Report◉田村雄介
協力◉RAID
日本国内ではIDXのバッテリーを見かけることが非常に多いが、bebobもARRIに採用されるなど信頼性は抜群。そのバッテリー、チャージャー、オプションを撮影現場目線で紹介していく。
ベィーボブッ ! 今宵も旅館やホテルや山小屋やらで充電だのバックアップだので寝られない休まらない腹ペコのお友達 ! 今回紹介するのはARRI ALEXA Mini LF等に搭載されたBマウントのバッテリーを率先してリリースするなど、 技術的信頼性も高いMade in Germanyのbebob製Vマウントバッテリーを中心とした、撮影当夜に苦しむみんなを助けるユーティリティーアイテムだ。
●bebob V45/98MICRO (V45:30,000円、V98:38,000円)
●bebob VS2MICRO (45,000円)
●Rencher Industries USB-C PD Battery Adapter (52,000円)
●Rencher Industries FOCUS7 Battery Adapter (46,000円)
使ってみると超便利!ツイストD-TAP
bebobのバッテリーは様々な種類がありそれぞれに特徴があるが、共通で最大の特徴と言えるのは「ツイストD-TAP」だ。これは非常にユニークな機構でD-TAPコネクタの穴が3つ空いており、ケーブルごとに異なるコネクタの向きを気にせず挿入できるというもの。これは色々な機材、小型モニター・ワイヤレス伝送機器・電動フォローフォーカスシステム等々を接続しまくってる人ほど恩恵を受けられる。ケーブルを上側から取り回したいか下側から取り回したいか、ケーブル長も相まって非常に悩ましい場合が多々ある。それらを一気に解消できるのだから非常にありがたい。使えば使うほどなるほど納得の仕組みだ。
上記を踏まえた上で、bebob V45/98MICRO。98に関しては最近流行の小型Vバッテリーとほぼ並列のサイズ、性能なので用途に合わせてお選びください、といったところなのだが、45、こいつぁ小さい。とにかくべらぼうに小さい。手にした感覚は2019年現在主流サイズのモバイルバッテリーがそのままVマウントに挿さると言えばいいだろうか。容量の小ささ故というのはあるが、ディレクターモニターの直付けなどアクセサリー用として、 または非常用や海外ロケにバッテリハングリーではないBMPCC(純正バッテリーではバッテリーハングリーだけど…笑)で行く際などにはもってこいなサイズだ。特に前述の通りディレクターモニターなどに使用すると非常に軽く、大変喜ばれるのではないだろうか。惜しむらくはどのサイズもD-TAPが一個という点だが様々な方法で補うことは可能だ。また、バッテリートップにD-TAPと5.0VのUSBが配置されているのも場合によっては非常にありがたい。このバッテリートップへのコネクタ配置はIDXの新型、Imicro-98/150でも採用されており、小型バッテリーの中ではちょっとしたトレンドになっている。IDXは普通のD-TAPであるもののD-TAPが二つ配置されており、FXLIONだとD-TAPは横位置だがトップにUSB A/C/microとその様はモバイルバッテリーのごとしだ。話はbebobに戻る。裏面にはこれまた最近のトレンドであるLEDライトが配置されている。そして重ねた際にズレないよう凹凸がついていることもポイントを押さえた作り。
▲ツイストD-TAP。3個穴は真ん中が+で両サイドが-。どっち向きでも挿せるのは本当に現場向き。
▲上がV45 MICROをURSA Mini Pro に装着した状態。少々アンバランスなのではないかと思うほど小さい。しかし小さいという選択肢があるというのはありがたい。
遠方少人数ロケの夜半過ぎを楽に!
「うぅー…今日使ったバッテリーは3個かぁ…終わらない…終わらないよぅ…2連チャージャー持ってくれば良かったよぉ…でも持ってこれなかったよぉ…」という怨嗟の声を一気に解決!Vバッテリーを4個以上使う仕事は少人数じゃないはずだからでかいチャージャー持って行けばいいけどそんな場合でも役に立つ ! それが小型2連チャージャーbebob VS2MICROだ。
これは最近あちこちで見かけるIDXのVL-DT1のようなアダプタを、V45/98MICROよりもさらに小さい両面チャージャーユニットに接続して2個同時充電を実現した優れものだ。大きさはアダプタがVL-DT1より1.2倍ほど大きいが小規模ロケでも余裕で持ち歩けるサイズだ。メーカー推奨ではないがIDXのバッテリーもチャージできたため汎用性は非常に高い。
▲小型2 連チャージャーbebob VS2MICRO。カールケーブルも充電時のコンセント配置によっては大いに役立つ。なによりコンセント1口で2個充電!
▲旅館あるある! 充電場所が足りなあああああい!!そんな時でも一安心!
▲充電できるコネクタは青色になっているので挿し間違いも起こりにくい。さらにここもツイストD-TAP。これまた助かる部分だ。
USB-CでMacBook Proを
そしてここからはオプションだが、よりたくさんのバッテリーを所有するとなると今度は、 「足りない」ではなく、 「余る」という現象が起きる。そんな時に有用なのが次に紹介する商品だ。
カメラに使えないバッテリーはロケで持ち歩きたくない。こう思う方は多いのではないだろうか。しかし携帯、電子タバコ、USB-Cのパソコンなどなど周りには充電しなければ使えないものが多すぎる。小型のUSBチャージャーなんかもあるがMacBook Proなどを充電するには心許ないし…というところに有用なのがRencher IndustriesのUSB-C PD Battery Adapterだ。
これはこの記事の依頼を受けた際に初めて知ったブランドなのだが、 とても便利で機材返却したらさっそく購入しようと思っている逸品だ。
ここに至るに一つの経緯がある。僕が現場PCとして使用していた2015年製MacBook Proが、連邦航空局によってバッテリーの危険性を指摘され機内持ち込みできなくなってしまった。旧世代からの入れ替えを迫られていたところに16インチのMacBook Proが登場。即断で買い換え。めでたくチャージも現行世代のUSB-Cとなりました。さてせっかくのUSB-C、普通のモバイルバッテリーじゃ充電がなかなか追いつかないよなぁ。それと今まで困ることがあった、コンセントが足らない宿や食事場所での運用、どうしようかなぁー…の答えがこれでした。
公式サイトによると、90W USB Type-Cで最新のMacBook Proにも対応とある。実は今この原稿を書いているのもコンセントをお借りできないビアホール(!)なのだが、残り10%まで減らしたMacBook Pro16インチにこの機材と98MICROを接続し、Pagesで1時間記事を書きながらウェブブラウジングを続けた状態で、98MICROのインジケーターは残り2個まで消費、MacBook Pro16インチのバッテリーは55%まで充電された。USB-CアウトのないVバッテリーも活かしどころが増えるのが嬉しい。
そしてFOCUS 7用のVマウントアダプター「FOCUS7 Battery Adapter」 。これはシンプルにVマウント駆動で小型モニターを駆動させることが可能になり、TERADEK ACE 500などを使用して汎用性の高いワイヤレスモニタリングシステムがいとも簡単に組み上げられる。その際にワイヤレスへの給電をD-TAPからする場合は、これまた配線のやりやすさという点でツイストD-TAPの恩恵が非常に大きい。
最後に一つだけ注意点を。今回試用した各機材、受け側のVマウントはどれもIDXバッテリーだと機能はするがほんの少々ハマりが悪かった。どれもbebob製のプレートなので仕方がないというところはあるのだけれども、すでに持ってる資産をより活かすためにこういった他ブランドの周辺機器を導入するというケースもある。そしてそこから導入した新しいブランドに馴染んでいくということもあるので、ほんの少しだけ改善してくれると、ユーザーとしては非常に嬉しい。
▲罪の味を施してくれるアイテムがこちら。USB-C PD BatteryAdapter。USB-C 接続でMacBook Pro をチャージできる。余ったVバッテリーは全てここへ。
▲FOCUS 7用のV マウントアダプター「FOCUS7Battery Adapter」、前回、前々回で紹介したFOCUS 7、TERADEK ACE 500 セットの完成形と言える、可搬性、汎用性、非常にヨシ!
▲背面。バッテリー接続はまた別パーツなのでしっかりとしている。45がベストマッチだけど、98だって全然アリ。
◉RAID WEB SHOP https://www.raid-japan.com
03-5765-2044 受付日時 / 月 – 金 10:00 – 19:00
●VIDEOSALON 2020年2月号より転載