回しているシーン。被写体のカメラと照明はGenieⅡMiniに搭載、撮影カメラはMagic CarpetにGenieⅡリニアの組み合わせで前後移動。ここで重要視しているのは撮影カメラと照明の位置関係。被写体のカメラが何に変わっても常に同じタイミングで同じフレアが入るようになっている。今回のようにブツ撮り的な場合でも人物が絡む静的なシーンでも撮影対象以外の環境を同一にできるのは面白い。

▲電源ボタンは触れやすい外周にあり、軽くワンプッシュした時点で電源がオンになるので注意。充電自体はUSB-Cからでき、リニアに関しては交換バッテリーがある。スマホアプリ上のインジケーターでバッテリー残量が少しだけ残ってるように見える状態も電圧不足なのか動作不良になる場合がある。

雰囲気に頼らないワンランク上の撮影のために

2021年現在にある撮影機材はどれをとっても使い方一つで大きく世界を広げられるようなものが本当に多いと感じます。Syrpの説明書はシンプルで、それを読むだけで大体のことができるようになるはずです。

しかし注意点など気をつけることもいくつかあります。写真のキャプションで使用上の注意点を書きましたが、それは、機材の良し悪しのすべてが伝わってない故に、導入後にネガティブメッセージが広まってしまうことを良しとしたくなかった、というところにあります。

逆に言えばまずはここに上げた注意点さえ気をつけていればとても面白く使える機材だと思います。作例だけではなくSyrpのYouTubeチャンネルなどもぜひご覧ください。きっと皆さんの撮影の幅を広げるヒントがたくさん盛り込まれているでしょう。

第1回目のレポートはこちらから

 

●VIDEO SALON2021年7月号より転載