SNSを中心に「縦型ショートドラマ&コントSHOW」として異色な存在感を放つクリエイター集団「白い基地」。本記事では、制作総指揮・脚本を務めた放送作家のカツオさんを招き、テレビとショート動画の違い、脚本や構成のリアルな制作手法など、売れっ子放送作家の視点から企画・シナリオの考え方を徹底解説。また、白い基地の監督を務める竹中貞人さんにもインタビューを敢行し、最新作の現場写真を交えつつ、作品の裏側について語ってもらった。

講師 カツオ Katsuo

東京都荒川区生まれ。小5からバスケを始め、東京都私立足立学園バスケ部・副主将東京ベスト16。早稲田大学在学中に劇団「盗難アジア」を旗揚げし、主宰・俳優として活動。演劇活動と並行して放送作家の活動も始め、今に至る。過去、年間600本の企画書を書いた実績もある自称・企画書渋滞系放送作家。現在のレギュラー番組本数は30本以上。2024年10月、製作総指揮&脚本担当で縦型コントドラマコンテンツSNS「白い基地」を自ら立ち上げ、週2回でショートドラマコントを更新中。






「白い基地」とは?

何色にも染まっていない“真っ白な”若手俳優や、何色かには染まってしまったけれど“おも白い”俳優たちが織り成す縦型ショートドラマ&コントSHOWを発信する集団。カツオ氏と過去に交流のあった人気YouTuber「水溜りボンド」のカンタ氏、社長の田口拓朗氏率いる映像会社Arksが制作を務め、同じく水溜りボンドと交流の深い竹中貞人氏が監督、岡部健太氏がプロデューサーを務めている。毎週火曜・土曜に更新。

製作総指揮&脚本:カツオ、監督&脚本:竹中貞人、

プロデューサー:岡部健太、映像制作:Arks 株式会社





自分の書いた縦型ショートドラマがいきなり300万再生されて衝撃を受けた

カツオと申します。現在は、さまざまなテレビ番組の放送作家をしながら、「白い基地」というSNS向けショートドラマコンテンツにて制作総指揮及び脚本を担当しています。

僕がショートドラマを始めたのは、『全力! 脱力タイムズ』という番組で脚本を書いていたことがきっかけでした。脱力タイムズの脚本は、出演者のセリフが決まっていて芸人さんだけがそれを知らないという少しドラマに近い内容でした。なので、「この脚本が書けるなら、ドラマの脚本も書けるのでは?」と考え、元々劇団を立ち上げて俳優をやっていた過去もあり、興味のあったドラマの世界へと足を踏み入れました。しかし、バラエティ上がりの人間なんて全く相手にされず、ここで相手にされるようになるには自分の作品が必要だと強く感じました。

そんな矢先にTikTokの仕事が舞い込んできて、僕が書いたコント風の縦型ショートドラマがいきなり300万再生という数字を叩き出しました。自分で劇団をやっていた頃は、客席分の人にしか見てもらえなかったのに唐突に物すごいバズを体験したことで、ショートに対して大きな可能性を感じました。さらに、動画がまわったことで自信もついたので「だったら自分でお金を出して、ショートドラマを作ろう!」と思ったのがショートドラマを始めた経緯です。

それで、じゃあどうするかと考えていたとき、Arksという会社の社長である田口君と、人気YouTuber「水溜りボンド」のカンタ君から連絡をもらいました。Arksという会社は、カンタ君と、彼の右腕的存在だった田口君が新しく立ち上げた映像会社で、以前に僕が水溜りボンドの手伝いをしている時期があったよしみで、「カツオさん、何か一緒にやりましょうよ」と数年ぶりに声をかけてくれたんです。その後、僕に合う監督がいると紹介されたのが、「白い基地」で監督を務めている竹中監督でした。ひょんなことから始まったのが「白い基地」というわけです。

今回の記事では、テレビとショートの違いや、バズる企画の考え方、刺さるシナリオの作り方など、ショートドラマ制作に役立つ実践的なノウハウを放送作家という視点から解説していきます。






“バズる”企画の考え方




バズる企画は一カ所だけ光るものがあってそこさえ面白ければそれでいい

企画の種を思いつくにあたっては、日常の中で感じた気づきを大事にしています。例えば、『ぐるナイ』 という番組ではコスプレをする芸能人が誰かを当てる企画があります。この企画を思いついたのは、ハロウィンでコスプレをする芸能人がニュースで取り上げられるのを見て、「これ誰?」と思ったのが発端でした。そういった日常の気づきはどこにでも無限に転がっているので、普段の情報収集からいかに気づきを得られるかが鍵になります。

もうひとつ大事なのは複数のフックを仕込むこと。当時、僕らが話していたセオリーに「連続性のあるものって、その連続が終わるまで見ちゃうよね」という内容があって。その要素を、常に一定の人気を持つカラオケ番組に掛け合わせ、音程バーを外さないように歌わせながら、連続的にそれをクリアできるか、さらに視聴者の聴きたいサビだけに絞る、という複数のフックを掛け合わせて生まれたのが『千鳥の鬼レンチャン』という番組です。

このように、テレビでウケる企画にはある程度のセオリーがありますが、SNSでバズる企画はその限りではなく、一カ所だけ光るものがあって、そこさえ面白ければいいと考えています。ユーザーが興味のあるものを提供するという意味では、テレビとYouTubeは昔よりも似てきていると感じますが、ショートではよりアルゴリズムを気にしなければならないし、「いいね」やシェアをさせるために視聴者の指を動かさなければいけないので、見る人の心を短時間でより大きく揺さぶる必要があるんです。